黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

廃墟を感じた音 #02

2006-02-19 03:53:49 | コラム:アート・デザイン・音楽・映像
70年代後半から80年代中盤の頃は、
廃墟感溢れる音楽が沢山リリースされていたような気がします。
このグループなんかは自らが主宰するレーベル名を、
インダストリアル・レーベルと付けていたくらいですから。

'Throbbing Gristle : 20 Jazz Funk Greats'
スロッビング・グリッスル:20ジャズ・ファンク・グレイツ



イギリスの音楽といえばリバプールやロンドンが有名ですが、
このグループの本拠地はそれより遙か北にある、
シェフィールドという工業都市です。
Throbbing Gristle-躍動する軟骨→あばれまわる男性性器>
という名前を付けたこのグループの音は、
今ではわりとすんなり聴ける音かもしれませんが、
当時は全編にわたって音を覆いつくす、
限りなく寒くザラついたノイズに喜んだのを思い出します。

おぼろげな記憶では当初上のジャケットで発売されたはずです。
尤もこのジャケットの実物は後にも先にも一回目にしただけで、
手元にもないので、
これは現在手に入るCDの裏ジャケからのものですが。
最初に日本に入ってきたときは、
修正が加えられたカラー版のジャケットでした。



これはこれで内容を全く無視した、
のんきなグループサウンズ風なのが笑わせてくれますが、
この撮影場所が「ビーチーヘッド」という、
イギリスでは有名な自殺の名所だと聞くと、
本国ではのんきだけでは見られないのかもしれません。

そんなのんきな人達の中に、
一人だけ場違いな空気をかもしだしているのが、
左から2番目に写るこのグループのリーダー、
ジェネシス・P・オリッジです。
一見女性にも見えますが男性です。
この人は不思議な人で、
写真に写ると凄く女性的にみえますが、
実際に見ると全然そうみえません。

そういった自分の特性を知ってかどうかはわかりませんが、
この人がライフ・ワーク的に展開している
アートパフォーマンスにはとにかく驚かされます。
少しずつ整形を重ねて、
現在の奥さんであるレイディ・Jの容姿に近づくというものらしく、
同時にこの奥さんも少しずつ整形を重ねて本人に近づく、
つまりお互いがお互いに近づいて、
最終的には男女の特徴的なものを全部もった、
同じ外見の2人のジェンダーが出来上がる。
という構想らしいです。
ちなみに豊胸手術は既に終わっているそうです。

80年代中頃の初来日の時、
オールスタンディングの会場で一緒に踊ったジェネシス・P・オリッジは、
限りなく体臭がきつく歯がボロボロの、
あきらかにヤバいおじさんでした。
 


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