前回から続きます。
そもそも「何かを感じる」とはどういうことか。
「刺激を受けた」という信号が神経を伝わり脳に達することで「感知」する。というザックリとした流れは誰でも知っていることとして、「感じる」の最先端では何が起きているのか。
ある刺激に接した細胞の、さらにその細胞にある受容体(タンパク質でできている)が刺激をキャッチすることから全てが始まる。
「感じた」ということは、私たちの細胞に「その刺激をキャッチする受容体があった」ということを意味する。
嗅覚であれ、視覚であれ、聴覚であれ同じ。
あらゆる感覚は、刺激を受け取る受容体があって初めて感知することができる。受容体がなければ、そこに何らかの刺激があってもスルーされるだけで感知には至らない。
また、当たり前だが、受容体は身の回りのすべての刺激に対してあるわけではない。ある特定の刺激に対してだけだ。
受容体を待つか否か、それを分けるのは、その刺激の感知が私たちにとって切実かどうか。特定の刺激の存在を知りたいのは、おそらく進化の過程で「生存」に大きく関係があったからだ。生存にプラスであれマイナスであれ、関わりがあるからそれに対する受容体が備わった。
まして嗅覚は進化上、最も古くからある感覚として知られている。私たち生き物がまだ原始的な細胞そのものだった時から、身の回りの物質の存在を知るためにまず発達したのが嗅覚だ。
私たちが日常考えている「香り」というものと少しイメージが違うかもしれない。「嗅覚」とは身の回りの物質の情報を化学的に把握する感覚につけられた名前だ。生きていくのに有効な、もしくは避けるべき物質の情報を得るために、嗅覚細胞はそれ専用の受容体を持った。
受容体の用意がある物質、香りを感じさせる物質はそれだけで、生命にとって関係が深い物質であるということを意味する。
香りある物質がたまたま体に作用したのではない。その物質が体に作用するものだからこそ、香りとしてキャッチする仕組みを私たちの細胞は持った。
ね、そう考えれば芳香物質が、いかに私たち生命にとって重要なものか、想像できるでしょう。
香りの成分を抽出して、それを人が健やかに生きていくために利用しようという考え方はだから、とても理にかなっているんですね。香りを感じるという時点で、その物質は何らかの影響を生体に対して持っているに違いないのだから。それをポジティブな効果がもたらされるよう利用することがアロマテラピーというわけ。
やれやれ。やっと辿り着きました。
しのごの書きましたが、要は「香り」があるってそれだけですごいことなのね〜。