テレビで紹介されて以来ご存知の方も多いでしょう。
本も多数出版されています。
![Kisekino Kisekino](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/14/78497b3af73a4413334796c2eaf0ec30.jpg)
なにせ根がマイナー志向なもので、
世の中で有名になってしまったものには
とりあえずへそを曲げてみる天の邪鬼としては、
やや斜めから眺めていたのですが、
縁あってその中の何冊かを読む機会に恵まれました。
■ 読んでみた
内容については、感動の要素もあり、
また、「このあたりはファンタジー?」 という部分もあり、
色々な見方ができるでしょうが、
自然療法を志すものとして大きな示唆を受けたのは事実です。
人も木もあらゆるものが大きな自然の環の中の一部であり、
そこから隔絶されればされる程、不都合が起きてくるということ。
たとえ有機肥料であろうとも、その環から外れる要因になる
という意味では化学肥料と何ら変わりがない。
だからおじさんは基本、何にもしないのです。
草取りですら、虫取りですら、本当に最小限しかしない。
そして草ぼうぼうの畑に宝石のようなりんごを実らせるのです。
■ 「ナチュラル」だから良いとは限らない
生活全てを太古の暮らしに戻すことは不可能です。
そのころにはきっと今よりずっと死亡率も高く、
おそらくは弱いものから自然の厳しい摂理に取られていったことでしょう。
何とか生き延びるために、その環を手なずける方法を探して
手にした今の文明生活です。
ただ、何かが行き過ぎていることは多くの人が感じている
からこその昨今のナチュラルブームなのかもしれません。
でもね、ことアロマに関していえば、
この「りんごのおじさん」の言う「有機肥料」のように、
自然のものだからとやたらに使ったのでは、
自然の環のなかから外れてしまうことには変わりがないのよ。
精油そのものだってかなりの無理をして植物から抽出し、
大きな経済の流れのなかにある工業製品なわけです。
◯◯にはラベンダーが効く。××にはゼラニウムが効く。
△△という症状にはここをマッサージする。
そういう使い方が悪いとは言えないけれど、
本当はもっと大事なことがある気がする。
■ 「自然」を使うのでなく手伝う
自然療法の目指すべきは、自然のものを使うということじゃなく、
自然の環から外れてしまった個体に
もう一度繋がりを取り戻してもらうための手伝いをする
ということじゃないんだろうか。
クライアントへの介入は最小限に、
クライアントの潜在能力の喚起は最大限に。
それこそがアロマセラピストの腕の見せ所ってもんだろ。(鼻息っ!)
どういう使い方をしたら適切なバランスに辿り着くのか、
どういう施術が自然の環を引き寄せるのか、
セラピストとしての立ち位置を考えさせられた「りんご」でした。