今宵は、創作の怪談話をお楽しみください。
・・・・・
吾輩は妖怪である。
名前は――名乗ることもあるまい。
ともあれ、人間界に認知されていなかったとしても、それは妖怪として嘆かわしいことではない。
物騒な存在であるべき妖怪はごまんといるが、人間が把握できることなど本当に微々たるものだ。
異世界の辺境には人間たちがまだ見ぬ妖怪がうようよといて、まさに悠々自適の暮らしぶりで人間界に興味を示さぬものもいるし、暇つぶしがてら人間に知られぬよう奇怪な悪さをしでかすものもある。
人間が作った妖怪事典なるものに吾輩の名はないようだが、ひょっとしたら思い当たる節があるかもしれない。
吾輩はあてもなく彷徨い、居所を定めず、どこからともなく風のように現れ、いろいろな面白い話をこっそりと人間に聞かせてあげるのだ。
即興話もあれば、どこかで聞きかじったような話もある。
嘘のような本当の話もあれば、本当のような嘘の話もある。
肝心なのは「確かなこと」じゃあない。
火のないところに煙を立たせ、根も葉もない噂を真実に思わせるのは吾輩の本領だ。
ちょっとコツさえつかめれば、噂が一人歩きをして自然と広まっていくものだ。
誰に聞いたのか思い出せない話があったら、それは吾輩の仕業かもしれない。
現実には起こりえない話があったら、それも吾輩の仕業かもしれない。
悪い噂があっという間に広まったら、それも吾輩の仕業かもしれない。
不思議なことに、真っ赤な嘘も根拠のない噂もまた真実となりうるのだ。
下世話な噂も人間は好きだが、この世の果てまで行っても遭遇できないような怪しげな話しにも興味を持つ。
なぜかって?
いっただろう? 肝心なのは確かなことじゃあないんだ。
・・・・・
3話分をホームページに載せました。
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吾輩は妖怪である。
名前は――名乗ることもあるまい。
ともあれ、人間界に認知されていなかったとしても、それは妖怪として嘆かわしいことではない。
物騒な存在であるべき妖怪はごまんといるが、人間が把握できることなど本当に微々たるものだ。
異世界の辺境には人間たちがまだ見ぬ妖怪がうようよといて、まさに悠々自適の暮らしぶりで人間界に興味を示さぬものもいるし、暇つぶしがてら人間に知られぬよう奇怪な悪さをしでかすものもある。
人間が作った妖怪事典なるものに吾輩の名はないようだが、ひょっとしたら思い当たる節があるかもしれない。
吾輩はあてもなく彷徨い、居所を定めず、どこからともなく風のように現れ、いろいろな面白い話をこっそりと人間に聞かせてあげるのだ。
即興話もあれば、どこかで聞きかじったような話もある。
嘘のような本当の話もあれば、本当のような嘘の話もある。
肝心なのは「確かなこと」じゃあない。
火のないところに煙を立たせ、根も葉もない噂を真実に思わせるのは吾輩の本領だ。
ちょっとコツさえつかめれば、噂が一人歩きをして自然と広まっていくものだ。
誰に聞いたのか思い出せない話があったら、それは吾輩の仕業かもしれない。
現実には起こりえない話があったら、それも吾輩の仕業かもしれない。
悪い噂があっという間に広まったら、それも吾輩の仕業かもしれない。
不思議なことに、真っ赤な嘘も根拠のない噂もまた真実となりうるのだ。
下世話な噂も人間は好きだが、この世の果てまで行っても遭遇できないような怪しげな話しにも興味を持つ。
なぜかって?
いっただろう? 肝心なのは確かなことじゃあないんだ。
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3話分をホームページに載せました。
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いま、朝7時前。まだ締め切った居間で、一人でPCと向かい合ってる。なんだか、背筋が冷たいので、2話以降は、昼間、明るいところで読むことにします。また、コメします。
きょうも暑くなりそうです。
まだ怪談話もいける季節ですね(笑)
評論家ではないので、今は全体のコメントは遠慮しますが、さちよさんの他の作品を読みたくなりました。どのようなさちよワールドを持ってるのか、興味があります。
ありがとうございます。
なんだか恥ずかしいですね(^^;)
3話目はWEBに載せるにはちょっと長いのですが・・・お疲れ様でした。
また機会があればHPで公開したいと思いますのでよろしくお願いします。