雁水へ帰る候となりました。
木蓮、蘇芳、雪柳、シャガ、気の早い躑躅や鈴蘭まで咲きだしてお庭が花の色に染まってきました。桜も大分北へ移り行くようです。
この写真は徳川美術館の図録、香箱の蒔絵の図柄からおこしたお包みです。随分苦労してやっとここまで辿りつきました。(しかし先日もっと近いと思われる折り方を見つけてどちらが本物に近いのか迷ってるところです。なにせ見本は蒔絵の図柄だけしかないので決め手がありません)
このお包みは香包に似ているので香包みとばかり思っていました。それで「折りたい」と思ったのですが折り方を模索している内にどうやら違うことに気付きました。
図柄をよく見ると裏が見える部分が多く開きが広いのです。これでは香木又は香道具を包むのに適しません。では何のお包みか?
その答えも図柄の中にありました。蛤です。
実際に蛤を包んでみると蛤の厚みが開きの部分でカバーされてピッタリでした!!
蛤は女子への贈答に相応しく、蒔絵の絵も写真のように紙を襲ねた贈答用のような豪華なお包みです。そんなことを考えると「蛤包」はあってもいいのですがその名称をまだ聞いたことがありません。
折形は厚みのある物を包むには不向きで、厚みのある物は幅を広くとって包むしかありません。亥の子餅を包む玄猪包もそうなっています。
このお包みにもそうした工夫が見られます。
もし私の考えが当っていてこれが蛤包みならば大発見だとワクワクしているのですが~果たして??
なにか文献が見つかればいいと思っていますがご存知の方がありましたらお教え下さいませ。
補
以前冷泉家展で ちいさな貝を包んだ畳紙を見ました。これは三つ折の普通のたとうでしたが中に浜辺の絵が描かれた貝を包むのに相応しい素敵なものでした。確か「貝包」とあったと記憶しています。でもこれは貝だけを包む個有の「貝包」ではありません。折形はそのものだけを包む固有の形があるので、固有の蛤包みの情報をお寄せ願います。