下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です。
健康管理は、どうなっていたのか。東京・千代田区で11日、個人タクシーが歩道に突っ込み、6人を死傷させた事故で、12日に亡くなった運転手の死因がくも膜下出血と判明した。死に直結する重大病のひとつで、運転手の健康管理が疑問視されるのは当然だが、周りの話から健康に異常があったとする話が聞かれないのは意外だろう。実はこのミステリー、働く人ならだれしも他人事ではない。
◇ ◇ ◇
運転手は20年ほど前から都内で個人タクシーの運転手として乗務。通常は、午後3時ごろから午前2時ごろまで車を走らせていた。母親によると、持病はなく、これまで大きな事故を起こしたこともないという。
タクシー業界では、午後10時から翌朝5時までの乗務が深夜業務とされる。労働安全衛生法で、深夜業務を1週間に1回以上または1カ月に4回以上行う人は、6カ月以内に1回、1年に2回の健康診断が義務づけられている。深夜業務をしなければ1年に1回で、深夜ドライバーはより厳しい健康管理が求められているわけだ。
その診断項目は、①既往歴及び業務歴②自覚症状、他覚症状の有無③身長、体重、腹囲、視力・聴力④胸部X線検査、喀痰検査⑤血圧測定⑥貧血検査⑦肝機能⑧血中脂質検査⑨血糖検査⑩尿検査⑪心電図検査の11項目。サラリーマンの職場健診とほぼ同じで、運転手も今年7月の健診は異常ナシという。
こまめに血圧測定(C)PIXTA
診断書を「鉛筆で書いて」
では、なぜ悲劇が起きたのか。タクシー会社やバス会社で産業医の経験がある医師はこう言う。
「会社からも運転手からも、『健康診断の結果は異常ナシと書いてくれないか』と求められることがよくありました。どちらの言い分も分からなくはありません。業界的に人手不足が激しく、会社としてドライバーの離脱は死活問題。運転手も事情は似ています。特に高齢ドライバーだと、ほかの仕事ができず、運転手を続けている人も多く、仕事を失うと収入が途絶えてしまいます。それで会社も運転手も、健康診断で『異常ナシ』を求めるのです。『何か記入するなら、鉛筆で書いてくれ』と言われたこともあります」
この医師は、“依頼”を断ったというが、会社にも運転手にも背に腹は代えられない事情があることがうかがえる。
国交省が今年2月に公表した「自動車運送事業用自動車事故統計年報」によると、2019年に「バス」「ハイヤー・タクシー」「トラック」が起こした重大事故は5076件。そのうち1787件が乗務員に起因するもので、「バス」は前年比60件、「トラック」は同81件減ったが、「ハイヤー・タクシー」は同9件少ない422件とほぼ横ばいだ。
さらに、乗務員の起因事故を健康状態に限ると、「ハイヤー・タクシー」は56件と前年より10件増えている。その運転手の病名は、くも膜下出血を含む脳疾患が14人、心疾患が13人で脳と心臓の病気が目立つ。
重大事故を起こした運転手の平均年齢は、「バス」「トラック」がどちらも40代だが、「ハイヤー・タクシー」は63歳。亡くなった運転手も享年64だ。「ハイヤー・タクシー」の平均年齢の高さが、「バス」「トラック」に比べて重大事故が減り切らない原因のひとつとみられている。
高齢のタクシー運転手は生活がかかっているとはいえ、健康診断の結果を“操作”していいことにはならない。ましてや命を預かる仕事だ。“操作ナシ”を前提にした上で、より厳しいチェック体制が必要だろう。東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌氏(循環器専門医)が言う。
「運転中の重大事故の原因となる病気は、脳卒中と心疾患が2大因子。脳卒中のリスクを調べるには、MRAで脳の血管の状態をチェックすることが重要です。心臓に超音波を当てると、心臓の大きさや形、心臓の壁の厚さ、動き方に加え、血液の流れる速度と方向も分かります。さらに頚動脈への超音波検査で血管の狭窄の状態を推定できます。本当の体の状態を調べるなら、健康診断の項目にこれらをプラスすることが必要です」
減塩でスープは残して(C)日刊ゲンダイ
仮面高血圧が3割前後も
脳のMRAや心臓と頚部の超音波検査は、職場の健康診断にも含まれていない。人間ドックで企業健診を代用しているケースでも、これらはオプションなのが一般的だ。重大病の検査が健診で心もとないのは、運転手も一般のサラリーマンも同じ。それに加え、病気が隠された“異常ナシ”も実は一般サラリーマンに少なくないという。どういうことか。対策も含めて桑島氏に聞いた。
「医療機関で測定した血圧が140/90mmHg以上は高血圧と診断されます(家庭での測定は135/85以上)。この基準を下回ると正常です。しかし、ある事務系の職場に血圧計を置き、仕事の合間に血圧を測ってもらったところ、健康診断で正常血圧だった151人のうち36%の55人が高血圧の基準値を上回っていました。別の会社でも同様で、健診で正常血圧とされた267人のうち、23%の62人が高血圧。その後も調査を続けると、健診で正常でも仕事の合間に高血圧という仮面高血圧が3割前後いることが分かったのです」
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞のリスクのひとつ。仮面高血圧だと、そのリスクが見逃される。それでは、今回のタクシー事故が引き起こされた状況とあまり変わらない。“異常ナシ”が悲劇を起こしたミステリーが、一般のサラリーマンにも重なるゆえんだ。
「仮面高血圧の人の中には、上(収縮期)の血圧が200ということも珍しくありません。40~50の上昇はザラ。血圧のコントロールが悪い人はとにかくひどい。仮面高血圧は、治療で血圧をきちんと下げているグループに比べて3倍も脳卒中や心筋梗塞になりやすい」
■MRAで血管の状態を把握
たとえ運転手の健康診断が異常ナシでも、仮面高血圧の可能性は否定できない。だとすれば、サラリーマンも要注意。健診を受けて仮面高血圧の人も、健診をサボっている人も今回の事故を教訓に健康管理を見直すべきだろう。
では、どうするか。
「自宅に血圧計を用意して、朝と夜の1日2回、血圧を測るようにするのが一つ。朝は起床後30分~1時間以内で、夜は食事や入浴の前です。可能なら、職場でも相談して血圧計を買ってもらい、時々、測るといいでしょう。血圧は、ストレスや食事、運動などの影響で上下に変動するので、一日の変動幅を知ることです。その振れ幅が大きい人は、その幅を少しずつ小さくするように生活改善が欠かせません。毎日30分のウオーキングと減塩が基本。太っている人は減量も必要です」
その改善策に加え、前述の検査。中でも脳のMRA検査が重要だ。
「心筋梗塞や脳梗塞、脳出血は動脈硬化がベースなのですが、くも膜下出血は脳の動脈の瘤が大きな原因。これを見つけるには、血管の状態を調べるMRAが不可欠なのです」
仕事のストレスで命を左右するようなピンチに遭わないためには、これくらいのことを頭に入れておこう。
下記の記事はハルメクWebからの借用(コピー)です。
もの忘れが増えてくると「認知症の始まりかも?」と不安になる人も多いでしょう。でも大丈夫! 何歳からでも脳の活性化・若返りに挑戦できます。そのためには、脳に刺激を与え続けることが大事です。脳を活性化する生活習慣をまとめて紹介します。
目次
1. 健康のために、脳にいい生活習慣が大切!
2. まずは、生活習慣チェックメモで1週間の行動を振り返る
3. 今すぐできる!脳を活性化する生活習慣
4. 雑誌「ハルメク」10月号もの忘れ認知症を防ぐ脳トレ特集
5. 10月28日開催!親の認知症との向き合い方講座
6. 11月10日開催!認知症予防に「片足立ち」講座健康のために、脳にいい生活習慣が大切!
脳の健康のためには、常に新しい経験をすることが大切。では、みなさんの毎日は? 改めて振り返ると、意外と同じことを繰り返していることに気付くはず。
「年を取ると脳の働きはゆっくりになって、もの忘れをしたり、判断するのが遅くなったりします」と医師の米山公啓(よねやま・きみひろ)さん。
「原因は、記憶や学習を司る脳の神経細胞、それを助ける神経膠(こう)細胞、脳に栄養を送る脳動脈、この3つが衰えていくことです」
何もしなければ、年齢とともに脳は衰えていきますが、「日々の生活で新しい刺激を与えれば、脳の細胞は増やせます。また、食べ過ぎを控えたり、ウォーキングなどの運動をしたりすることは、脳動脈を若返らせることにつながります」と米山さん。
脳の健康を保つためには、新しい刺激を与え続けることや食事・運動など、生活習慣の改善が欠かせません。
まずは、生活習慣チェックメモで1週間の行動を振り返る
脳の活性化のためにまず行うことは、毎日の生活の把握です。「そのために1週間の生活をメモします」と米山さん。書き出すことは、「食事内容」「行ったところ・したこと」「話した相手」です。
「生活習慣がワンパターンになっていないか振り返りましょう。ポイントは、脳に新しい刺激を与えられているかです。同じことばかりしていると、脳の同じ回路しか使わず、脳は衰えてしまいます」
生活を少し変えるだけで脳は活性化します。例えば、新しくできた近所のレストランで外食をしたり、同じ店でも食べたことのないメニューを頼んだり。そんな簡単なことからでOKです。
今の医学では、認知症が発症したら治せる薬はないと話す米山さん。「だからこそ、予防が大切です。毎日の生活習慣を少しずつ変えていって、脳を若々しく保ちましょう」
今すぐできる!脳を活性化する生活習慣
同じことばかり繰り返していると、脳は衰えていくばかり。毎日の暮らしを少し変えるだけで、脳のトレーニング(脳トレ)につながります。
さっそく脳の健康を保つ新習慣をチェックしていきましょう!
脳トレ習慣1:立って動いている時間を増やす
記憶には脳の海馬という部分が関わっていますが、1年間、週に3日、30〜45分歩くと海馬の容積が2%増加し、20%記憶力がよくなるという研究データがあります。掃除や料理をするだけでも、脳に刺激を与えることになります。毎日方法を変えるとより効果的です。
脳トレ習慣2:片道1時間以上かけてお出掛けする
いつも決まったところにしか行かない生活を続けていると脳が衰えます。月に1回は100km以上、月に2回は50km以上離れたところへ、意識して出掛けるようにしましょう。家から遠くに行けば行くほど、脳は活性化します。
脳トレ習慣3:時代についていく努力をする
「スマホやキャッシュレス決済なんて無理」と、やる前から諦めていませんか?新しいことに挑戦することは、脳に刺激を与えるので、ぜひ挑戦してみましょう。また、インターネットを活用して新しい情報にふれることも、脳の活性化につながります。
脳トレ習慣4:積極的に人と会う
人に会って話すと、表情・言葉の調子・身振り手振りなど、いろいろな信号が脳に入ってくるため、脳の広い分野を刺激できます。一人暮らしでも、お店の店員に話しかけたり、近所付き合いを積極的にすれば認知症予防になるというデータもあります。
脳トレ習慣5:習い事や趣味を持つ
新しく絵や音楽などを習い始めるのは、脳にとって非常にいいことです。ただし、習い事として教わっているだけでは受け身なので、自主的に展覧会をしたり、発表するレベルまで高めていくことが大切。よい評価を受けると、さらに脳が活性化します。
脳トレ習慣6:面白いと思ったらすぐに記録する
心が動かされたり、興味を喚起されたときは、脳に刺激を与えられている瞬間です。また、その記憶を振り返って思い出すときも、脳は活性化します。美しい景色や面白そうな映画に出合ったら、すぐに記録を残しましょう。記録にはスマホのカメラがおすすめです。
脳トレ習慣7:何事も前向きに!ポジティブ思考を持つ
物がなくなったり、壊れたりしたら、嘆くのではなく、新しいものに出合えるチャンスだと、前向きにとらえることが大切です。困ったことが起きたときも、ポジティブに考えると脳が元気になります。神経質にならず、前向きに考えるクセをつけましょう。
脳トレ習慣8:「地中海食」を食べる
地中海地方の食生活は、生活習慣病だけでなく、脳の認知機能の改善につながるという研究が。穀物、ナッツ類、野菜、豆、果物などはもちろん、たんぱく質も魚や肉からバランスよく取りましょう。炭水化物ばかりの食生活は厳禁です!
脳トレ習慣9:料理をする
指先を使うことは、脳に非常にいいことですが、単純作業を繰り返して手が動きを覚えてしまったら意味がありません。料理は手順を頭で考えて、毎回違う手の動かし方をするので、脳にいい刺激になります。わざと手順を変えてみるのも効果的です。
脳トレ習慣10:その日やったことを寝る前に思い出す
起きている間、脳はフル活動していますが、睡眠中も休んでいるわけではありません。その日に入ってきた膨大な情報を整理しているのです。寝る前にその日にあったことを振り返れば、大切なことをしっかり記憶する手助けになります。
脳トレ習慣11:もの忘れをしても気にし過ぎない
考え過ぎることは、脳にストレスを与えます。几帳面な人ほど認知症になりやすいという研究もあります。ですから「忘れてしまったけど、まぁいいか」と楽観的な気持ちを忘れずに! 脳は忘れることで新しいことを覚えられるのですから。
以上「脳の活性化に効果的な生活習慣11」でした。認知症予防には、こうした生活習慣とともに、脳トレドリルやゲームも効果的です。あわせて取り入れてみましょう!
監修者プロフィール:米山公啓さん(神経内科医)
よねやま・きみひろ 1952(昭和27)年山梨県生まれ。聖マリアンナ大学医学部卒業。米山医院院長。「もの忘れを90%防ぐ法(三笠書房刊)をはじめ、脳科学、認知症、老人医療など、幅広い分野で著書多数。
下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。
「結婚とは、まさしく相互の誤解に基づくものである」
小室圭と結婚が決まった秋篠宮眞子さんに聞いてみたいことがある。
あなたは両眼を見開いて小室圭という男を見ているか。結婚はいかなる羅針盤も発見したことがない荒海だということを覚悟しているか。
写真=時事通信フォト
婚約が内定し、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京都港区の赤坂東邸[代表撮影]
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イギリスの詩人、オスカー・ワイルドは「結婚とは、まさしく相互の誤解に基づくものである」といっているが、その美しき誤解が解けたとき、あなたはどうするのか。
読売新聞(9月1日付)が「秋篠宮眞子さま年内結婚」と報じて以来、各メディアの凄まじい取材合戦が始まった。
特に、女性週刊誌や週刊文春、週刊新潮は、秋篠宮眞子さんに厳しい論調に終始している。
「暴走婚」(週刊文春9/16日号)「プリンセスはどこで道を踏み外してしまったのか」(週刊新潮9/16日号)「もはや眞子さまは皇室から“追放”されるかのようだ」(女性自身9/21日号)
それ以上に気になったのは、母親の秋篠宮紀子さんが9月11日の誕生日に、記者から寄せられた質問に文書で回答したが、内容がほとんど昨年と同じだったことである。
読売新聞の報道が出た後だったので、紀子さんの口から娘が結婚しますという言葉が聞けると思っていたが、空振りに終わった。
これが何を意味するのか。結婚はさせるが、私たち両親は、この結婚を決して認めていないという意志表示なのだろうか。
スケジュール的に切迫しているこの時期に、いまだに沈黙を守っている秋篠宮夫妻には、どういう腹積もりがあるのだろう。
いずれにしても2人の結婚は認められ、早ければ眞子さんの誕生日である10月23日前に、入籍、皇籍離脱となるのだろう。
2人の結婚生活はいったいどうなるのか
私は秋篠宮眞子さんと小室圭の婚約延期のときから、2人の意志は固く、間違いなく結婚すると見ていた。
それが成就し、喜びに溢あふれる2人の笑顔を見てみたいと思う。だが、週刊誌とはやや違った観点からではあるが、秋篠宮眞子さんと小室圭の結婚後について憂慮している。
当然のことだが、恋愛と結婚はまったく違う。冒頭書いたように、結婚前は相手のことを両眼を見開いてしっかり見ろ、結婚してからは片目をつぶれといわれる。
報道によれば、2人が出会ったのは国際基督教大学の3年、20歳のときだそうである。6月に交換留学の説明会で言葉を交わしたのがきっかけで、7月には初デートをしたという。
「“しっかり者のお姉ちゃん”とされていた眞子さまにとって、小室さんは甘えられる唯一の相手だった。眞子さまは交際開始から早い段階で結婚を意識され、その思いに小室さんも、すぐに応えられたのです」(秋篠宮家関係者)
眞子さんが英国留学しているとき、三菱東京UFJ銀行(当時)にいた小室圭が会いに行き、仲睦まじい様子が何度か報じられている。
文春は「婚約前からマンションに何度も通っていた」
さらに週刊文春は、眞子さんは婚約前から横浜市北東部にある小室圭の2DKのマンションに何度も通っていたと、衝撃的な“事実”を報じている。
最初に訪れたのは眞子さんが英国留学を終えた後だという。
「女性は自らの両親にも、彼の紹介を済ませていた。彼からはすでにプロポーズを受けていたし、その後、英国に留学したときにも、彼は大型連休を利用して会いに来てくれた。帰国後、ようやく彼の自宅を訪れることができたのだ」(週刊文春)
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交際を始めた翌年の2013年12月、小室圭は眞子さんに、こうプロポーズしたという。
「将来、結婚いたしましょう」
だが、留学から帰ってからは外で会うわけにはいかなくなった。
「人目を憚ったのか、お二人の逢瀬は“おうちデート”が多く、(中略)小室さんが秋篠宮邸に遊びに来るときは、眞子さまの部屋で二人きりで“おこもり”状態になることもあったそうです」(宮内庁関係者)
愛は順調に育まれていった。だが、小室圭の母親・佳代と元婚約者との金銭トラブルが報じられ、婚約が延期になる。小室圭は弁護士資格を取得するためにニューヨークへ行ってしまうが、毎日やり取りは欠かさなかったようだ。
「自由に羽ばたきたい」という願望は秋篠宮家の教育方針か
週刊新潮で佳代の知人が、こう語っている。
「佳代さんは『圭と眞子さまは、いつもスカイプを使ってやり取りしています。圭は画面の眞子さまに“君はいつでも可愛いね”と話しかけているんですよ』とも自慢していました」
口の悪い週刊新潮は「さながらジゴロの口上」のようだと評しているが、それはともかく、小室圭がニューヨークへ行ってから3年以上、会話はできても、直にお互いが触れあうスキンシップは一切できていないのである。
普通のカップルなら、交際中に何度か諍いさかいを起こして別れたり、よりを戻したりしながらお互いをよく知るようになる。
だがこの2人には、そうした時間がないまま、眞子さんの思いだけが募っていったのではないだろうか。
多くの週刊誌が書いているが、眞子さんには昔から、籠の鳥のような皇室での生活から飛び出して、自由に羽ばたいてみたいという願望があったようだ。
それは、学習院ではなく国際基督教大学に進ませた秋篠宮夫妻の教育方針でもあったはずだ。 これは私の推測だが、秋篠宮が紀子さんと結婚するとき、さまざまな異論が宮内庁などから噴出し、苦労した経験が彼の中にあったからではないか。
こんな窮屈な皇室という身分から離れ、一人の人間として自由に生きてみたいという思いが秋篠宮の中に残り、子どもたちには自由を謳歌してほしいと考えた。そんな秋篠宮の教育方針が悪いと批判する向きもあるが、私は、その秋篠宮の思いは、眞子さんと佳子さんに確実に伝わっていると考えている。
皇室から脱出するには結婚という選択しかなかった
眞子さんの願望を現実のものにするために、眞子さんと小室圭はだいぶ前から工程表を作っていたのではないかという見方がある。
女性自身(9/21日号)がこう報じている。
「息苦しい皇室での暮らしを抜け出して、自由に生きたい――。小室さんなら、その願いを叶えてくれるとお考えになり、プロポーズを受け入れられたのでしょう。8年前のプロポーズの時点から、お二人の“海外脱出計画”は始まっていたのです」(宮内庁関係者)
眞子さんは英国留学をはじめ海外に公式訪問などで赴き、英語に磨きをかける。一方、小室圭は、海外支店勤務の可能性がないとUFJを2年で辞め、パラリーガルをやりながら、海外で弁護士資格を取得しようと考えていたのではないか。
なぜなら、アメリカのビザ取得は年々難しくなってきている。弁護士資格を取り弁護士事務所に就職できれば、就労ビザ(最長6年)取得のハードルは下がり、眞子さんも配偶者ビザを取ることができるからだ。
「私をここから出して、自由な世界に連れていって」くれる人ならば、小室圭でなくても誰でもよかったとは思わないが、彼女が皇室から脱出するには、結婚するという選択しかなかったのである。
「小室さんの入社依頼が断られていた」と報道
だが、恋愛は夢物語でいいが、生活は現実である。
彼女たちのニューヨーク新婚生活にはいくつもの障害があることが、これまでも報じられている。
愛情は溢れるほどあるから心配ないが、第1はカネの問題である。一部では、小室圭は弁護士事務所に就職が決まったという報道があったが、弁護士経験が全くないパラリーガルのような人間に大枚をはたくところはないのではないか。
年収2000万円程度ではないかといわれるが、税金も物価も高いニューヨークで余裕のある生活を送るには十分な額ではあるまい。
週刊朝日(9/28日号)は、アメリカの有名弁護士グループのA氏を引っ張り出して、小室圭からの入社依頼を断ったといわせている。
全米トップ100と呼ばれる大手弁護士事務所(ビッグロー)のパートナー弁護士Aがいうには、昨年の秋ごろある弁護士を通じて小室圭から「働かせてほしい」と、経歴書のようなものが送られてきたそうだ。
小室は、ニューヨークなど大都市で弁護士の仕事を探していて、ビッグローかミッドローでM&Aの仕事をやりたいと書いてきたそうだ。
だがAは、小室圭は弁護士になるために必要なJD(法務博士)コースに入らず、LLM(法学修士)のコースに入り、1年後にJDに編入していることを問題にしている。
経歴で目立つのは「眞子さまのフィアンセという一点」だけ
「米国での就職活動は、2年生の終わりの夏休みで終わります。事務所のサマープログラム(インターン)で働き、その後よほどのことがない限り、その事務所からオファーを受けて就職します。どの事務所のプログラムに入れるかは、1年時の成績で決まります」
ビッグローのインターンはハーバードやエール、コロンビアといった有名大学から来る成績優秀者の中から絞っていくそうだ。
写真=iStock.com/Pattanaphong Khuankaew
※写真はイメージです
競争は熾烈だが、インターンに採用された学生には1年目から2000万円以上の給与が支払われるという。
その点、小室圭の経歴には目を見張るものがなかった。あるのは「眞子さまのフィアンセという一点」だけ。
M&Aを扱っている弁護士事務所の70%超はトップ100が扱っているので、小室圭はM&Aにこだわらないほうがいいともいっている。
眞子さんは約1億4000万円といわれる一時金を辞退するようだが、眞子さんが働いて家計を助けるという選択肢はあるのだろうか。
「若くて職歴がほとんどない場合、米国ではいきなりどこかに就職するというのは難しいです。インターンなどを経て、初めて同じスタートラインに立てます。眞子さまとはいえ、すぐに仕事というのは難しいのでは」(ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子)
いいこともある。津山がいうには、アメリカでは小室圭には関心がないが、眞子さんを応援している人は多いというのである。メーガン妃の父親もトラブルメーカーだったが、「大事なのは本人」というアメリカ的な考え方からだが、眞子さんにとっては心強いだろう。
眞子さまに降りかかる「さらに深刻な問題」
セキュリティーのための費用もバカにならない。
将来、秋篠宮が天皇になれば、天皇の長女であり、悠仁さんがなれば、天皇の姉君になる眞子さんにもしものことがあってはならない。そのための警護やセキュリティーを堅固にするための費用は相当なものになるようだ。
女性自身で、警視庁でSPを務め、現在は「身辺警護SP学院」で講師を務める伊藤隆太が、「一流の会社に依頼するとなれば、1人を1カ月間雇うだけでも100万円以上は必要です」といっている。
眞子さんには、成人してから年915万円の皇族費が支給されているそうだ。それが1億円ぐらいにはなっているのではないかと週刊新潮は推測している。
庶民にとっては大金だが、新居の購入や毎月のセキュリティー費用を考えれば、あっという間に吹っ飛んでしまう額であろう。
さらに深刻な問題は、トラブルメーカーの異名をとる母親の佳代が、横浜の家を出て、祖父とともにニューヨークへ移り住み、一緒に暮らすのではないかという「佳代問題」である。
小説やドラマによくあるが、マザコンの夫は、嫁姑戦争が起きると母親側につくことが多い。まして、母一人子一人で暮らしてきた小室圭にとって、母親は嫁さん以上に大切な人かもしれない。
前途多難などとは言い表せないほど険しい道のりだが…
万が一、離婚という最悪のケースになっても、眞子さんは皇室に戻れない。バツイチとして、秋篠宮家の近くで住むといっても、世間のまなざしは厳しいことが予想される。
前途多難などという言葉ではいい表せないほど、秋篠宮眞子さんのこれからの人生は険しいと思わざるを得ない。
眞子さんという女性は、こうと決めたら梃子てこでも動かない強靭で「烈しいご気性」(週刊文春)は持っていると思う。
だが、彼女が思い描いていた理想と現実の間に大きな齟齬そごが生じた場合、それに耐えられる靭つよさを持っているだろうか。
とまあ、老婆心からいろいろなことをいってきたが、好きな人と一緒になるのだから、サンデー毎日(9/19日号)で森暢平成城大教授がいっているように、
「眞子さまと小室さん、逃げるは恥だが役に立つ。この絶望の国からNYに、はばたけ!」
と明るく送り出してあげるのがいいのだろうな。(文中敬称略)
元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。
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秋篠宮家の長女眞子さま(29)と小室圭さん(29)の結婚報道について、SNSなどでは「破談にすべきだ」といった声があがっている。コラムニストの河崎環さんは「報道をきっかけに小室圭さんへのバッシングが再燃しているが、私は『駆け落ち婚』でむしろ溜飲が下がった。そういう女性は少なくないはずだ」という――。
結婚報道で「エア親戚」化する国民
9月1日、日本のメディア各社は、秋篠宮家の長女・眞子さまと婚約者・小室圭さんが年内にご結婚される方向で調整中であるとのニュースを一斉に報じた。この7月に米国フォーダム大学ロースクールを卒業した小室さんのニューヨーク州司法試験合格と法律事務所への就職の見通しが立ち、年内に婚姻届を提出する見込みだという。一般の結納にあたる「納采の儀」は行わず、1億円超の「結婚一時金」も辞退するそうだ。
これを受けて、これまで眞子さまと小室圭さんの「お付き合い判明」から婚約、小室さんのニューヨーク留学を通して、何か新しい動きがあるたび、率直に言って「破談せよ」の勢いで叩いてきたメディアやSNSが、また大騒ぎ。特に小室家の金銭問題と小室圭さんの母・佳代さんの結婚交際歴その他をあれこれとほじくっていた向きは、「やはり(我々の恐れていた)駆け落ち婚か!」と怒り心頭で、小室圭さん憎しの呪いの言葉をあちこちで上げている。
何がすごいって、検索窓に「眞子様」と入れると、検索サジェスチョンとして相当な上位に「眞子様って馬鹿なの」と、ひどく感情的なフレーズが出てくることだ。世間がどれほど眞子さまと小室圭さんの結婚に否定的であり、しかも神経を逆撫でされているかが透けて見えるが、その原因の大部分が「小室圭さんは日本の内親王の結婚相手として不適切である」との反感であり、いやいや、その親戚のジジババとか小姑みたいに情熱的な皇室への思い入れは一体どこからくるのよ、と思わされるのである。
私も含め、多分全員が皇位継承権「1億3000万番台」。はっきり言って他人中の他人なのである。エア舅、エア姑、エア親戚状態で「あの小室圭ってのは」「でも眞子さまも」と、特にSNSやネットニュースのコメント欄で熱心に持論を展開している人を見ると、むしろ親切な人だなぁ、そんなに皇室に関心があるんだなぁと苦笑する。
「皇室ジャーナリズム」が育てる“世論”
皇室ジャーナリズムというジャンルがあって、皇室の皆さんの日常やファッションをあれこれ写真や映像に撮っては、皇室事情に詳しい皆さんの意見やコメントをあれこれ合わせて報じる。するとこれが、確実に読まれたり見られたりするから不思議だ。皇室は、トップアイドル並みに一定の「数字」を持つテッパンコンテンツなのである。
これは別に日本に限ったことではなくて、イギリス王室の話題を執拗に追う英国の王室ジャーナリズムなどはもはや歴史も長ければ規模も遥かに大きく、王室の話題やセレブの醜聞専門のタブロイド紙や週刊誌、ファッション誌もあるほどだ。ウィリアム王子とケイト妃の間に3児が次々生まれた数年間は、少なくとも全ロンドンでその話題が挨拶がわりになっていたし、ハリー王子がメーガン妃と王室離脱する「メグジット(メーガン王室離脱)」の一連の狂騒なんて、ブレグジット(英国のEU離脱)や保守党内情のあれこれから国民の気を逸らす目くらましとして大いに利用されていただろう。
「民とは一般に王室や皇室に興味があるもの」なのだろう。だがそれは、マスコミが定期的に燃料となる話題を投下することで、双方向的に作られ大きく育てられた関心でもある。「世間がそれを求めるから」「売れるから」を理由にマスコミは話題を作り煽り、世間はそれに忠実に乗ってああでもないこうでもないと「国民的家族」の行方について口角に泡飛ばして語り、お祭り騒ぎを起こす。王室は、アイドルなのだ。
これと同様のことを、英国タブロイド紙やテレビの手法をお手本にして、日本の週刊誌やテレビが「テッパン」として意識的にやっている。結果、誰もが「自分の知っている“あの家族”」について何かしら知識や意見を持つようになり、誰もが心理的には「皇室の遠い親戚」となるのだ。
「エア親戚」からのエグジット
そんなエア親戚(つまり他人)だらけの日本でコテンパンに叩かれた小室圭さんと眞子さま。小室さんとの結婚を「私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択」とまで言い切ったという眞子さまは、もうこの10月に30歳の誕生日を迎えられるそうだ。
30歳! 世間的に考えれば、もう十分にいい大人である。しかもよくよく考えれば、相当なレベルの教育を受け、社会的スキルも十分にあって自力で稼いでいける2人なのである。そんな成人男女がお互い結婚したいと(しかも立派にも『自立したい』と!)足下を固め整えていく姿に世間がいまだあれこれ足を引っ張るのを見て、「マジ勘弁」「いつまでやってんの日本」とため息をつく女たちは、私のまわりにも多い。
「結婚したいって、そこまで思える相手がいること自体がこの国のこの時代には貴重なんだからさぁ」
「眞子さまがコムKをいいって言ってんだから、2人がどう安定して結婚できる方向へ持っていくか考えてあげるほうが生産的だよね?」
「眞子さまのため、とかそれらしく正当化するウエメセが気持ち悪いよね。お前誰だよって」
「結局、日本なんて先進国じゃないんだよ。皇族の結婚に価値観が全部現れてるもんね。男尊女卑が頭から爪先まで染み込んで、抜けやしないんだよ」
私のような40代の女性たちも、これから結婚するかもしれないアラサー女子たちも、SNSや内輪のチャットでそうぼやく。
自分たちもまた、眞子さまのように他人からあれこれ言われた経験がドッカリとある。あるいは、これからあれこれ言われる予感がビシバシする。そんな女たちほど、世間のこういった「なぜか素直に祝福せず、結婚前の女にあれこれお節介したがる」温度を敏感に察知し、拒否感を持っている。
Twitterには「秋篠宮家を守れ」なんてハッシュタグまで登場して、アンチ小室圭さんキャンペーンを張った人々もいたそうだ。超絶他人の皆さんがどうしたことか血道を上げる、引くほど大きなお世話。エア親戚活動、ご苦労様である。
ハリー王子が(英タブロイド紙の論調によれば“メーガン妃にそそのかされて”)「メグジット」という王室離脱に至ったのなら、眞子さまだって「コムジット」、いや「マコジット」しちゃえばいい。世間が嘆いてみせる眞子さまの「駆け落ち婚」は、実のところしっかり者の長女で十分な才女である眞子さまこそがコムKをパートナーに選んで海外へ脱出する、要らぬお世話だらけの日本世間からのエグジットなのだ、と、女たちは密かにほくそ笑んでいる。
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト
1973年、京都府生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。時事、カルチャー、政治経済、子育て・教育など多くの分野で執筆中。
下記の記事は日経グッディからの借用(コピー)です
老化を進める要因として、近年、「酸化」と並んで大きく取り上げられるようになったのが、「体が焦(こ)げる」などと言われる「糖化」です。
糖化の専門家である同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授の八木雅之さんは、「近年の研究から、糖化は酸化と並んで、人間の老化を進める主因の1つであることが分かってきました。糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質が劣化する現象です。これが体内の組織の劣化や機能低下をもたらします」と話します。
糖化は、肌などの見た目の老化だけでなく、血管、骨、関節組織、さらには糖尿病の合併症、認知症にも関わることが近年の研究で明らかになっています。気づいたときには全身の組織が糖化でボロボロになっていた――などという事態を避けるためにも、早い段階で対策に着手したいところです。
八木さんは、糖化ストレスの引き金になるのは「高血糖状態」(血糖値が高い状態)、特に注意すべきは食事の後に一時的に血糖値が急上昇する「食後高血糖」(血糖値スパイク)だと話します。
「糖化ストレス対策の基本は、普段の生活習慣、特に『食事で常に抗糖化を意識すること』です。その中でも、糖化にダイレクトに結びつく『食後高血糖』を防ぐことが肝心です。1日3回の食事ごと、場合によっては間食をとるごとに、食後高血糖が起こって糖化が進んでいる可能性があると自覚することが対策の第一歩になります」と八木さんは話します。
実際に、糖をとると、血糖値上昇とほぼ同時に、体内の糖化の指標となる糖化生成物(メチルグリオキサール:糖化反応の中間生成物の1つ)が増えていることが最新研究から明らかになっています(下グラフ)。
食後高血糖の際は、糖化生成物も増えていた
糖代謝が正常な人(279人)、糖代謝異常のある人(120人)、2型糖尿病患者(92人)を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行った。糖負荷後に、糖化ストレスの指標となる糖化生成物(糖化反応の中間生成物:MGO=メチルグリオキサール)の血液中濃度を調べた。糖負荷後に血糖値が上昇するのと同時に、糖化反応によって起こるMGOの濃度も高くなった。(Diabetes Care. 2015 May;38(5):913-20.)
最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」
では、食後高血糖を防ぐためには、どんな食生活をすればいいのでしょうか。
血糖値を上げるのは糖質です。だから、ごはん、パンなどに代表される糖質の摂取量を抑える、もしくは、血糖値を上げにくい食品(低GI食品)を選ぶといった選択肢を想像する方も多いでしょう。もちろんこういった対策も重要ですが、八木さんは、これらの前に「主食と何を組み合わせるか」そして「食べ順」の見直しから始めてほしいと話します。
牛丼に「体に良い」というイメージは薄いが…。(写真提供:PIXTA)
「制限が多くて食事の楽しさが奪われたり、実践が難しかったりしては、長く続きません。ごはんやパンを普段と同量食べるにしても、実は『何と一緒に組み合わせて食べるか』で食後の血糖値の上昇は変わります。無理をして我慢せず、まずは食べ合わせを工夫するところから始めることがポイントです」(八木さん)
八木さんが具体的に例として挙げるのが牛丼です。一般に、ごはんたっぷり、脂肪たっぷりというイメージのある牛丼は、体に良いという印象は薄いでしょう。しかし、「糖化」対策という観点では、白ごはんをそのまま食べるより、牛丼の方がいいと八木さんは話します。「私たちの研究から、ごはん(白米)より牛丼の方が血糖値の上昇が抑えられることが確認されています。牛丼に含まれるたんぱく質と脂質が血糖値上昇を抑制したと考えられます」(八木さん)
男女12人を対象に、白米(230g)、牛丼(白米230g+牛丼の具)を摂取してもらい、食後の血糖値を測定。その結果、牛丼の方が血糖値の上昇が低かった。(Glycative Stress Res. 2015;2(2):67-71.)
最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」なのだと八木さんは指摘します。「コンビニでおにぎりを2、3個買ってランチを済ませる、という人は少なくないでしょう。この『炭水化物の固まり食い』が良くないのです」(八木さん)
「おにぎりは農作業をする人、肉体労働をする人など、運動時に速やかなエネルギー補給が必要なときの“携帯食”として食べられてきたものです。食後にすぐに運動するから、血糖値の上昇も抑えられるわけです。“動かない”デスクワークの人がとると、血糖値が急上昇するのは当然です」(八木さん)
サラダチキンや酢との組み合わせで、糖化ストレスが抑えられる
ポイントは、主食を何かと組み合わせることになります。では、具体的に主食と“何を”組み合わせればいいのでしょうか。
「手軽に組み合わせられることができて、血糖値上昇を抑える働きが期待できるもの、それは『たんぱく質』と『酢』です」と八木さん。
八木さんたちは、「サラダチキン」と「酢」(150mLの水に混ぜて摂取)を使ったユニークな検証を行っています。「白米(米飯)のみ」と、「白米+サラダチキン」、「白米+食酢(穀物酢)」の組み合わせで摂取して、血糖値の変化を測定しました。その結果、サラダチキン、および食酢とセットで摂取すると食後の血糖値上昇が抑えられることが確認されました。
男女10人を対象に、「白米(米飯)のみ(200g)」と、「白米+サラダチキン(55gと110g)」、「白米+穀物酢(15gと30g:150mLの水に混ぜて摂取)」を摂取した後の血糖値変化を測定した。その結果、サラダチキンと食酢をとったケースでは、食後の血糖値上昇が抑えられた。(第19回 日本抗加齢医学会総会(2019年)にて発表)
八木さんは、魚やチーズなど他のたんぱく源でもOKだと話します。「サラダチキンの他にも、最近人気のサバ缶やチーズ、あるいは豆腐などの、たんぱく質を多く含むおかずを組み合わせれば、同様の効果を期待できます」(八木さん)。さらに「主食をとる前にたんぱく質や酢をとる、というふうに“主食を後回し”にするとさらに効果的です」と話します。
食物繊維が豊富な野菜を主食より先に食べることも、「ベジタブルファースト」として、血糖値上昇を抑えることが知られています。八木さんは「サラダを食べる際のポイントはドレッシングです」と指摘します。
「ドレッシングに含まれる酢、そして油が血糖値を抑えます。私たちの実験では、同じうどんを食べるときでも、素うどんより野菜をたっぷりのせてドレッシングを加えた『サラダうどん』が血糖値上昇を抑えられました」(八木さん)
このほか八木さんは、食事の際にヨーグルトを最初にとる「ヨーグルトファースト」を勧めます。白米を食べる前にプレーンヨーグルトを食べると、食後の血糖値上昇が抑えられるそうです。
「白米(米飯)だけより、ヨーグルトを先に食べ、その後白米を食べたほうが血糖値の上昇が抑えられたことが確認されました。この効果は、ヨーグルトの乳酸が、胃から小腸へと食物が移動する速度を緩やかにすること、そしてヨーグルトのホエイ(乳清)に含まれるペプチドがインスリンの分泌を促進することによるものと考えています」と八木さん。
注意! “朝食抜き”は次の食事での糖化を加速させる
ここまでは、食事の内容について解説してきましたが、八木さんは、「何を食べるかだけでなく、『欠食しない』ことも糖化を抑える習慣として大切」と強調します。
具体的に注意すべきは朝食です。朝食をきちんととることも糖化対策になると八木さんは話します。
「朝食を抜くと、その次の昼食後の血糖値上昇が大きくなります。また、朝食は白ごはんのみよりも、たんぱく質を多く含む食事にしたほうが、昼食後にも血糖値を上昇させにくくなります」(八木さん)
「実験では、朝食を抜くと、食後の血糖値が上昇しやすいだけでなく、いったん上昇した血糖値の下降も急でした。血糖値の変動幅が大きいほど、体が受ける糖化ストレスは大きくなるので、その意味からも欠食は避けるべきです」(八木さん)
ここまで紹介してきた対策のほかにも、効果が期待できる対策はあります。糖化反応を抑える食物を摂取する、体内で生成された糖化最終生成物(AGEs)を分解する働きを持つ成分をとるといった対策です。糖化反応の抑制効果が期待できる食物としては、お茶、ハーブ、スパイスなど、AGEsの分解効果が期待できる食物としては、ヨモギ、レンゲソウ、ザクロ果実、ゆず果皮、ハーブなどがあります。