～男女の仲～

恋人の仲はあまりつづ
けて一緒にいると、冷めやす
いし、

くっついてばかりいると損なわ
れやすい。

知らない女性はどれも愛想が
よく見える。

　　　　　↓
悪い夫を手に入れる女性は
大概結婚を急ぎ過ぎた人。

よい夫を得られるならいくら
か結婚が遅れても遅すぎる
ことはありません。

蘇州夜曲

あのひとの言葉を、ひとつ残らず
覚えていた。

優しい言葉も、熱のこもった言葉
も、さり気なく置かれたひとこと
も、ただの相槌でさえも。いいえ、
それは覚えていたのではなくて、

突き刺さっていたのだった。だ
からわたしの胸は、あんなにも、
痛かった。

花ことば「さびしい」という青い花一輪胸に咲かせて眠る

知りたい？悲しい結末でも？
「もちろん」

もちろん、最後にやってくるのは
死よ。
つまり、わたしがかかっていたの
は、恋の病気だったから、しかも
それはかなりの重症で、進行の
早い悪性の病気だったから、

放っておけば、死ぬしかない。
わたしは彼を追い求め、ひたすら
追い詰めた。
もっと会いたい。もっと一緒にいた
い。もっと、もっと、もっと。

「もっと僕を信じて欲しい」
と、ある夜、彼はぽつんと言った。
「それができないなら、僕たちは
もう終わりだ」。

それに対して、わたしはいったい
なんと答えただろう。正確な言葉
は覚えていないけれど、たぶん泣き
ながら、こう言ったんじゃないか
と思う。

「あなたのせいよ。何もかもあなた
のせい。あなたがちゃんと連絡して
くれないから。あなたがわたしを
こんなに待たせるから」

ネガティブな感情。そのすべてが、
この病気の栄養になっていく。
心配すればするほど、相手を
責めれば責めるほど、病状は
悪化の一途をたどる。

泣き濡れているわたしを部屋に残
して彼は去って行った。

あんなに楽しかったのに、あんな
に素敵にきらめいていたのに。
一生懸命。海よりも深く。あの愛
は、どこへ行ってしまったの？

愛ではなく、それはただの病巣
なのに、それはあまりにも愛に
似ているから、だから恋する女
の子は、容易に落とし穴にはま
ってしまう。そして、ジ・エンド。

そろそろ、彼女が彼と待ち合わせ
の時間が近づいてきた。

ふたりのグラスはすでに空になっ
ている。
絶対的な愛を手に入れる方法を、
わたしは彼女に、教えてあげなく
てはならない。それは、手に入れ
ようと思わないことね、などと、

禅問答的なことを言うつもり
はない。わたしは女だから、女の
知恵を彼女に贈る。

それは、ふたつの「ｗ」を避ける
ことよ。
「ふたつのW？」
Wanting(求めること)　worrying
(心配すること)。そのふたつは、
恋の病気の主な病状。
それが、絶対的な愛の障害にな
っているの。

どんなに求めても、どんなに心配
しても、あなたは決して、彼の心
を得たり、変えたり、動かしたり
することはできない。

なぜならそれはもともと、コント
ロール不可能な、他人の心だから。
他人の心に頼ってはだめ。それよ
もまず、自分の心を味方につける
こと。

「自分の心を、味方に？」
そう、あなたを不安の渦に陥れて
いるのは、彼じゃなくて、あなた
自信。「絶対的な愛」は、あなた
の手でクリエイトできるもの。

ううん、あなたにしか創れない。
自信」を持って。
「よくわかった。ありがとう」
手をふって、わたしは彼女を見送る。
また会おうね、可愛い女の子。

気をつけて、恋してらっしゃい。

ため息は言葉にならず沈黙をおぎなうことのできない電話

ミステリアスな女って魅力
だよね。

ミステリアスな部分って、か
くしておくもんじゃなくて、
作っていくもんなんだ。

一緒にいない時に何をして
いるのかなということを、ふ
っと感じさせるのが女の子の
魅力なんだ。

　一緒にいると、どんどん二人
の円は重なる方向に進んでいく。

だから、
やがて円は重なっちゃう。

何もしなかったら、これがいわゆる
ときめきがなくなったという状態。

少しでも彼の気持ちを
ときめかしておきたいと
思ったら、
彼の知らない部分、彼以外に
恋するものをどんどん作って
いかないといけない。

あなた自身が彼以外に恋する
ものを持ったら、彼のやってる
ことも理解できてくる。

魅力って、意外な部分だんだ
よね。

たとえば、一緒にいる時にもう
これで帰ろうかって思う時に、
「ちょっと仕事の電話をかけて
いい？」とかって、仕事の電話を
かけてるのを見てさ。

そすると、そういうところって見た
ことないから、「あっ、こいついい
女だな」と思って、

もうちゃっと一緒にいようかなって
思うのが、男の心理なんだ。

 

六月の暦がひらり「会えない」と「会わない」の差を知らない

半分愛してください
のこりの半分で
だまって海を見ていたいのです

半分愛してください
のこりの半分で
人生を考えてみたいのです

よく枯れたバラの先端バラ色は煮つめられたようなオレンジ

 

半分愛してください
のこりの半分で
だまって海を見ていたいのです

半分愛してください
のこりの半分で
人生を考えてみたいのです

窓辺にてこの数か月を吊るさるるドライフラワーふとも動けり

あれは、わたしがまだ二十歳（はたち）
の女の子だった頃。

初めてのキス、初めてのデート、シャ
ボン玉のようにふわふわ飛んで、空中
でばちんと弾ける、そんな片思いの
恋をいくつか経たあと、

わたしはまるで巻き込まれるように、
苦しい恋に落ちた。

それは、手探りで進むしかない
真っ暗な闇の谷底に、真っ逆さまに
堕ちてゆくような恋だった。

どうしようもなかった。

好きで好きでたまらなくて、四六
時中会いたいくて、いつも一緒に
いたいと追い求めた。彼のそばに
いない時の自分は、まるで不完全
な人間のような気がしていた。

息もできないくらいに、身動きも
できないくらいに、焦がれていた。

こんなに好きなのに、こんなにも
愛しているのに、こんなに不安な
のは、なぜ？