もっと憎みなさい。恨みつらみや
憎しみの対象が相手から自分に
移る。相手から一瞬でも眼が
免れる。
それが救いになるのだから、自分
を憎む、捨てた相手じゃなく。
人間というものは他人に対しては
理不尽に厳しいものだけど、こと
自分自身のこととなると、大目に
みたり甘やかしたりするのだ。
他人に対する憎しみは長い間持続
するけど、自分自身をそう長く憎み
続けることは、不可能だ。
すると、ある朝、あなたは急に、
「もういいや」と、思う。
もう疲れた、もう自分を許しちゃ
おう、とこう思うわけ。そう
やって傷は案外早く癒えていくのだ。