けれど、それがないと主役まで
もが今ひとつの印象を与えて
しまう。
逆に、薬味がぴりっときいて
いれば、少々頼りない主役でも、
ひきしまってそれなりのものと
なる。
主役と薬味の関係を、男女の
関係に似ている。
表向きの主役は男性だが、実は
しっかり、彼を彼たらしめている
のは女性のほうなのだ。
「女性が薬味=引き立て役」そ
れが押しつけられていない。
その人の持ち味や魅力(短所で
あっても、愛があればそれは魅力
になる)を理解したうえで、本人
が進んで薬味になろうとする。
誰かの薬味になる人生――それは
言い換えれば、誰かにとって
なくてはならない存在となる
人生だ。
愛する人の薬味になれたら、幸せ
ではないだろうか。
“頼りない湯豆腐のような
君なれば
生姜のように座ってあげる