衆議院解散、実質選挙戦に入る中で、日本経済新聞に幹部が論じた、総選挙後の予測記事です。各誌が、自社の責任で何を記事にして報じても自由ですが。
この記事は、可能性としてある話であり、過去の言動、行動との関係でも今後の日本経済、政治に関する重大な内容をふくんでいるように思います。安倍氏と竹中氏は元小泉政権時代に一緒に内閣を構成した点で、気脈を通じています。このときに元小泉氏が竹中氏に経済財政政策を丸投げして起こったことを再度考えてみる必要があります。彼が提唱した「規制緩和」で日本経済はがたがたにされ、金融機関の不良債権処理に巨額の税金が投入されました。しかし、その後の金融機関の不良債権処理は進まず、中小零細企業への貸しはがしがおき、企業倒産が続発しました。郵政民営化もアメリカに言われて行いました。その結果はご存知の通りです。地方の郵便局は閉鎖され、都市部以外の郵便局は激減しました。そして、郵貯銀行の資金は民間金融機関の草刈場になりました。
このような人物が日銀総裁になれば何をするか分かったものではありません。自由主義経済、市場経済万能論を金融政策面で促進することは明らかです。とんでもない災禍が国民、中小零細企業に降りかかることが予想されます。このようなことをなんとしてもとめる必要があります。
<自民党安倍氏と竹中日銀総裁説>日経記事
鬱憤を一気に晴らすような円安・日本株高が起きている。総選挙を機に民主党が下野し、勝手知ったる自民党が政権復帰する。しかも安倍晋三自民党総裁は、金融緩和にご執心。市場も久しぶりに相場の方向を描きやすかろう。
日銀に対し3%の消費者物価上昇を求め、無制限の緩和を訴える。安倍氏のこうした主張がまず円安を促し、次いで日経平均株価の9000円回復をもたらした。
安倍総裁が予想外にプロ・ビジネス(産業界に近しい)の政策を打ち出していることも見逃せない。ひとつは環太平洋経済連携協定(TPP)参加であり、もうひとつは原子力発電所の再稼働の問題だ。
安倍氏はともにイエスと答える。産業力の面で韓国と競争し、外交・安全保障面では中国と張り合う。そんな日本の立ち位置を考えると、TPP参加は不可欠。野田佳彦首相が仕掛けようとして、かえって民主党内が割れているテーマで、あえて幅寄せしようとしている。
原発問題については、再選のおぼつかない一部の経済閣僚が、原発ゼロの推進役になった。成長戦略との関係はどうなっているのか、と企業経営者は不満を隠さない。安倍氏はこの点を突いた。
ともあれ、TPPと原発について旗幟(きし)鮮明にしたことが、市場での安倍再評価につながっている。2006年の前回、安倍政権が誕生したとき、市場に流布した標語を思い出さないか。
AKBならぬABE、つまりアセット・バブル・エコノミーである。資産浮揚政策と言い換えてもよいが、現時点ではデフレ脱却を目指すリフレーションに力点があるのだろう。
経済環境は当時よりはるかに厳しい。12年度と13年度の実質成長率の見通しは1%そこそこ。景気低迷を打破し市場の空気を明るくするには、金融緩和の度合いを強めるほかない――。
「安倍首相」のそんな考えを、政策面で実行に移せる日銀総裁候補は誰か。竹中平蔵慶大教授(元総務相)が最右翼だ、というのが多くの市場参加者の見立てである。
金融緩和には限界があると悩む気持ちが、表情や表現の端々にあらわれた白川方明日銀総裁。片や金融緩和の不足を指摘し、思い切った追加緩和を訴えてきた竹中教授。両者がバトンタッチすれば、金融政策についてのパラダイム(枠組み)がガラリと変わる。先週末にかけての円安・株高が織り込み出したのは、こうした事態だろう。
安倍氏は15日の講演では、デフレ対策として、「タンスに寝ているお金を引き出すために、できることは全部やればいい」とまで踏み込んだ。読売新聞(電子版)はさっそく、亡くなった人から財産を相続される際に、利子が付かない代わりに、国債の額面分に相続税がかからない「無利子非課税国債」を発行する案である、と解説した。
安倍氏の意図が解説の通りなら、これも一段の金融緩和に道を開くだろう。タンス預金(現金)を元手に個人が国債を買うとすれば、そのぶん現金の流通量が減ってしまうからで、現金の量を保つには日銀の追加緩和が求められる――。そんな展開が考えられる。
総選挙後の安倍政権誕生はよいとして、米国の「財政の崖」など海外の不透明材料は多い。そう主張する向きもあるが、連邦債務上限の引き上げを巡って民主、共和両党が正面衝突した、11年夏の二の舞いは避けられるのではないか。
何しろ大統領選のみならず、上下両院選挙で議席を減らしたことが、共和党に相当なショックを与えている。「小さな政府を原理主義的に訴える『茶会党』の路線では、万年野党になりかねない」との空気が党内に広がっている。アメリカ共和党内は富裕層増税に関する妥協策として、各種控除の見直しを唱えている。共和党内の原理主義派が暴走する可能性は残るものの、両党の妥協の余地は大いにある。選挙後、値動きのさえない米国株は、妥協を促すための院外の圧力団体のようにも見えなくもない。
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この記事は、可能性としてある話であり、過去の言動、行動との関係でも今後の日本経済、政治に関する重大な内容をふくんでいるように思います。安倍氏と竹中氏は元小泉政権時代に一緒に内閣を構成した点で、気脈を通じています。このときに元小泉氏が竹中氏に経済財政政策を丸投げして起こったことを再度考えてみる必要があります。彼が提唱した「規制緩和」で日本経済はがたがたにされ、金融機関の不良債権処理に巨額の税金が投入されました。しかし、その後の金融機関の不良債権処理は進まず、中小零細企業への貸しはがしがおき、企業倒産が続発しました。郵政民営化もアメリカに言われて行いました。その結果はご存知の通りです。地方の郵便局は閉鎖され、都市部以外の郵便局は激減しました。そして、郵貯銀行の資金は民間金融機関の草刈場になりました。
このような人物が日銀総裁になれば何をするか分かったものではありません。自由主義経済、市場経済万能論を金融政策面で促進することは明らかです。とんでもない災禍が国民、中小零細企業に降りかかることが予想されます。このようなことをなんとしてもとめる必要があります。
<自民党安倍氏と竹中日銀総裁説>日経記事
鬱憤を一気に晴らすような円安・日本株高が起きている。総選挙を機に民主党が下野し、勝手知ったる自民党が政権復帰する。しかも安倍晋三自民党総裁は、金融緩和にご執心。市場も久しぶりに相場の方向を描きやすかろう。
日銀に対し3%の消費者物価上昇を求め、無制限の緩和を訴える。安倍氏のこうした主張がまず円安を促し、次いで日経平均株価の9000円回復をもたらした。
安倍総裁が予想外にプロ・ビジネス(産業界に近しい)の政策を打ち出していることも見逃せない。ひとつは環太平洋経済連携協定(TPP)参加であり、もうひとつは原子力発電所の再稼働の問題だ。
安倍氏はともにイエスと答える。産業力の面で韓国と競争し、外交・安全保障面では中国と張り合う。そんな日本の立ち位置を考えると、TPP参加は不可欠。野田佳彦首相が仕掛けようとして、かえって民主党内が割れているテーマで、あえて幅寄せしようとしている。
原発問題については、再選のおぼつかない一部の経済閣僚が、原発ゼロの推進役になった。成長戦略との関係はどうなっているのか、と企業経営者は不満を隠さない。安倍氏はこの点を突いた。
ともあれ、TPPと原発について旗幟(きし)鮮明にしたことが、市場での安倍再評価につながっている。2006年の前回、安倍政権が誕生したとき、市場に流布した標語を思い出さないか。
AKBならぬABE、つまりアセット・バブル・エコノミーである。資産浮揚政策と言い換えてもよいが、現時点ではデフレ脱却を目指すリフレーションに力点があるのだろう。
経済環境は当時よりはるかに厳しい。12年度と13年度の実質成長率の見通しは1%そこそこ。景気低迷を打破し市場の空気を明るくするには、金融緩和の度合いを強めるほかない――。
「安倍首相」のそんな考えを、政策面で実行に移せる日銀総裁候補は誰か。竹中平蔵慶大教授(元総務相)が最右翼だ、というのが多くの市場参加者の見立てである。
金融緩和には限界があると悩む気持ちが、表情や表現の端々にあらわれた白川方明日銀総裁。片や金融緩和の不足を指摘し、思い切った追加緩和を訴えてきた竹中教授。両者がバトンタッチすれば、金融政策についてのパラダイム(枠組み)がガラリと変わる。先週末にかけての円安・株高が織り込み出したのは、こうした事態だろう。
安倍氏は15日の講演では、デフレ対策として、「タンスに寝ているお金を引き出すために、できることは全部やればいい」とまで踏み込んだ。読売新聞(電子版)はさっそく、亡くなった人から財産を相続される際に、利子が付かない代わりに、国債の額面分に相続税がかからない「無利子非課税国債」を発行する案である、と解説した。
安倍氏の意図が解説の通りなら、これも一段の金融緩和に道を開くだろう。タンス預金(現金)を元手に個人が国債を買うとすれば、そのぶん現金の流通量が減ってしまうからで、現金の量を保つには日銀の追加緩和が求められる――。そんな展開が考えられる。
総選挙後の安倍政権誕生はよいとして、米国の「財政の崖」など海外の不透明材料は多い。そう主張する向きもあるが、連邦債務上限の引き上げを巡って民主、共和両党が正面衝突した、11年夏の二の舞いは避けられるのではないか。
何しろ大統領選のみならず、上下両院選挙で議席を減らしたことが、共和党に相当なショックを与えている。「小さな政府を原理主義的に訴える『茶会党』の路線では、万年野党になりかねない」との空気が党内に広がっている。アメリカ共和党内は富裕層増税に関する妥協策として、各種控除の見直しを唱えている。共和党内の原理主義派が暴走する可能性は残るものの、両党の妥協の余地は大いにある。選挙後、値動きのさえない米国株は、妥協を促すための院外の圧力団体のようにも見えなくもない。
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