国家間の問題を平和的に、話し合いで解決することは世界的には主流になりつつあります。ブッシュ、小泉、ブレア時代のように軍事力にものを言わせて、相手国を軍事力で侵略、政権転覆をさせることを容認する時代は終了しようとしています。ロシア、中国と言えども軍事力、核武装で相手国を威圧し、外交を有利に使用などは出来るはずもありません。
相手国を包囲する、包囲により孤立させ、軍事力で威圧するかのやり方は中国などを刺激するだけです。そのことをこの中国紙は物語っているように思います。戦争をしたい連中は別にして、隣国と常時、もめるような関係が両国国民にとって歓迎されるはずがありません。中東における軍事衝突もそのことを教えてくれているように思います。
<人民網日本語版>反中同盟構築 安倍氏の誤算
最近、日本の安倍晋三首相は「天に向かって唾を吐く」ような事を再びした。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
安倍氏のブラジル訪問前に日本側代表団は自国メディアを通じて、両国首脳の発表する共同声明について、双方が「法の支配」などの価値観を共有していることを明らかにし、南中国海の衝突を武力に訴えるのではなく国際法に基づき平和的に解決するよう求め、公海および国際空域の航行の自由と安全の保障を強調する内容になるとの情報を流した。日本メディアはさらに、これらは中国を念頭に置いたものだと下心を持って指摘した。
だがブラジル外務省はすぐに、中国メディアに対して、日本側は共同声明の内容を外部に明かすべきでないとしたうえで、双方は二国間問題について声明を発表するのであり、中国および中日紛争に言及する可能性は大きくないと表明した。
共同声明発表後、全文を通読すると、明らかな中国「封じ込め」の内容は見つからなかった。声明は中国を名指しせず、東中国海や南中国海の問題に言及せず、「海洋紛争」という言葉すらなかった。日本メディアが言い立てた中国「牽制」が、全くの自作自演の茶番だったことは明らかだ。
だがそれでも日本側はあきらめず、なんとしても一人芝居を最後まで演じようとしている。日本メディアは、日本とブラジル両国は声明で「法の支配」の価値観を確認し、武力に頼るのではなく国際法にのっとって溝や問題を解決することを訴えたとして、これが中国「牽制」だと言い張っている。
日本メディアの牽強付会の分析を、中国が自らに対するものと受け止めることは全くない。その一、日本とブラジルが共同声明で両国が共有するとして挙げた民主主義、法の支配、人権の推進、社会の包摂性、持続可能な発展といった価値観は、恐らく世界の圧倒的多数の国々が従い、努力している理念だ。ましてや中国は責任ある大国、国際ルールの擁護者、建設的参加者であり、国際法の遵守の面で信望が厚い。中国は筋が通っているので正々堂々としており、いかなる国が「法の支配」を語ろうとも恐れることはない。その二、平和的方法による問題の解決は中国にとって自らの準則に背かないばかりか、まさに一貫して堅持している立場だ。2013年10月、中国とASEAN諸国の首脳は「中国・ASEAN戦略的パートナーシップ構築10周年記念共同声明」に、「争いは平和的に解決し、武力による威嚇または武力の使用はしない」と明記した。
はっきりしているのは、反中同盟の構築という安倍氏の企てが再度失敗したということだ。安倍氏は首相に返り咲いて以来、外遊時であれ外国首脳の来日時であれ、中国を念頭に置く仲間に相手を引き入れようとしてきた。安倍氏はベトナムやフィリピンとの意思疎通を強化し、東中国海問題と南中国海問題を連動させて、海上係争への中国の対処を一層困難にしようと試みてきた。オバマ大統領訪日の機を借りて、日米同盟を懸命に強化し、釣魚島(日本名・尖閣諸島)が安保条約の適用対象であると初めて大統領に公言させた。安倍氏は欧州訪問時にも対中論戦を大々的に繰り広げた。
だが安倍氏がいかに努力しようとも、その夢想する「対中包囲網」の構築は不可能だ。中国の国力と国際的影響力の高まりに伴い、世界各国と中国との関係は日増しに疎遠になるのではなく、日増しに緊密化している。ブラジルを例に取ると、途上国の中で初めて中国と戦略的パートナーシップを構築した国、中南米で初めて中国と包括的・戦略的パートナーシップを構築した国であり、中国首脳が同国訪問を成功させたばかりだ。こうした中、安倍氏が中国・ブラジル関係を簡単に破壊することがどうしてできよう。ベトナム、フィリピン、米国でさえ対中関係を重視し、経済・貿易関係や人的・文化交流を維持しており、日本のために中国を捨てることはあり得ない。
現代世界において冷戦時代の集団対立はもはや存在せず、再現されることもあり得ないということに安倍氏は目を向けるべきだ。「冷戦思考」をひたすら堅持すれば、失敗に終るだけだ。 「人民網日本語版」2014年8月