東日本大震災が発災して1年。11日の2時46分は、日本国中で鎮魂黙とうの時間となった。政府主催の追悼式で、病後の天皇陛下のお言葉は心に沁みた。犠牲者に深い哀悼の意を述べられ、危険を顧みず救助活動に尽くされた人々に想いを馳せ、率直に放射能問題にも触れられた。故郷を離れざるを得なくなった苦しみを克服して、この事を忘れることなく、未来に向かう気持ちを引き立てて行こうと、呼びかけられた。
私は、山形市役所の千年和鐘前で開催された追悼・復興祈願祭に出席した。政府主催のテレビ中継に合わせた進行で、同時刻に黙とうをささげ、陛下のお言葉と総理大臣の式辞の後、吉村知事が式辞を述べ、4名のあいさつがあった。避難者を代表して、福島県伊達市の山田悦子さんの言葉は重かった。「震災、原発事故を経て故郷を見つめなおすと、改めて福島が好きになった。いつの日か故郷に戻り、何の心配もなく子供と桜をながめたい」山形県への感謝と共に語られた本音は心に残った。
震災復旧は遅々として進んでいない。その中で、山形県の被災者受け入れと、ガレキの受け入れは素速かった。被災地のインフラ代行機能も遺憾なく発揮され、山形県の存在感を高めるに十分であった。政治が何もできないと揶揄される中、吉村知事の政治決断は正しかった。今後、これら結果をどう生かし切るかの発信力が問われる。