Nonsection Radical

撮影と本の空間

一概には言えないけど

2013年07月22日 | Weblog
引き続き宮本常一著「忘れられた日本人」岩波文庫を読んでいるが、面白い。
この手の、書かれた時がすでに今から昔で、内容がさらに昔の話となると、現在の尺度で計るのではなくて、想像力豊かに受け入れないと間違った印象を持ってしまう事になる。
また、書かれている事は一事が万事であるわけではなく、こういう一例が確かにあったという記録としてとらえないと、昔は全てこうだったんだぁなどと勘違いしてしまう恐れもある。
そういう点に注意して読んでいくにしても、思っている自分の明治時代頃の”田舎”のイメージとはかなり違っているのである。
もちろん文中にもあるように「他の村はしらないけれど」という但し書きは忘れてはならないが。
思っているよりもかなり「民主的」で自由なのだ。
もちろん生まれ育った土地に縛られ続けているという前提で、それでも限られた中でみんな仲良く、少しでも楽しく生きていこうとする気配があるのだ。
詳しくは読んでもらえばイイのだけれど、一冊の本を30年も出版し続けるとは岩波文庫は文庫の鑑だな。
本来、文庫とはそういうものだと思うのだけどね。
時を経て、昔の資料が文字として読む事が出来るのは本の威力だね。

で、現在では、同様な調査は行われているのだろうか?
宮本常一が明治維新からの生き残りの声を拾い集めたように、誰か各地の限界集落の生き残りの声を集めてはいないのか。
数十年経てば、人も住まなくなった地域がアチコチに出来て、そこに住んでいた人の記録が消えてしまうのに。
もちろん一個人で出来る調査ではないので、大学などで全国規模の調査が必要なんだろうけど。




師崎 1 愛知県南知多町


パステルおみぞ 兵庫県姫路市
コメント
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