Nonsection Radical

撮影と本の空間

6月9日 写真展巡り

2021年06月09日 | Weblog
最近はすっかりご無沙汰になったギャラリー巡りを久しぶりに。
前夜しっかりとルートと乗り継ぎをメモして順番に行ったのは珍しいこと。

スタートは西新宿のYumiko Chiba Associates viewing room shinjuku の北井一夫 / 柳沢信 展
1970年代(多分)の”地方”を撮影したモノクロ写真。
大変誤解を生む感想になりそうなのだが、その辺のところはご本人に機会があればお伺いしたいところ。
70年代というのは都会と地方はテレビでは垣間見れても遠い距離と隔たりが歴然とあったわけだ。
都会からそこへ行くとは当時どういう心境であったか、あるいは訪ねてこられる側はどのようなものだったのだろう。
現在では消えてしまった風景が写っているのだが、実際に目にしたもの、想像がつくものがある。
そこに目を向けて写真に撮影するという”発想”は高度成長期の日本においてどういう立場に立つものだったのだろうか。
たとえば当時都会から地方へ出張へ行くというのでさえ泊まりがけで、その際にご当地の食べ物、風景、空気、人間に触れ合って帰ってくるというある種の旅だったわけだ。
そこには生活の違いがハッキリあり、少し前まで都会の大学の学生運動に関わっていたような人がどういう価値観で地方へ行ったのか興味がある。
逆に現在の価値観で写真を見ることでの”誤解”も生みやすい。つまり時代が変わってしまったということだ。

ちなみに現在六本木のフジフィルム スクエアで北井一夫「村へ、そして村へ」が開催中(?)で、そこで北井さんが当時の様子を語っています。
「〈村へ〉の時代と作品を語る」(PDFファイルで9.8MBあるから注意)

続いて六本木へ移動して
Zen Foot Gallery のSTREET PHOTOGRAPHY EXHIBITION 「町へ出よう!」
前後期に分かれての8人の写真家による”ストリート・スナップ”。
今回は須田一政、田中長徳、有元伸也、ジョン・サイパル。
田中長徳さんはスナップかな?と思わせるパノラマカメラでの撮影「Panoramic Photography Europe 1975」。
これがすごく良い。あまりに良すぎてギャラリー出版のパノラマ写真集を買ってしまった。(ちなみにこれでほぼ所持金0に)
後期は6/15からで、ついでにフジ・スクエアに行くのも良いかも。

次は外神田のgallery bauhausの12人の写真家によるパノラマ写真展「PANORAMIC PHOTOGRAPHY」へ。
これがまた良いんだな。絶対に行く価値はある。前回の長徳さんの個展も良かったし、連続グレート!

最後が東神田にある Kiyoyuki Kuwabara AG の 連続企画「都築響一の眼」vol.4 / portraits 見出された工藤正市
父の死後、残されたネガを娘さんがスキャンしてインスタで一躍・・・と話題の工藤正一さんの写真展。
工藤さんが若い頃、写真雑誌の月例に出していた写真がどのようなものかは知らないけれど、蘇った写真はどれも素敵なスナップ写真です。
そうまさしくスナップ写真なんです。記録でも芸術でもないスナップ写真。
どうやら撮影されたのは1950〜1962年のようですが、みすず書房から写真集が発売されるようです。
北井さんの写真と時代は少しずれますが見ながら色々考えることもありますね。

こんな感じで駆け足で巡って一日が過ぎていく。

次回は「町へ出よう!」の後半とフジ・スクエアの北井さんと西麻布「ギャラリー イー・エム 西麻布」の近重幸哉写真展「忘れえぬ一瞬」に行こうかな。
近重さんのは手に入れたポストカードの写真が素敵だったから

コメント
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