1996年(平成8年)8月26日。
この日、当時のパチンコファンにとって、最低・最悪ともいえる「事件」が起きた。
日工祖、日電協、日遊協、全日遊協の業界4団体が、「高額な遊戯料を必要とする社会的不適合機」として、現役稼働する98機種、70万4970台をホールから撤去する案を発表したのだ。
当時、パチンコ店の駐車場で子供が車内に放置された結果、熱中症で亡くなるという事件が起きた。マスコミは、この事件を極めてセンセーショナルに取り上げ、パチンコの「射幸心」が事件の背景にあるとの論調を取った。ただ、この事件の本質は、「母親の責任感の無さ」という資質の欠如が招いた悲劇であって、パチンコそのものに罪はないと考えている。
それはともかく、業界はこうした社会問題への対応策として、「社会的不適合機」の撤去という大規模な自粛措置を講じた。4団体による「自主規制」という形を取ってはいたが、実質的には、管轄する公安当局の方針に完全に沿ったものである。
当時は「CR黄門ちゃま」、「CRバトルヒーローV」、「CR大工の源さん」、「CR竜王伝説Z」といったフルスペックタイプのCR機がホールの主役になっていた。「高額な遊戯料」を撤去理由とするなら、真っ先にこちらの「爆裂CR機」を外すべきである。5万突っ込んで当りゼロなど、ザラだったのだから…。
しかし、当局は「健全化」を盾にCR機を優遇する一方、連チャンタイプの現金機はすべて闇に葬り去ろうとしたのである。過去に自ら「お墨付き」を与えたにもかかわらず、掌を返したように一方的に排除する当局の姿勢には、大いに疑問を感じた。「楽しめる台を打ちたい」というファンの気持ちなど、微塵も考えていなかった事は明らかだ。
この日以来、我々を楽しませ続けた「名機」の数々は、次々とホールから姿を消していった。一応、経過措置的な観点から、第1次~第4次という段階的な撤去とはなったが、私はこの「社会不適合機問題」を、2006年の「みなし機撤去問題」と並ぶパチンコ業界の2大改悪と位置付けている。
社会的不適合機・撤去対象機種リスト
※機種名(メーカー名、検定通過時期)の順に記載
第1次撤去対象機種(全18機種、19万9534台)
(96年9月12日決定、同年10月1日発表、同年10月1日~97年1月31日実施)
★デジパチ(8機種)
フィーバースパークCX(三共、1991年6月)
麻雀物語(平和、1991年9月)
フルーツパラダイス2(京楽、1991年11月)
ブラボーキングダム(平和、1992年1月)
ビッグナイター(平和、1992年1月)
ダービー物語(平和、1992年11月)
CR花満開(西陣、1993年3月)
春夏秋冬(西陣、1993年5月)
★権利物、一般電役、アレパチ(9機種)
フルーツパンチ(大一、一般電役、1990年10月)
アニバーサリー(大一、一般電役、1990年10月)
サンライズ(藤商事、アレパチ、1991年2月)
バレリーナ(平和、2回権利物、1991年3月)
一番星(平和、2回権利物、1991年11月)
アレジン(藤商事、アレパチ、1991年11月)
アレンジマン(藤商事、アレパチ、1992年2月)
ソルジャー(マルホン、1回権利物、1993年5月)
キューティーバニー(ニューギン、3回権利物、1993年9月)
★ハネモノ(1機種)
たぬ吉くん2(京楽、1992年3月)
第2次撤去対象機種(全19機種、20万6594台)
(97年1月1日決定、同年2月1日発表、同年2月1日~5月31日実施)
★デジパチ(10機種)
ブラボーミリオン(平和、1992年4月)
エキサイトグランパス2(ニューギン、1992年4月)
ブラボービート(平和、1992年5月)
麻王(西陣、1992年5月)
宝島(京楽、1992年6月)
フィーバーレジェンドGP(三共、1992年7月)
エスケープ2(大一、1992年7月)
フィーバーアタックGP(三共、1992年7月)
フィーバーパワフルIII(三共、1992年8月)
ブルーハワイ(三洋、1992年8月)
★権利物、一般電役、アレパチ(8機種)
カーニバル(ニューギン、3回権利物、1992年3月)
ダイナマイト(大一、1回権利物、1992年4月)
ピースメーカー3(ニューギン、1回権利物、1992年5月)
ツービートAA(ニューギン、2回権利物、1992年5月)
Missマリッ娘X(三洋、2回権利物、1992年5月)
エキサイト(藤商事、アレパチ、1992年5月)
Missマリッ娘II(三洋、3回権利物、1992年7月)
ミリオンパンチ(大一、一般電役、1992年7月)
★ハネモノ(1機種)
ビックリハウス2(奥村、1992年5月)
第3次撤去対象機種(全39機種、16万73台)
(1997年4月決定、同年6月1日発表、同年6月1日~9月30日実施)
★デジパチ(26機種)
赤富士II(三洋、1992年)
フィーバーレジェンドI(三共、1992年)
フィーバーレジェンドII(三共、1992年)
ミラクルフォースSP(西陣、1992年9月)
フィーバーキングII(三共、1992年9月)
ピカイチ天国(豊丸、1992年9月)
ブラボーミリオンSP(平和、1992年9月)
ピカイチ天国2(豊丸、1992年10月)
ピラミッドX(高尾、1992年11月)
アメリカンドリーム(三洋、1992年12月)
フィーバーパワフルV(三共、1992年12月)
エキサイトグランプリγ(ニューギン、1992年12月)
アメリカンドリームII(三洋、1992年12月)
エキサイトフューチャー3(ニューギン、1993年)
アメリカンドリームV(三洋、1993年1月)
フィーバーガールズI(三共、1993年1月)
綱取物語(平和、1993年1月)
フィーバーフェスティバルI(三共、1993年2月)
ブラボーネクスト(平和、1993年2月)
カバ次郎X(三洋、1993年2月)
春一番(西陣、1993年2月)
ロックンビート(マルホン、1993年2月)
エキサイトジャック2(ニューギン、1993年3月)
プリンセス物語(平和、1993年3月)
ラスベガスII(三洋、1993年3月)
アメリカンドリーム7(三洋、1993年3月)
★権利物、一般電役、アレパチ(10機種)
トリオ(ニューギン、3回権利物、1992年9月)
ラプソディ(西陣、2回権利物、1993年1月)
ダブルゲーム(マルホン、1回権利物、1993年1月)
びっくりマン(マルホン、1回権利物、1993年2月)
ピンボール(京楽、1回権利物、1993年2月)
ライフワークI(三共、2回権利物、1993年2月)
アトラス(奥村、2回権利物、1993年3月)
ちゃんこ(太陽電子、アレパチ、1993年3月)
スーパーボウル(豊丸、1回権利物、1993年)
チャレンジャー(ニューギン、1回権利物、1993年)
★ハネモノ(3機種)
ファイター2(京楽、1992年10月)
お笑い道場(マルホン、1992年11月)
福丸II(三洋、1993年3月)
第4次撤去対象機種(全22機種、13万8769台)
(1997年9月決定、同年10月1日発表、同年10月1日~98年1月1日実施)
★デジパチ(13機種)
ビッグボンバー2(豊丸、1993年4月)
エキサイトインカジノ(ニューギン、1993年4月)
CRグランパス(ニューギン、1993年5月)
野球拳(三洋、1993年5月)
フィーバークイーンII(三共、1993年5月)
大相撲(三洋、1993年5月)
フィーバークイーンDI(大同、1993年5月)
エキサイトバトル(ニューギン、1993年5月)
ドリームグランプリ(奥村、1993年6月)
神龍2(竹屋、1993年6月)
ドリームグランプリII(奥村、1993年6月)
マスタークライム2(まさむら、1993年8月)
ナイトエンジェル(まさむら、1993年8月)
★権利物、一般電役、アレパチ(6機種)
ポップカルチャー(西陣、一般電役、1993年4月)
CRバレリーナ(平和、CR権利物、1993年5月)
CRビッキーチャンスI(三共、アレパチ、1993年5月)
カルメン(ニューギン、3回権利物、1993年6月)
パワフル(太陽電子、アレパチ、1993年6月)
パンチョス(ニューギン、2回権利物、1993年8月)
★ハネモノ(2機種)
ピョンピョン丸2(奥村、1993年6月)
ソニックブーム(まさむら、1993年、1993年7月)
★普通機(1機種)
ダイアナA(三星、1993年7月)⇒普通機として、唯一撤去対象機種になった。