Balcony Days

もうしばらくは香港暮らし

MANY RIVERS TO CROSS

2010-01-02 15:24:57 | 想うままに


こんなに綺麗な音楽があったんだなとドキドキした

初めて聴いたのはマニラの狭いカフェ・バーの生バンド

そこで迂闊に涙を落すわけにはいかなくて誰の歌かだけ聞いて覚えていた

今はオットの血を引いた娘の分も含めて我が家のCD保有数はすでに収納不可能な域に達してしまっていますが

その頃からオットの音楽CDはロック・ブルースからジャンルを越えてワタシには未知の世界でした

もしかしたらあるかも。。。そう思い立って見難い英語のタイトルを片っ端から追って行くと

思ったより早い段階で『THE BEST OF JIMMY CLIFE』の文字を見つけて

引っ張り出して曲名を見ると ありました 『MANY RIVERS TO CROSS』

マニラの夜は路地からイルミネーションから空から

暗いほうへ少し壊れたほうへと手招きするそんな風が吹いている

安い酒 安い女 安い時間 まるで人生を諦めるように

そして 少しずつ狂っていく

そんな匂いが街中に溢れている ラテンの街だって 陽気な笑顔だって

ワタシにはそんなふうには見えなかった

陽気だとか笑顔だとか容易く他人事に喜ぶ人もいるけど

実際 街を走ったら交差点で信号待ちで止まるたび 小さな子どもが裸の赤ちゃんを抱いてウィンドーを覗き込み

「マニー マニー」 とにじり寄る ワタシのフィリピンの印象のそれが全てです

国をよくしようなんて誰も思っていないし 階級の高い生活をしている人たちは

彼らを同国民だなんて思ってもいないだろう

思っているならなぜ何十年も低所得者の生活が変わらず繰り返されて

一方で贅沢な生活を生まれてから死ぬまで当たり前のように約束された人生がある

その両方の人たちが大嫌い



そんな頃にポンと手のひらに乗っかるようにこんな素敵な歌に出会えた

大丈夫 ここで朽ちはしないと

河はいくつも交わり一瞬流れはこじれるけれど気がつけばまた穏やかな流れに落ち着いている