Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

一人の勇気

2011-03-22 11:16:35 | 素敵な現場
シニア担当のYokoです。

昨日一昨日とファシリテーターコースを卒業した仲間が集まるブラッシュアップでした。

初日はセラピストの活動報告(もちろんシニアも発表しましたよ!)

二日目は加藤先生の呼吸のワークショップ(楽しかった!!)

実に充実した2日間でした。


たくさんの仲間と会えた事 どれだけハグしあったことか。

1年ぶりもいれば、本当に久しぶりの人もいて。

こういう場があるっていうのは本当にうれしい。

そして改めていつも何一つ変わらずに笑顔でこの場を開催してくれたクエストに感謝します。



初日の活動報告では、シニアではともみん、きょうちゃん、かなこの素敵な現場を

発表した後、本来予定していなかったのですが、私は一人の女性のことを

紹介させて頂きました。


見事に咲いたFLOWER Sちん


3/18無事彼女はアドバンスコースの卒業試験 デビューをしました。

シニアアドバンスコースは、これまでもこのブログでお伝えしていますが

半年間、講師とマンツーマンでシニアの現場を作ることを学んでいきます。

プログラムを提出や実際に講師のサポートを受けながら、自分のプログラムを提供する。

最終回は講師のサポートがない状態で、全部自分で作り出しワーク行うのです。


この3/18を私は忘れることは一生ないでしょう。


そうその1週間前 3/11に彼女の福島県南相馬の自宅は大震災にあいました。

海から1分の家 

報道は津波で壊滅した街を映し出す。

その不安の中、ありとあらゆるところに繋がらない電話をし続け

ご家族の無事の確認が取れたのは2日後。

だけれどもすぐにあえる場所ではありません。

またふるさとの知人・友人の安否もわからない。


「ワークは行えそうにない」 それは正直な彼女の気持ちでした。

地震の3日後に会った彼女は憔悴しきった顔

その様子からどれだけの不安の中にいるのかは、鈍感な私でもわかりました。

ファミレスの端っこで 私たちはたくさんたくさん話しをしました。

たくさん泣きました。そしてもちろん絵も描きました。


ご家族は津波に流されながらも、本当に奇跡的に助かった。

同じ地区は壊滅状態だというのに。


そのいのちの意味はなんだろう?

また偶然かもしれないけれど、3/18がデビューというのはどうしてだろう?

それはSちんにとってどんな意味があるのだろう?

これも偶然ですが、その日のワークに参加してくださるシニアの方のふるさとが

同じ南相馬の方もいるという意味はなんだろう?

私たちがアートセラピストを選択した意味はなんだろう?

アートを通して伝えたいもの 創り出したいものはなんだろう?


やめる選択するのも自分なら

やる選択をするのも自分


ふたりでたくさんたくさん話しをした後


「ワークが完璧にできなかもしれないけれど、私やります!」


そうして、暗闇の中自らの内側の光を見出し それは描いた絵に表れていました。

そう彼女自身がこころの中に変わらずに最初から持っていたものでした。


そうして3/18を迎えました。


ワークは春のお花のステンシル

みなさんぽんぽんぽんぽん 何もなかった世界に赤、ピンク、黄色と彩られていきました。

シニアのみなさんも1週間の不安と緊張の中にいました。

いつも以上のエネルギーが溢れていました。


ワーク終了後、一人の男性が浮かない顔

「悲報を聞いて楽しめなかったよ」

そう、男性はSちんのふるさとが南相馬だという事を知っていてワークの前に

ふるさと様子を事前にSちんに尋ねていたのです。


私からワーク後にSちんの自宅のことを報告させて頂きました。

そしてどうして今日彼女がワークをおこなったかという事も。


すると自然とシニアのみなさんから「頑張ったね」「頑張ったね」と暖かい言葉

同じ南相馬ご出身の方も「一緒に頑張ろうね」と。

先ほどの楽しめなかったとおっしゃった男性も

「こんな時によく前にたった!偉いぞ!」と。

Sちんだけでなく、サポーターのKanakoも 静岡から駆けつけたYaoiもみんなおお泣き。


そして最後に涙でくちゃくちゃになっていた一番年配の男性が音頭を取って

みんなで大きな声で「がんばろーーーっ!」と!!

さらには作品を持って記念写真まで行いました。


シニアのみなさんもSちんからたくさんの勇気をもらって、いつも以上の笑顔。




シニアの仲間でも被災し、頑張っている人が大勢います。

停電が繰り返されている中で届くメールには悲惨な現状が書かれている。

でも最後に絶対、街を人を元気にさせる!と書いてあります。

それは彼女達だけでなく、映像で流れる復興に向けて歩みだしている被災地の皆さんの

様子からも、どれだけの「勇気」を私たちはもらっていることでしょう。



私たちアートセラピストが行える事は微力かもしれない。

だけれども、Sちんという一人の人間の勇気から

3/18に参加された19名に勇気と元気を与えた。

そしてその19名のみなさんがきっと同じ施設のみなさんに勇気と元気を与えていく。

ブラッシュアップで報告させていただいたのも、

こうしてブログで報告しているのも

読まれた方が少しでも 勇気と元気の種が届けばと・・・



それが私自身がSちんという素敵な人からもらったものだから。



ワーク終了後、Sちんの携帯にメールが届きました。

「今から東京に向かう」

やり終えた日に無事にご家族と会うことが出来ました。

今彼女のうちにご家族はいるそうです。

「いびきがうるさいです!」と報告が来ました。 

笑っちゃいけないけど、私はメール読んで爆笑しました。



こんな日が誰にでも早く 一日でも早く 訪れますように。。。。



私たちはアートセラピーを通して被災されたみなさんを支援いたします。

クエスト総合研究所 代表・NPO法人子ども未来研究所 理事長 柴崎 嘉寿隆からの

メッセージです。

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