Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

富士の山

2019-01-17 07:03:03 | 素敵な現場
高齢者施設でのアートワーク
一言で「高齢者」と言っても70代後半から100歳までざっと25年という幅があります。

出来ること、難しいこと、介助があれば可能なこと
ワークは様々な方向から考え決めていきます。

一つのテーマを素材を使って表現していく。
素材に自分で触れる、様々な色を見る、形をつくる並べる重ねる、描く。。
紙面の上で繰り返していくと、「これだっ!」とまるでパズルのピースがパチリとハマる瞬間が訪れる。

きっとそれまでの「あーでもない。」「こーでもない」は、ご自分の記憶や感覚へのアクセス時間。 

この日は素材は和紙。深い色淡い色混ざり重なり合う色。。

「この紙の色で夕日を表現したくなったの。。」と黄金色が眩しかった。。
「もっと時間が欲しいよ」と笑った男性はとことん色にこだわった。
「これは東海道線です」縦の柄を線路に見立て見事に表現した。
「終わった!」と大きな声で言った女性は職員さんの言葉かけも聞かずに15分延長して作りきった。御年97歳の集中力!


そこに現れる懐かしい景色や心象風景
語られる思い出や自分の気持ち
また語ることなく静かに行われる自分との対話


この日のテーマは「富士山」

昨年大きく体調を崩した男性は、
作り終えると最後にこう言葉を添えた。

"生きる静かな情熱” 

男性は作品を眺めながら静かに安心を味わっているように私には見えた。


高齢者の方が体調を崩すということはひとつ大きな階段を降りるということ。
降りた階段をまた登る事はたやすいことでない。
失う自信 訪れる死について 
男性はきっといろんな気持ちを味わいながら生きてらっしゃる。


山は時に男性のような厳しさを、時に母のような優しさを私達は感じる事がある。


男性が描いた富士の山は
若かりし頃に登った寒く険しい山ではなく
紙面の真ん中であたたく優しい色合いで、力強く描かれていた。


大いなる富士山に包まれながら男性は生きる気力を取り戻れされたようだった。




アートには力がある。
内側にある生きる意欲を引き出していくそんな力がある。

私はそう信じている。


from Yoko






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