詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説「アクアマリン~アイドルとの恋~」第2回

2007年11月03日 | 小説~アイドルとの恋~
恋愛小説「アクアマリン」Vol.2~アイドルとの恋~


ダイヤモンドの着メロがなった。愛理からだ。

「ちょっと待っていて、シュウ。愛理から電話だからその間にシャワーでもあびてきて汗びしょびしょじゃない。。。

タオルと着替えはいつものところにはいっているから」

ほぼ毎週木曜日に訪れる彼のために一応着替えは一式おいてある。

彼が、バスルームに入るのを確認した後、携帯をとった。

「どうしたの愛理。こんな時間に・・・」

「今すぐ4チャンネルつけて」

「え・・・何々???」

私は、なにもわからぬまま、4チャンネルをつけた。

「Jewelのシュウ 初スキャンダルか?朝倉南と熱愛発覚!!」

「本日、コンサートの最終日を迎えたJewelの滝村秀哉ことシュウと今度の大河ドラマで競演する朝倉南さんとの密会写真が明日のサタデーに掲載されることになりました。
写真は、先週の金曜日イタリアンレストランから二人でなかよくでてきた写真です。

今、現場で、別のドラマ撮影の終わった朝倉さんのインタビューをするためにこちらでスタンバッテます。
また、当のシュウさんは、打ち上げ途中で抜けたためこの後二人で密会するのではないかと関係者の中では囁かれています」


私は、何がなんだかわからなくなり、持っていたパスタ皿をいつの間にか落として割ってしまっていた。

「穂奈美、穂奈美大丈夫???今、結局、3人で私のうちで飲んでいるんだけど・・・・そしてテレビつけたらちょうど・・・」

「Jewelは明日新曲の発売も控えており事務所は、一切ノーコメントとのコメントをだしております。」

「また詳しいことがわかりましたら、現場より中継いたします。以上現場より東海林がお伝えいたしました。」


「穂奈美!!!大丈夫???今からいこうか?そっちに」

愛理の言葉で我に帰った私は、とりあえず呆然としたまま、割れたパスタ皿を片付けていた。

人間ってショックをうけても平然と普通に動けるもんなんだな・・・って全く違うことが頭をよぎった。




(シュウが・・・朝倉南と・・・???)

頭がパニックになっていた。

「ごめん。愛理・・・ちょっと頭冷やしたいから、電話切ってもいい?」

「うん・・・あまり気を落とさないでね・・・」

「ありがとう・・・」

ちょうどシュウがシャワーを浴びてでてきた。





「電話終わった??」気を使って小声で話しかけてきた。

「うん・・・・」

シャワーを浴びたシュウが、キッチンにたっていた私を後ろからだきしめた。





「ねえ・・・餃子の中味はいつのやつ??」

「うん。。いつものように肉じゃなくてシーチキンをいれてあるわよ・・・」

彼は、幼い頃から家での餃子は、中味がツナだったため芸能界に入るまで、餃子とはそういうものだと思っていたみたいだった。

「ねえ・・・早く食べようよ・・・穂奈美・・愛しているよ。」
後ろから抱きしめたままで彼が耳元でささやきうなじにやさしくキスをした。

そのときになって、シュウは、私が小刻みに震えているのに気がついた。

「どうしたの穂奈美・・なにか・・あった」

というと同時に彼の目がテレビに釘付けになった。

「明日のサタデーの記事のこと??あれは、今度の大河ドラマを盛り上げるためのしくまれたことだよ。金曜日だって、スタッフみんなで食事に行ったのに、まるで朝倉さんと2ショットでいったみたいな写真になっているし。

新曲の発表も明日だから・・・話題づくりだよ」


かるく流そうとする彼を見つめているうちに、私の瞳からは、知らないうちに涙がポロポロこぼれていた。





「穂奈美??」

「シュウは、わかってない!!私の気持ちなんて・・・
私がいつもどれだけ不安なのか・・シュウは、本当なら住む世界の違う人。。。。私とこんなふうにお付き合いしているほうがおかしいのかもしれない・・・

シュウのでるドラマでシュウが、他の女優さんと抱き合ったり、愛を囁いたり、キスシーンをどんな思いで見ているのか・・・信じたいよ・・・シュウのこと。でもまわりは、みんなわたしなんかより綺麗な女優さんばかりだし・・・

いつもいつも不安で不安で・・・」

シュウは、泣いている私をギュっと抱きしめた。
息ができないくらい強く。

「俺が信じられないの?」

「信じられないんじゃなくて・・・信じたいけど・・・私だってやきもちくらいやくよ。毎日毎日ヤキモチやいて心なんて真っ黒焦げになりそうだよ。。。。やっぱりシュウは違う世界の人なんだね・・・私なんかが・・・」

シュウは、抱きしめたまま、彼の唇で私の唇をふさいだ・・・

とても優しく・・・とても優しいキスだった。



私をダイニングテーブルに座らせると、いつも部屋の片隅においてあるギターを取り出し、Jewelのヒット曲「ダイヤモンド」を途中から弾きだした・・・







僕の瞳をみつめて
真実の輝きに満ちているから

僕の心を信じて
君への愛で溢れているから

Runaway 星降る夜空に
ダイヤモンドを探しに行こう

ランデブー 君となら
信じて歩いてゆけると

この星空の中から
最後に見つけたダイヤモンド

僕の瞳を見つめて
信じることから愛は生まれるから

僕の愛を信じて
君だけを愛しているから






「穂奈美・・・芸能人だって人間だよ・・・同じ人間住む世界が違うなんてことはない。そんなこといったら、みんな職業ばらばらだよね・・・だれも同じ世界に住んでないことになるよ。

愛とは信じること。愛すれば愛するほど、独占したくなるし、
独り占めしたくなるし、誰にも触れられたくない。。。

それは僕も同じ気持ちだよ・・・・

でも・・・この世界は僕が選んだ世界なんだ・・・

昔、穂奈美に叩かれて、説教されて僕は、真剣に今この仕事をやっている。この世界で生きている。

それを一番理解してほしいのが、この世で一番愛している、そしてこの世で一番も僕のことを理解している。穂奈美なんだよ」

1年間の間にシュウは変わっていた。私と最初に出会ったあのよりからシュウは、この1年間で精神的にもすごく大人になった。それがわかり、ダダをこねてすねた私は少し恥ずかしくなってきた。

「シュウ・・・ゴメン・・・私・・・」

シュウは、もう一度優しくキスをして言った。

「いいよ・・・穂奈美・・・愛し合っていても、人と人は時には言葉に出さなきゃ解らないこともあるんだよ。今日、僕は、穂奈美の本音が聞けてよかったよ。。。穂奈美が、ヤキモチやきっていうのもわかってちょっとうれしかったしね」

「もう・・・シュウの意地悪」

いつの間にかすっかりシュウのペースにまきこまれ私はいつの間にか笑顔になっていた。



さてでは、いまからパーティーを始めますか・・・

「は~い」私はおどけて敬礼のポーズをして、すばやくお料理をテーブルに並び始めた。






*****つづく*****


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恋愛小説「アクアマリン~アイドルとの恋~」第1回

2007年11月02日 | 小説~アイドルとの恋~
オリジナル小説第二弾

~アイドルとの恋~

【アクアマリン】Vol.1


「今日のJewelのコンサート最高やったん!!」

「そうだね・・・いつもよりシュウと翔のハモリもよかったし」

「まあ・・・最終日だったからね」

「あ~これで当分の間、翔様にあえないと思うと直美泣けてくるわ・・・」

「でも、新曲でるらしいで・・・今日の23時からのテレビで放送するんやったと思うけど・・・」

Jewel

いまや全国知らない人がいないほどのトップアイドル。

滝村 秀哉(たきむら しゅうや)20歳 通称 シュウ
風間 翔(かざま しょう) 22歳 通称 ショウ
相場 俊平(あいば しゅんぺい)21歳 通称 シュン
桜井 慎吾(さくらい しんご) 23歳 通称 シン

の4人組アイドルグループである。



彼らのグループ名「Jewel」にちなんで彼らの曲には、全部宝石の名前がついている。

「ルビー」「サファイヤ」「キャッツアイ」「ダイヤモンド」
「エメラルド」トパーズ」

そして私達は、来年に卒業を控えた大学3年生

ちょうどJewelのコンサートの帰り道である。

私、穂奈美は、ツインボーカル シュウのファン。



同じくツインボーカルの翔様のファンが直美。
大阪弁の若菜は、ギタリストのシュンのファン
そして、私と一番仲のいい愛理は、シンのファン。




今日は、Jewelのコンサート最終日。

祭りの終わった後の淋しさはそこはかとなく切ない。



「ねえ・・・なんか今からカラオケでもいってもりあがらん?
なんかこのままかえるんもいややもん」と若菜

「そうね・・・Jewelの曲でも熱唱して帰るのも一興かも」
と直美

「穂奈美はどうする??」と愛理

「ごめんちょっと今日は用事があって」

「もういつもつれないな~彼氏でもできたんちゃう?」

「穂奈美彼氏いるよね・・・この頃よくメールしてるし・・・
でも結構秘密主義だな・・・おぬしは・・・」と直美

「だったらさ・・みんな彼氏いるんやったら、今度、合同デートでトロピカルランドでもいかへん?」

「いいかも・・・私達、3人は、この前飲み会彼氏連れてきたけど、穂奈美の彼氏だけは、仕事でこれなかったしね」

「そうだっけ??まあ・・とりあえず、今日はゴメン・・・急いでいるから・・・埋め合わせはきっとするから」と手を合わせて友達に謝りながら来たタクシーに飛び乗った。

ちょうどタイミングよく「ルビー」の着メロがなった。

「今日、コンサートの打ち上げブッチしてくるから、21:00にはいくね

シュウ」

とのメール

「了解いつもの食事用意しとくね」


私は、今日の献立を頭の中でさっと段取りを考えていた。

マンションにつくとまず、テーブルに花を飾り早速ディナーの準備にかかった。

また「ルビー」の着メロがなった。

「車渋滞。分ほど遅れる シュウ」

「了解気をつけてきてね」

時計と睨めっこしながら、彼の好物のカルボナーラのソースを作り、ミモザサラダになぜか餃子。

21:15分ジャストに

ピンポーンコンコンコンといつもの合図が聞こえた。

「じゃーん」

Jewelのボーカリストシュウは、後ろ手で隠していたワインを差し出した





「打ち上げ会場から、失敬してきちゃった。一番高いらしいよ・・・10万円以上するってあいつら今頃ブーブー行っているだろうな(笑)」

****ちょうど1年前******

友達との飲み会の帰りにほろ酔い気分で帰宅をした。
するとマンションの玄関ホールに見知らぬ少年が、ほぼ泥酔状態でうずくまっていた。

私はそのまま無視して、見過ごすか、警察に連絡するか一瞬躊躇した。すると彼のペンダントに見覚えがあった。

そしてジャンパーにも

「大丈夫ですか?」と声をかけると彼は

酔ったうつろな目で私をみた。酔いつぶれてはいるが、今ブレーク中のJewelのメンバーのシュウだということに気付いた。

(警察沙汰にしたらまずいし、といってここにもほっておけないし・・・)

「立てますか?肩貸しますから・・・」

といって、今振り返るとなぜかわからないが私は無防備にも彼を自分の部屋に運びいれていた。



軽く頬を叩いても反応のないシュウのジャンパーを脱がせ、
TシャツとGパン姿にすると私は彼をバスルームに連れて行き、
頭から暑いシャワーをかけた。

「何するんだよ!!!」

彼はびっくりした顔で私を見つめそしてにらんだ。



「何するんだよ!じゃないでしょ!!あなた未成年でしょ!!こんなことマスコミや事務所にばれたらどうなるのかわかってるの!!!!」

「うるせえーなほっといてくれよ!!
あ、もしかして、君、俺のファンとか??」

私は蛇口を水の方向に回し、冷水を思い切り彼の顔に浴びせた

「少しは、頭を冷やしなさい!!」

「なんだよ!!」

「イヤなら警察呼ぶわよ・・・」

ビクン、さすがに彼も少し酔いがさめてきたらしく、おとなしく頭から冷水をあびつづけていた。

シャワーをとめ、私はバスタオルとバスローブを彼になげてあげた。





「男物の下着なんてないから我慢してね。Tシャツ、Gパン、下着脱いだら洗濯機にいれておいて!!」

さっきまでの勢いが嘘のように彼は、借りてきた猫のようにおとなしくなり、ダイニングテーブルについた。

ホットミルクを差し出すと、「ありがとう」と小さな声でつぶやいた。

「なんであんなところでうずくまっていたの?」

「酔っていて自分のマンションと間違ったみたい」

「それにしてもやばくない?あなたまだ未成年でしょう?」

「あさって20歳になるけどな・・・」

「芸能界で未成年で飲酒して、たくさんのアイドル達が引退を余儀なくされてるの知っているでしょう・・・」

「だってさ・・・事務所にそろそろオリジナルやらせてくれっていったら、NGだっていうし、今度の新曲、俺じゃなくて翔をメインボーカルにして、おれがハモリだっていうし、やってらんねえよ・・・」






口を尖らせていう彼の頬をいつの間にか叩いていた。

パチン

「甘ったれるんじゃないわよ!!オリジナルやりたいって、そのデモテープとかはつくって聞かせたの?」

「いや・・・まだこれから・・・」

「メインボーカルじゃないっていって!ハモリパートっておもっているほど簡単じゃないのよ・・・」

「私は、人の声は一番素晴らしい楽器だと思っている。
その人の声がおりなすハーモニー、和音は素晴らしいと・・・

それをそんな生半可な気持ちでやったら、いい曲できるわけないじゃない!!」

「少しくらい顔がよくて売れたって、すべてが自分の力じゃないでしょ!!事務所やスタッフや、マネージャーやたくさんの人に支えられて貴方達は、今光の中にいられるのよ。
沢山の人が芸能界にあこがれる。でも成功するのはほんの一握り。あとは、挫折して去っていく。アイドルは偶像であり、夢をうるのが商売なのよ!!」

「それをお酒なんかのんで、少しは自分の立場をわきまえなさい!!」

そこまで一気にまくしたてると私はシュウが泣いているのに気がついた。

「ごめん。というかありがとう。この世界には13歳ではいって、すぐにちやほやされて、こんな説教されたのはじめてだよ。しかられたのも、みんないいよいいよっておだてるばかりで・・」



「俺 滝村秀哉 シュウって呼んで。あなたの名前教えてくれますか?」

「私は、末丘 穂奈美」今大学2年生よ・・・

「逢ったばかりでこんな事いうの変なんだけど、穂奈美さんに彼氏とかいなかったら、俺好きになってもいいかな?」

彼の目は先ほどまでの酔いは完全に消えて真剣だった。






「おごり高ぶっていた鼻をぺしゃんこにされたし、君なら僕が違う方向に行きそうになったら、正しい方向に導いてくれそうだよ・・・そう羅針盤のように・・・・

この世界にはいって初めて心と心で会話できそうだよ・・」

自信家の彼が今はとても素直になりとても愛おしくみえた。

「いいわよ。でも約束よ。あさっての20歳のバースデーまではお酒とかタバコとかやらないことと。それと泥酔は無しね 芸能人としての自覚、社会人としての自覚を持つこと」

「やったありがとう。じゃあ早速あさってまた、遊びに来てもいい??俺の20歳のバースデー、穂奈美さんと乾杯してお酒のみたいから。ちょうど仕事オフだし」

キラキラ輝く彼の瞳に未来への希望の輝きが戻っていた。

私は、寝室にはってある、シュウのポスターをどこかに隠しておかなきゃと一人心で思っていた。





*****つづく*****



恋愛小説「黄昏の街の中で~アーティストとの恋~」最終回

2007年11月01日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
「黄昏の街の中で VOL.3 ~最終回~」

「リュウ見て・・・」

シェーカーからは、目にもあざやかなブルーのカクテルが、グラスになみなみと注がれた。







「このカクテルの名はスカイダイビング・・・

リュウはスカイダイビングしたことある?

やった事ある人たちの話を聞くと、やる前はとても怖かったけど、やってみたら楽しかったって言っているよね・・

もちろん危険はつき物だけど・・・・

人は皆 翼を持っていないから、大空にあこがれる。

自分が出来ないことにあこがれる。

この世の中にはリュウのように、心の叫びや訴えを、表現したい人は、たくさんいる。

インターネットやブログもその一種だと思う。

自己表現をし、多くの人の同感や共感を求めている。

リュウはそれが、音楽でできるじゃない?」





「ミナ・・・・俺には才能なんてあるんだろうか?

今までは、書きたいこと、心の叫びをただ曲にしてきた。





「街が、風が、闇が俺に多くのものを訴えかけてきた。

でも今は、俺が大人になったからなのか、心の眼、耳が曇ったからなのか、何も聞こえない。

才能は油田のように枯渇していくものなのか?

それともあふれ続ける泉のようなものなのか?

今の俺には、それがわからない・・・」

「才能なんてわからない。でも一番大切なのは、自分を信じて自分を愛すること。

街の声が、風の声が聞こえなくなったのなら、自分の心の声をきけばいい。リュウが想い、感じたことを言葉にすればいい。

言葉は言霊・・・口に出した瞬間、魂を持つから。

がんばらなくていいんだよリュウ・・・・

リュウはリュウなんだから・・・あなたのままでいいんだから」

私は震える彼をそっと両手で抱きしめた。





どのくらい時間がたったのだろう・・・

気がつくと私の肩が濡れていた。彼の涙で・・・

かれは静かにむせびないていた。。。

思い切り泣けばいい・・・

涙は心の砕けたカケラ・・・

すべて涙で洗い流せば新しいなにかが見えてくるはずだから・・・・

貴方は自分のために、そして愛すべき者すべてのために歌い、走り続けてきた。

時には、傷つき、時には迷いながら、真実を追い求め、夢に向って・・・

でも走りつかれて、迷いだしたら立ち止まればいいよ。

人に裏切られ、おびえた瞳には、真実はかすんで見えないから。

いつも何かに向って戦い続ける貴方がその傷ついた翼を休める場所はある。

今度は、あなたが、私の胸の中でゆっくりおやすみ・・・

もし片方の翼が折れたなら、私があなたの片翼になろう・・・

もし貴方が暗闇の中で迷っているなら、手と手をとりあい、一緒に真実の輝く一筋の光を探して歩こう。

いつも身にまとっている戦うための鎧兜を私の前では脱ぎ捨てていいよ。

海のような愛の深さで、空のような輝く心で、大地のようなゆるぎない想いで、あなたを傷つけるすべてのものから私が守ろう・・・・

あなたの強さと弱さとガラスのような心の輝き全てを私は愛しているから

3年前私があなたの胸の中で生まれ変わったように、あなたの歌で励まされたように・・・

今度は私が貴方を守ってあげる。

このままずっと・・・・

私の腕の中で・・・・


**********Fin*********


長い間ご愛読ありがとうございます。
感謝申し上げます。

感想なんぞいただけると助かります~

恋愛小説「黄昏の街の中で~アーティストとの恋~」第2回

2007年11月01日 | 小説~尾崎豊モチーフ~
朝日のまぶしさで目が覚めると彼は寝室にいなかった。
耳をすませるとリビングからギターの音がかすかに聞こえた。


「あ・・・ごめん起こしちゃった?
曲がうかんだから、忘れないうちに書いておこうと思って」
とはにかみながら彼は微笑んだ。

彼の瞳は、朝日をうけてキラキラと輝いていた。
生きとし生けるものの「生」の喜びが彼の魂に宿っているかのように



愛する人を失って、失意のどん底、暗闇の中に一人ぼっちだった私の心に、一筋の淡い光が差し込んできた。



「できあがったばかりなんだけど、曲聴いてみる?
まあ・・・これから何度か手直しが入るけどね

あ・・・そうだ自己紹介遅れたけど、俺は、神崎龍。
リュウでいいから。一応全然売れてないけど、自称アーティスト、これでもCD2枚出しているんだけどね・・・・

いつかは、チャゲ&飛鳥や浜田省吾のようにギター一本、フォークから始めた先輩達のように武道館を満員にするのが夢なんだ





といい終わるや否や彼はギターで曲を弾き始めた。

優しい旋律のアルペジオから始まり、単調な、でも規則正い、そうちょうど秋の海の波が打ち寄せては返すようなメロディー

そして最後は明るいストロークに変わり

徐々にゆったりとした、海に夕日が沈むことを想像させるようなアルペジオに戻り Fin

あまりの美しいいメロディーに気がつけば私はいつも間にか涙していた。

そして知らぬ間にポツリポツリと今回の愛する人との失恋話を昨日会ったばかりの少年に話をしていた。

「私の名は、美咲 美菜穂」

「じゃ・・ミナって呼ぶね・・・」

「ミナ、俺が今の曲に君から聞いた話を混ぜ込んで、究極のLOVE応援ソングを作るから楽しみにしていてね」

と彼は、かるくウィンクをした。

そして、それが、彼を一躍有名にした
「黄昏の街の中で」だった。

失恋し、何もかも失った女性達への応援ソングだった。




オリジナルポエム「黄昏の街の中で」

秋風を受ける波のように
寄せては返す心の痛み

氷のように凍てつく心

誰かが捨てていった空き缶一つ





君は、両翼をもがれた天使のように
小さく海辺でうずくまる。





失くした愛のカケラを一つづつ波に流すように
そして自分の心までも海の泡とともに消し去ろうかとするように・・・

遠いところから流れてきた流木たち





あてどなくただよう海草達

君は涙と悲哀と孤独と絶望で形造った舟で漕ぎ出すのだろか?

あの夏が残した恋の爪あとをオールにして

僕の傍においでよ・・・
傷を癒すことは出来ないけれど・・

せめて一緒に泣いてあげよう

人は哀しみが深いほど
真実の扉が見えてくるから・・・

僕の胸でおやすみよ

偽りの愛に惑わされずに、本当の愛を探しに行こう
心のコンパスが指し示す光を頼りにして・・・

過去の荷物は、海におろせば、波が全てを洗い流してくれるさ

涙で心を洗ったら
街の中へ戻っておいでよ

夏の暑さを残したアスファルトが
心地よい暖かさを残して君のことを待ってるよ

海の夕日は、淋しいけれども
都会の黄昏は明日への扉

君の傷が癒えるまで
僕が傍にいてあげるから・・・

この黄昏の中で
失くした夢や希望が見つかるように
君の心の翼になろう・・・

真実の愛が見つかるまでは・・・・

**********************************

私は、3年前のリュウとの出会いをぼんやりと思い出していた。


淡い間接照明が、シャンパングラスの中の泡を輝かせていた。



その泡をしばらく眺めてから、リュウが言った。

「今度の新曲、事務所が、俺にクリスマスソングを作れってさ


山下達郎さんのクリスマスイブのように毎年売れ続けるような
・・・」

といいうとシャンパンを一気に飲み干した。

「それと同時にCD発売日に握手会とサイン会だってよ

俺はアイドルか?俺は言っていたよな・・・つまらねえ大人にはなりたかねえ・・サラリーマンにはなりたかねえって。

でも事務所に所属し、歌の売れ具合で給料が変わり、上層部の言われたとおりの歌を作り、ヘラヘラと愛想笑いをし、俺の歌を流行歌だというだけで買っていく奴らと握手なんて真っ平だ
ぜ!!どうせ半年もすりゃ飽きちゃうようなファンとも呼べない奴らと・・・・俺は人寄せパンダじゃねえ!!

俺は・・・俺は・・・本当に俺を必要としてくれている、俺の歌にこめた気持ちがわかってくれるクラクション(仲間)達のために歌い続けたいんだ!!」

「結局、俺も今日で20歳。社会からみたら立派は大人だ。事務所から給料をもらい。サラリーマンと何が違うんだろう?」

彼はそういうとソファーの上で両手で足を抱えて頭をうなだれた。



私は、カクテルシェーカーを取り出し、おもむろに、リュウのためにショートカクテルを作るためにシェーカーを振り出し、カクテルグラスを彼の前においた。

「リュウ・・・見て・・・」


***********つづく***********

※この作品は、完全オリジナルフィクションで、写真はあくまでもイメージのために掲載しており、ストーリーとは全く関係ないことをご了承下さい。