第六場 最終章
五郎の仲裁で落ち着きを取り戻した権藤は、その後の経緯を語るのだった。
権藤 「・・・ごめんなさい、脱線してしまったわね。どこまで話したっけ」<o:p></o:p>
五郎 「マスターが援助を断られたところ」<o:p></o:p>
権藤 「ああ、そうだったわね。・・・マスター、それからしばらくはあなた達の事に触れなかった。でもそれはお店の中だけのこと、あなた達の事は忘れてなかったみたいよ。その後身体をこわしてね、入退院を繰り返して五十五歳になった時、生活費を入れることを条件にお店をわたしに譲ってくれたの。それで逢えなくても娘達の側にいたいってここの緑ヶ丘にマンションを買ったの」<o:p></o:p>
美樹 「あそこの・・・緑ヶ丘にいたの?」<o:p></o:p>
隆文 「・・・俺達を見てたんだ」<o:p></o:p>
権藤 「そう、影ながらずっとね」
権藤、袋からアルバムと茶封筒を取り出す。<o:p></o:p>
権藤 「これを見てください」<o:p></o:p>
アルバムと茶封筒を見て。<o:p></o:p>
美樹 「これはどういう・・」<o:p></o:p>
興味を示し近づく一同。<o:p></o:p>
権藤 「見ていただければ、全て分ると思います」<o:p></o:p>
五郎と並び様子を伺う権藤。
アルバムをめくる美樹。<o:p></o:p>
美樹 「これって・・・」<o:p></o:p>
隆文 「姉さん・・」<o:p></o:p>
純子 「どうしたの」<o:p></o:p>
美樹 「ここにある写真は両親が離婚した後の私達だわ」<o:p></o:p>
純子 「・・・じゃ、別れた後に撮ったものなの」<o:p></o:p>
幸子 「親心ねえ・・」
アルバムに見入る美樹と隆文。<o:p></o:p>
隆文 「ねえ、これ俺の幼稚園の卒園式だ、お姉さんとお母さんがいる」<o:p></o:p>
美樹 「そう、そうね」<o:p></o:p>
幸子 「そんな写真があるの?」<o:p></o:p>
純子 「どれどれ?」<o:p></o:p>
純子、栄治もアルバムを覗き込む。幸子も。<o:p></o:p>
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美樹と隆文、一同にアルバムを披露する。<o:p></o:p>
美樹 「ホラホラ、これ、中学の卒業式から帰って来る私」<o:p></o:p>
純子 「ああ、手に持ってるの卒業証書か」<o:p></o:p>
隆文 「これは俺の小学校の運動会」<o:p></o:p>
五郎 「これは徒競走かな、この中に隆文君がいるの」<o:p></o:p>
隆文 「ホラ、これ。これが俺」<o:p></o:p>
幸子 「アラーッ、良く撮れてる」
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