第三場 五月二十日瀬村組村山健三宅・居間
六月の海道神社の例祭の開催が決定しましてね、瀬村組もその準備にかかります。
なにせ三年の空白があり、会場も試しという事もありので普通とは状況は違います。
健三 「神社側と実行委員会で打ち合わせてきたが、今回は試しって意味合いもあるんで、感染対策上普段だと二十四台だが今回は半分の十二台でお願いしたいって事だった」
大輔 「十二台ですか?そりゃ、 . . . 本文を読む
さて第2場「三つの情景」から三つ目の話。「夜道」
的屋商売の再開を人知れず喜んでいる場違いな人間がいます。
表の商売は磐田金融という金融会社を経営する磐田総一。
この人の裏の顔はれっきとしたヤクザです。
それが何でと思うでしょうがそれは追々。
この総一、三年前にコロナに罹りまして生死の境を彷徨った経験がありましてね、以来健康の為に夜のランニングが日課になっております。
総一は横丁の様子 . . . 本文を読む
なんやかやありまして中断してしまいましたが気を取り直してまいりましょう。
第二場 「三つの情景」の二つ目。
瀬村組配下大村組大村大輔宅・茶の間
三年振りの祭りが開催される事が決まって、その責任の重さに飲む三代目瀬村組組長村山健三のやけ酒とは違い、只々うれしい祝い酒の大村大輔は愛妻の綾子といい機嫌になっております。
綾子 「結構飲んだねえ」
大輔 「ああ、久しぶりにうれしい酒だった」
綾 . . . 本文を読む
いまだ実感として湧かないのですが、我が妻利枝と一緒になって50年になりました。
いわゆる金婚式です。
子供たちの計らいで箱根の小田原ヒルトンに一泊旅行に行ってきました。
コロナ前までは一年に一度テニス合宿をしていたので全員で楽しもうという訳で、金婚祝いとテニス合宿を
企画したんだそうです。
老いては子に従えというわけで、私たちはお膳立てに粛々と乗って楽しませていただきました。
先ずは豪 . . . 本文を読む
第2場 同日深夜・三つの情景
ひとつめの情景
横丁で幾久達が三年振りの露店の試験的開店を祝ったその深夜の事でございます。
ここは港北露天商組合長三代目瀬村組組長村山健三宅であります。
会議にも出席した筈の村山健三が酔いつぶれております。
健三の助けになればとナイトクラブを商っている女房の由紀が帰って健三の醜態を見つけます。
これで無事に収まるはずがありません、なんせ健三は禁酒の誓い . . . 本文を読む