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来る健太のデビュー戦に京子が応援する事で京子と健太の友情が成立し、手を取り喜んでいたその時・・・
金蔵 「(怒鳴る)オメエ達はなんだ!」
不動産屋の栗山金蔵が血相を変えて入ってきます。
この金蔵、何を隠そう元七曲りの地主で京子と健太の世話人です。
京子 「!・・、何だ、社長さんじゃないですか。驚かさないでくださいよ」
金蔵 「・・・京子じゃねえか。あれ、健太も一緒か」
健太 「お晩です」
金蔵 「オメエ達そうなの?」
京子 「なにがですか」
金蔵 「いや、だから・・・なんでオメエ達ここにいるんだ」
どうやら金蔵二人を不審者と間違えた様で・・
京子 「あのう、ママが京香さんが来たら知らせろって・・」
健太 「俺も大将からそう言われて・・・」
金蔵 「ああ、オメエ達京香を待ってるのか」
京子 「ええ、そろそろ客出しして会場づくりするから見てきてくれって・・」
金蔵 「鳥功も?」
健太 「ウチは一応9時に閉店する事にしてるんですけど、様子を見てこいって事で来ました」
金蔵 「ああ、そうなのか。俺はてっきり盛りのついた連中が忍び込んで、地下室って事をいいことに始めるのかと思ったぜ」
まあ、何とか誤解が解けたところで、事情を知らずにいる京子は金蔵に自分たちが待っている京香について聞きます。
金蔵 「オメエ達が待っている京香って人はな。本名を伊崎京香っていって、古くから七曲りで亭主と一緒に『京香』っていう割烹料理の店の女将をやってた人だ」
京子 「へえ、あの七曲りで割烹料理」
金蔵 「ああ。食通の間じゃ結構知られた店だったんだぜ。初めは七曲りなんて場末で割烹料理って物珍しさから人が寄ったが、その後は味で客を呼んだ。・・二十七年間七曲りで頑張った店よ」
京子 「でも、あたしが社長のとこにお世話になった時にはもういませんでしたね」
金蔵 「まあ、色々あってな、区画整理の話が持ち上がる前に店やめちまったんだ。だからみんなも会うのは久し振りなんだよ」
京子 「だからママ、張り切ってるんですね」
金蔵 「そういうこった。そうだ、俺行かなきゃ」
京子 「どこへ」
金蔵 「決まってるじゃねえか,五階の大家の間のとこよ。お仕事です、本契約の見届け人」
京子 「なんで?・・・」
金蔵 「・・・ああ、繋がってねえのか。だからその京香って人が此処を借りて店やるんだよ。今日はその本契約の日って訳よ」
京子 「ああ、だから今日なんですけね」
金蔵 「そういう事だ。それじゃな」
京子 「あっ、あのう」
金蔵 「なんでえ」
京子 「健太君、プロテストに合格して一か月後にデビュー戦なんです」
金蔵 「それがどうした」
京子 「だから、応援をしてください。お願いします」
健太 「よろしくお願いします」
金蔵 「おいおい、京子。お前、誰にモノ言ってんだ。健太の応援だ?そんな事は当たり前じゃねえか。あのな健太の報告は逐一届いてます。だからみんな知ってるの」
京子 「失礼しました」
金蔵 「高校総体三位のホープだ。みんなで相談してデビュー戦はのぼり旗立てて派手にやる事に決まってるんだ」
京子 「ああ、そうですか」
金蔵 「健太、俺に恥かかせるなよ」
健太 「ハイ。頑張ります」
金蔵をはじめとした七曲りの仲間の気持ちを知った京子と健太は大喜びです。
そこへ・・・
撮影鏡田伸幸
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