範子「どうしたの?」
恭子「ちょっと要領を得ないですけど・・・」
三郎「実子ちゃんどうしたんだよ」
実子「あっ、サブちゃん。わたし、わたし・・」
泣き崩れる実子。
かと思うと今回の結婚式の感動を切々と訴えるのであった。
実子「私、感激しちゃった。震災で出席できなくなった親友の為に、わざわざ私たちを呼んで長年の約束を果たすなんてすごい友情。ねえ、そうでしょう」
実子「二月になったらわたしの結婚式もあんな感動的な結婚式にするんだ」
恭子「二月に結婚するの」
実子「ええ。わたしも・・やっと・・やっと・・・」
泣き崩れる実子。
その訳あり気な様子に、範子は彼女を落ち着かせ胸の内を聞こうとする。
範子の母性に満ちた態度に実子の心は素直さを取り戻していく。
実子「わたしね、来年の二月に十五年付き合っていた彼と、ようやく、ようやく結婚するの」
範子「あら、よかったわね」
実子「そうなの、あたし彼と結婚するの。彼ね、中学以来の付き合いなんだ・・・あたし小さい時に交通事故で両親をなくして叔父の所に引き取られてそだったの。でも折り合いが悪くて、叔父たちのそばからどうしても離れたくて、中学を卒業して准看護師学校に入って資格をとって上京して就職したの。彼ったらそんな我儘なわたしをずっと応援してくれて、それ以来の付き合いなんだ」・・・・実子は心を開きすべてをかたる。
ひとしきり自分の身の上を語った実子は落ち着きを取り戻す。
三郎 「それでどうしてもらいたいんだよ、実子ちゃん」
三郎の言葉に我に返った実子は大事な事を思い出す。
実子「探して、ねえ、探してお願い」
範子「何を?」
実子「指輪、婚約指輪」
実子は婚約指輪を落としたのだ。
実子「とっても気分がよかったから、ブランコに乗って夜空に指輪をかざしていたの。そしたらブランコから落っこちちゃって・・ブランコの近くの草むらに。わたし探したの、一生懸命探したの。でもどうしても見つからないのよ」
恭子と三郎は懐中電灯を手にしに行く。
こうしてスマイルマミーの多忙な一日が過ぎて行った。
続く。
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