「民宿物語・糸口」大吉オヤジの独り言2

この達夫君、結構気弱な男で、仕事の関係で永く家を留守にしているのを気にして、勝手に奥さんから嫌われていると思ってる。
俺に言わせりゃ考えすぎよ。面と向かって話し合えば案外何でもないって事になるんだが・・・

それがなかなか難しいようだ。

まあ、夫婦の仲なんて他人には わかんないもんだがね。

ああ、夫婦っていやあ、娘雅子の亭主の昭雄にも今日は発破をかけてやった。

なんのって？

決まってら！

孫だよ、孫。

一人娘が結婚したんだ。

俺の後の楽しみは、孫の顔をみることさ。

それを何をぐずぐずしてるんだか、とんとそんな兆候は見えねえ。
雅子に言ったって軽くいなされるのが落ちだ。だから旦那に直接談判よ。

ああ、話は変わるんだが。
ここの常連の一人にちょっとした変り種がいるんだ。
名前はチェリー花村。きっぷのいい女の子さ。
もう3年前からの付き合いよ。

このチェリーさん。何を隠そうストッパーよ。
俺の楽しみはこのチェリーさんの毎朝の体操だ。
なかなか乙なもんだ。

達夫君も昭雄も初めて見るチェリーさんの体操に目を白黒してるんだ。

チェリーさんもそんな二人の様子に、今日は大サービスよ。

ここでちょっと裏話。

あの達夫君、奥さんとのこと落ち込んでいると思ったら、なにくわぬ顔でチェリーさんの舞台をみに行ってたんだ。

全く何を考えているんだか。

三人でチェリーさんのストリップの講釈聞いてたら、みんなでチェリーの舞台を見に行くことななっちゃった。
俺も知らなかったんだが、この町の唯一のストリップ劇場のローズ座が取り壊される事になったらしい。だからチェリーさんとも今年限りって訳だ。

なんともさびしい話だが・・

やっぱりこんな所にも過疎化の波が押し寄せているんだね。

そんなこんなの時、娘の雅子が飛び込んできた。

何事かと思ったたら、行き倒れを見つけたんだと。

それも大男だそうだ。

この続きはまた後で。

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