八軒自然科学クラブでは、良く言えば「臨機応変」、悪く言えば「いい加減」に活動を行っていました。
例えば、山頂を目指して山を登っていても、途中で山菜採りに夢中になって時間が無くなり、「じゃ、今日は八合目まで登ったら戻りましょう」と変更する事がありました。しかも、割と良くある事なのです。他にも、5分休憩のつもりが、サンショウウオやカエルの卵を見つけて20分くらい卵採りをしたり、普通に歩いていたのが、急斜面を登る競走になったり…その場の雰囲気で活動はどんどん変更されていました。
この「いい加減さ」が、どうやら発達障害の子にとっては良かったようなのです。
例えば、アスペルガー傾向のある子は一般的に、こだわり行動の強い事が多いです。今、自分が気になった事を中断させようとしても、なかなか中断できなかったり、時には怒り出したりします。
学校は、将来的に日本社会へ出て活躍する大人になるよう、子供たちを育てる場です。ですから、活動する時間帯も内容も決まっています。2校時が国語の授業なら、算数を続けていたい子にも国語をしてもらわなくてはなりません。当然、活動を中断するよう指導する事になります。
しかし、八軒自然科学クラブは違います。八軒自然科学クラブは、野外活動の楽しさを伝えるのが目的です。だから、「山菜を採りたいの? いいよ。じゃ、折角だから、みんなで山菜を採ろう」と、活動を変更する事が出来ます。結果として発達障害の子も、のびのびと活動をする事が出来る訳です。
誤解の無いように書きますが、「学校が悪い」と言っているのではありません。学校と八軒自然科学クラブでは、その目的が異なっているから違いが発生したのです。そして、それが発達障害の子には合っていたらしい…単に、それだけの話なのです。