エスせんブログ

ラノベ好きなB級小学校教師のエスせんが、教育中心に色々語るブログです。少しでも面白ければ「いいね」御願いします。

長期休み前に必ず指導する事

2023-07-31 04:30:00 | 教育

 以前(R5.7.10)告知した通り、月~水曜は学校教育に関する話を書きます。

 令和5年度、札幌市の小学校は7月25日が終業式でした。26日からは夏休みとなります。

 夏休みや冬休みなどの長期休みの前、私は必ず指導する事があります。

 指導する時は、まず、「夏(冬)休み、絶対に守ってほしい事は一つだけです」と言って集中させます。そして、「死んではいけない…という事です」と言います。初めて聞く子供たちは、皆、びっくりした表情になります。

 これ、「命を大事にしましょう」とか、「自分の命は自分で守ります」と言う事も可能です。

 でも、私は「死んではいけない」と言います。インパクトのある言葉で、しっかり子供たちの頭に焼き付けておきたいからです。

 そして、「学級の全員が、みんな、元気に顔を合わせる事の大切さに比べたら、他の事なんて大した事ではありません。宿題を忘れたって、先生から叱られるだけです。でも、死んでしまったら叱られる事すらできません。だから、死んではいけないのです」と補足します。

 この指導をした後、令和5年度は「夏休みの生活」というプリントを読みました。これは、勤務校で発行している、夏休みの生活のきまりを書いたプリントです。当然、「交通事故にあわないよう気を付けましょう」とか、「水の事故にあわないよう気を付けましょう」などと書かれています。

 これらの項目を読んだ後、子供たちに問いました。「何故、気を付けなくてはならないか分かりますか」と。子供たちは素直なので、「死んではいけないから」と返事がありました。

 普通にプリントを読んでも効果はあると思いますが、しっかり価値づけられている方が、より効果は高まると私は考えています。これだけ念入りに指導したので、令和5年度の夏休み、多少は子供たちの安全意識が高まった…と信じたいところです。

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虫の声

2023-07-30 04:30:00 | 自分

 日曜は、月~土曜の内容に含まれない内容で書いています。今回は、「自然ってイイなぁ~」と私が感じる時…について書きます。

 令和5年7月26日、ちょっとした事情があって、夜の10時近くに自転車で駅から自宅まで戻りました。その時に通る道の横には、割と空き地があります。「そろそろ虫の声が聞こえないかなぁ」と思いつつ、耳を澄ませながら自転車に乗っていると…聞こえました。

 リリリリリ…これはコオロギでしょうか。

 ジー…とか、ギギギギ…という声も聞こえます。

 この日の数日前にも同じ場所を通りましたが、その時には、ほとんど虫の声が聞こえませんでした。明らかに、変化しています。

 自転車で進んでいますから、横の空き地は次々と変わっていきます。すると、聞こえる虫の声も変わっていきます。リリリ…が強く聞こえる空き地もあれば、ギギギ…が強く聞こえる空き地もあります。「あ~、場所によって住んでいる虫が違うんだなぁ」と感じます。

 他には、ほとんど音の聞こえない夜の道を、虫の声を聞きながら進んでいく…何となくロマンチックだと思いませんか。

 そして私は、この虫の声が聞こえてくる時期になると、「あ~、もう秋が近づいているんだなぁ」と感じます。暑くて寝苦しい夜が続いているのですが、秋は確実に近づいているのです。

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大河ドラマな『本好きの下克上』2

2023-07-29 04:30:00 | ライトノベル

 土曜は、最も人気の無いブログである、ライトノベルについて書く日です。私のライトノベル愛だけで書き続けている曜日です。今回は先週の土曜(R5.7.22)の続きで、『本好きの下克上』が大河ドラマっぽい理由を書きます。

 『本好きの下克上』はライトノベルですから、御都合主義なところが多々あります。困った事があっても魔法の力で何とかなる辺り、御都合主義だなぁ…と、私も感じます。

 しかし、妙に現実的な部分も多々あるのです。例えば、この物語では案外簡単に人の命が奪われます。理不尽な理由で殺される(殺されそうになる)事もしばしばあります。この辺りは、現実の世界をリアルに再現していると言える…そう私は感じています。このブログをアップした令和5年7月29日現在、ウクライナでは戦闘状態が続いており、世界各地で沢山の難民が発生しています。直接的に書かれていなくても、『本好きの下克上』の描写は、それらをイメージさせるからです。

 また、魔法の力で何とかならない事も多々あります。例えば、この物語で最も重要な「本を沢山作る」事も、魔法の力でちょちょいと…とはいきません。技術を身に付けた職人が、家内制手工業レベルの作業で作っていく必要があります。主人公の魔法の力だけで問題が解決していく、他の多くの作品とは一線を画していると私は考えています。

 長々と書いてきましたが、大河ドラマのような重厚長大な物語が楽しめる『本好きの下克上』。笑える場面も随所に織り込まれており、とても面白くテンポ良く読めます。ぜひ、食わず嫌いせずに読んでみてほしいライトノベルです。

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滑って爽快な三角山登山

2023-07-28 04:30:00 | 野外活動

 毎週木曜と金曜は、もう解散してしまった八軒自然科学クラブの思い出を書いてます。昨日(R5.7.27)に続いて今回は、通常のハイキングや登山に関わる話をします。

 2月には、札幌市西区のシンボルである三角山登山をしました。雪の積もっている時期ですから、冬山登山や雪山登山という事になりますが、広い林道が整備され、冬でもコースが踏み固められているので、初心者でも簡単に登る事ができます。

 この三角山登山…最大の売りは「山頂からの尻滑り」です。

 林道入口からのんびり登っていき、山頂へ到達したら景色を眺め、一度、八~九合目辺りにある広場へ戻ります。そこで、昼食を食べて休憩したら、再度、山頂へ向かいます。

 ただし、完全に山頂へ登るのではなく、少し手前の林道の角で止まります。そちら側の麓には病院があるのですが、その病院の横辺りに滑り降りられるよう、指導員がコースを見極めながら尻滑り開始です。

 斜面に積もった雪に座り、手や尻を動かして雪面を滑っていくのですが、コースを開拓している指導員は、そんなにスピードが出ません。ゆっくり滑り降りていく感じです。それが二人目、三人目…と続くにつれて、どんどんスピードが出るようになります。概ね四~五人目がピークとなり、七人目くらいからはスピードが出ない…と言うか、あまり滑らなくなります。滑る子供たちと一緒に雪が流れていくので、雪が無くなって、笹や枝が出てしまい引っかかるからです。

 そうなると、最初のコースの近くに新しいコースを作ります。そして、また尻滑りで降りていく訳です。

 こうやって、山頂から麓の登山口まで滑り降りていきます。登る時は、のんびり登っている事もあって2時間くらいかかりますが、帰りは概ね15~20分間で滑り降ります。もう、とっても爽快です。

 もちろん、気を付けないと怪我をします。コースの先が2~3mくらいの崖になっている事もありますし、枝に引っかかる事もあります。立木にぶつかる可能性もゼロではないでしょう。だから滑る際、我々指導員は最大限の注意を払っていました。

 ちなみに子供たちには、通常活動の中で最も人気の活動でした。

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神秘的な小樽の「穴滝」

2023-07-27 04:30:00 | 野外活動

 先日(R5.7.10)告知した通り、木曜と金曜は八軒自然科学クラブについて書いています。今回は、八軒自然科学クラブの通常活動…つまりハイキングや登山で訪れていた場所から、小樽の「穴滝」を紹介します。

 小樽の「穴滝」は、縄文時代以前にできたとされる洞窟内にある滝です。八軒自然科学クラブでは、地元の八軒近くにあるJR琴似駅に集合し、JRで小樽駅まで行き、そこから北海道中央バスの「天神町行き」に乗って、終点で降りてから…やっとスタートとなります。その後、延々と、もう本当に延々と歩き続けた先に洞窟が見えてきて、中に入ると、やっと滝と御対面となる訳です。

 この、途中の山道、だらだら続いている感じで面白くありません。ただし洞窟まで500mになると、鬱蒼とした林の中、しかも、あちこちに小川が流れ、ちょっとした崖や急斜面もある道を進む事になるので、それは面白いです。

 こんな苦労(?)を乗り越えて到達しただけに、「穴滝」を見ると子供たちも指導員も興奮します。林の奥に洞窟があり、そこに滝がザーザー落ちているのですから、興奮するなという方が無理だとは思いますが…。

 八軒自然科学クラブでは9月上旬に行くので、まだまだ暑い時期です。そのせいもあって、ほぼ例外なく子供たちは滝の水を触ろうとします。中には、「滝に打たれる修行」を始める子もいます。確かに、ちょっと神秘的な雰囲気もあるので、「滝に打たれる修行」をしたくなる気持ちは分かります。

 八軒自然科学クラブの通常活動では、私は、この小樽の「穴滝」が最も好きでした。何かを成し遂げたという満足感があり、しかも少し神秘的だったからです。

 なお、実際の様子を見てみたい方は、「小樽」「穴滝」と入力してネットで調べてみてください。かなりの数の写真がアップされています。

 

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学級での俳句活動・話す聞く編

2023-07-26 04:30:00 | 教育

 月~水曜は、学校教育に関する内容を書いています。今回は、一昨日(R5.7.24)に紹介した、俳句活動の中の話す聞く活動について書きます。

 こちらは創作活動に比べると単純で、国語の授業の開始時、3分くらいの時間で公文から発行の「俳句カード」を読ませているだけです。「俳句カード」は春夏秋冬の4種類あるので、季節に合わせて読むようにしています。

 読ませ方は、概ね以下の通りです。

1.カードの中から5枚を選ぶ。

2.1枚目の裏を見せ、俳句全体が分かる状態で追い読みさせる。

3.表にして上五のみ見える状態にし、俳句全体を追い読みさせる。

4.以下、2枚目以降も同じようにして追い読みさせる。

5.上記1~4を何日か繰り返し、覚えてきたら最初から表のみ見せる。

  そして、上五を教師が読み、続きを子供たちに言わせる。

6.上記5がすらすら出来るようになったら、新しい5枚を選ぶ。

  上記1~4を行い、終わったら前回までのカードで上記5を行う。

7.最終的には、覚えたカード全部で上記5を行う。

 こうやって、俳句を覚えさせていきます。子供は覚えるのが早いので、上五を教師が言わなくても、俳句全体を暗誦する子も出てきます。遠足で草花や虫を見かけた時、「たんぽぽや日はいつまでも大空に」などと、自然と俳句が出てくるようにもなり、そんな時は「何か、いい雰囲気だなぁ」という気持ちになります。

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学級での句会ライブ

2023-07-25 04:30:00 | 教育

 月~水曜は学校教育について書いています。今回は昨日(R5.7.24)の続きで、俳句活動の創作活動の山場とも言える、句会ライブについて書きます。

 句会ライブについては、昨日も紹介した夏井いつき先生の『俳句の授業ができる本 創作指導ハンドブック』(三省堂)に詳しく出ています。私も、この本を読んで句会ライブを開始しました。

 現在の私の学級での句会ライブは、以下の様な流れで進めています。

1.学級の児童が作った俳句を、パソコンに打ち込んで一覧にする。

2.私が良いと思った8~10句を、掲示用プリントにする(拡大機で拡大プリント化する)。

3.掲示用プリントを黒板に掲示し、全員で声に出して読む。

4.各自のノートに良いと思った俳句の番号と、良いと思った理由を書く。

5.発表したい子が前に出て、ノートに書いた事を読み上げる。

6.発表を聞いて考えの変わった子は、ノートに書いた俳句の番号を変更する。

7.顔を伏せ、自分が選んだ俳句に挙手する。

8.最も票数の多かった俳句に最高賞を、他の俳句には担任から優秀賞を与える。

 細かい部分で書き足したい事はありますが、概略は上記の通りです。読めば分かる通り、音読があり、記述があり、発表がありの、総合的な国語力を鍛える活動となっています。

 なお、2の俳句を選ぶ際、学級づくりも考えて私は選んでいます。純粋に良い俳句を選ぶのではなく、「まだ、この子は選ばれた事がないから、今回の句会ライブに選ぼう」と、学級でのバランスを考えて選んでいる…という事です。

 また、8の優秀賞は、各俳句の良かった点を私なりに解説して表彰しています。例えば、「初めて潜れた嬉しさが伝わるで賞」みたいな感じの賞状を渡している…という事です。

 こうやって、年に10回くらい句会ライブを行います。そして、私のパソコンに蓄積された俳句を再編集し、可能であれば、年度末には学級句集を発行するようにしています。

 

 

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学級での俳句活動・創作編

2023-07-24 04:30:00 | 教育

 以前(R5.7.10)告知した通り、月~水曜は学校教育に関する話を書いています。今回は、私の学級で行っている俳句活動について紹介します。

 何年も前から私の学級では、学級づくりの核の一つとして俳句活動を行っています。この俳句活動、大きく二つの活動から成り立っています。

1.話す聞く活動→俳句の音読・暗誦

2.創作活動  →句作と句会ライブ

 今回は、2の創作活動について書いていきます。1については、また別な機会に書きます。

 創作活動は、大きく次のような流れで進めています。

① 毎週末、その週を振り返って「俳句のタネ」を記録させる。

② 毎月末、その月に作った「俳句のタネ」と「季節の言葉(=季語)」とで俳句を作らせる。

③ 俳句を作った翌日(正しくは「翌営業日」)に句会ライブを行って表彰する。

 上記「俳句のタネ」とは、上五+中七または中七+下五の十二音で書かれた言葉です。その週の出来事を振り返って書くので、例えば鉄棒をした週であれば、「てつぼうでさか上がりした」とか「きょうもできないさか上がり」などと書きます。私の学級では、それを俳句のタネを書く学習カードに書きためていきます。

 月末には、概ね三~四つの「俳句のタネ」があるはずなので、その中から一つを選んで「季節の言葉」と組み合わせる形で句作させます。「季語」ではなく「季節の言葉」と呼んでいるのは、札幌では光村図書の国語の教科書を使っており、その中に「季節の言葉」という単元があるからです。できるだけ教科書と結び付ける事で、学習内容の広がりや深まりをねらっています。

 「季節の言葉」は、毎回、担任の私が5種類くらい選び、その中から自分で合うと思った言葉を子供たちが選びます。例えば、先程の「俳句のタネ」を書いた子が「くものみね」を選んだとすれば、「てつぼうでさか上がりしたくものみね」とか「くものみねきょうもできないさか上がり」となる訳です。

 なお、この句作については、TV番組「プレバト」で有名な夏井いつき先生の『俳句の授業ができる本 創作指導ハンドブック』(三省堂)に詳しく出ています。ただ私は、その本を読む前に、小山正見先生の『発見!感動!創造!どの子もできる10分間俳句』(学事出版)で方法を学びました。

 長くなったので、句会ライブについては明日以降に書かせていただきます。

 

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札幌木鶏クラブ7月例会

2023-07-23 04:30:00 | 自分

 日曜は、月~土曜には当てはまらない内容を書いています。今回は、私が学びの場の一つとしている、札幌木鶏クラブの7月例会について書きます。

 人間学を学ぶ『致知』という雑誌があります。その『致知』を読んで感想などを語り合う事で、より学びを深めようという集まりが「木鶏クラブ」です。札幌木鶏クラブは、札幌市内で開催されている「木鶏クラブ」です。

 今回のブログでは、令和5年7月20日(木)に開催された、札幌木鶏クラブ7月例会で私が学んだ事を書きます。なお、プライバシー保護のため、このブログでは全て名前を伏せさせていただきます。

 7月例会では、『致知』7月号について語り合いました。7月号の特集テーマは、「学を為す 故に書を読む」なのですが、何故か、「私は本を読むのが苦手で…」とか「本は読まないので…」とか「本は積んでおくばかりで…」という話ばかり出てきます。もっとも、そう書いている私自身も、最近はライトノベル専門ではあるのですが…。

 そういう話の流れのせいか、京都大学名誉教授の鎌田浩毅先生の記事「人生を豊かにする一生モノの読書術」に共感した…と言うか、「ホッとしました」という意見が多かったです。「読んだ量やジャンルの広さは問題ではなく」や「読み飛ばしていい」などと書かれていた事で、「今の自分でもイイんだ」と安心した方が沢山いたのでしょう。

 その様な話の中でS先生(※)が、「水を温めると蒸気になるが、冷やせば水に戻る。しかし、卵を温めると茹で卵になり、冷やしても元の卵には戻らない。本を読むという事は、自分に対して、その卵の様な変化を生じさせる事なのではないか」という事を仰っていたのが印象的でした。

 『致知』は当然として、おそらくライトノベルからでも学べる部分はあると思います。そう考え、読書を通し、ほんの少しずつでも成長し続けていきたい…そう、私も思います。

   ※ 学校の教師ではありませんが、私にとっては人生のヒントを与えてくださる方なので、

     「先生」と呼ばせていただいています。

 

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大河ドラマな『本好きの下克上』1

2023-07-22 04:30:00 | ライトノベル

 土曜日は、私がのめり込んでいるライトノベルについて書いています。ブログ中で最も人気が無いようですが、気にせず続けます。

 今回は、数ある大河ドラマ的なライトノベルの中でも、最も大河ドラマな『本好きの下克上』です。ちなみに、ここで言う「大河ドラマ」とはNHKさんで放送している「大河ドラマ」を主にイメージしており、長い歴史の中で様々な人々が関わりながら重厚長大な物語が展開していく…という感じで使っています。

 大河ドラマ的なライトノベルとしては、『転生したらスライムだった件』や『無職転生』などもあります。

 しかし、私は『本好きの下克上』に最も大河ドラマ的な雰囲気を感じます。それは何故かを考えると、30巻を越える大作であるなど様々な理由があるのですが、シリーズ全体の構成の巧みさが一つの大きな要因だと考えられます。

 『本好きの下克上』は、現代日本で異常なほど本が好きな女性だった主人公が死んだ後、中世ヨーロッパ風の異世界に少女マインとして転生する…という物語です。ほとんど本の無い世界で、主人公マインは本を大量に普及させるために努力を積み重ね、その結果、この世界でのし上がっていきます。

 最初のシリーズ「兵士の娘」では、主人公マインは何の力もありません。魔法や魔物のいるファンタジー世界ですが、魔法も使えないし、地位も低いので権力もありません。そもそも病弱で、普通の子供並みの体力すら無いのです。そんな彼女が本を作るための第一歩として、紙を作るまでの悪戦苦闘を描いているのが「兵士の娘」です。ほぼ魔法が出てこないため、ファンタジーな異世界の物語だと忘れてしまう程です。

 それが次のシリーズ「神殿の巫女見習い」になると、少しずつ魔法や魔物が登場してきます。そして、「領主の養女」「貴族院の自称図書委員」「女神の化身」とシリーズが進むにつれて、どんどん魔法も魔物も凄くなっていきます…が、最初の「兵士の娘」が身近でリアルな雰囲気だったため、そんなに違和感なく読み進める事ができます。

 この、無理なくファンタジー世界に引き込んでいくシリーズ構成の巧みさが、大河ドラマを感じさせる一因だと私は思います。

 大河ドラマを感じさせる要因は、まだあります。長くなったので、それについては来週の金曜に書かせていただきます。

 

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