エスせんブログ

ラノベ好きなB級小学校教師のエスせんが、教育中心に色々語るブログです。少しでも面白ければ「いいね」御願いします。

本ではないけど感想を

2024-08-29 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り。今回は、私の推し作家さんの作品…ですが、まだ出版されていません。ネット上で公開されている作品の感想です。しかもラノベじゃないのですが…。
 紹介するのは、笹目いく子先生の『雷風~独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帳番外編』です。本編については、以前(R6.6.6)紹介済みです。その番外編が、アルファポリスさんで公開されていて、読むだけならアカウント無しでも大丈夫なので拝読してきた…と言う訳です。
 主人公・久弥の兄として本編に登場した宗靖(ファンの間では「宗靖兄さん」と、愛情込めて呼ばれています)を主人公にしたスピンオフ作品。本編の前日譚で、宗靖兄さんが本国に戻っていた理由などが分かる話となっています。
 この作品、現代らしい経緯で生まれた作品…ではないかと私は思っています。
 私が若い頃、作家さんに自分の気持ちを伝えたいと思ったら、ファンレターを書くしか方法はありませんでした。もちろん、そのファンレターに返事が来るなんて、余程の幸運でなければ有り得ない出来事です。
 それが今、SNSを使えば、簡単に自分の気持ちを作家さんに伝える事が出来ます。しかも、割と気軽に作家さんからの返事がいただけます。実際、笹目いく子先生に対し、私はnoteと言うSNSで感想を伝え、笹目先生から御返事をいただいています。昔では全く考えられない事です。
 そして、『独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帳』本編では、noteでファンの皆さん(もちろん私も)が次々と感想を伝え、笹目先生から御返事をいただき、それを読んだ他のファンが更に盛り上がる…と言う素敵な流れが生まれました。その流れの中で発生したのが、「宗靖兄さんのスピンオフ作品が読みたい」と言うファンからの希望です。
 そして、それが現実となった訳です。
 もちろん、笹目先生の心の中に「スピンオフ作品を書きたい」と言う気持ちがあったから、この作品が生まれたのでしょう。
 ただ、その気持ちを強く後押しし、実現に繋げたのは笹目先生とファンとの交流だったと思うのです。そう言う意味で、この作品は現代らしい経緯で生まれた…と、私は思う訳です。
 実に幸せな時代に生きている…そうは思いませんか。

 ところで、令和6年8月28日の記事に、「いいね」などをいただきました。どうも、ありがとうございます。今週後半も頑張ります!
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

工夫が色々『引きこもり箱入令嬢の結婚』

2024-08-22 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛。今回は、前回(R6.8.15)に続いて箱入令嬢シリーズを紹介します。
 今回紹介するのは、北乃ゆうひ先生の『引きこもり箱入令嬢の結婚』です。前回紹介した『引きこもり箱入令嬢の婚約』に続いて、箱入令嬢シリーズ第2弾となります…が、これで最終巻となりますので、前後編の後編と考えた方が良いかもしれません。
 前作でサイフォン王子の婚約者となった箱入令嬢モカ。「箱入り娘が、物理的な意味で本当に箱入りだったら…」と言う発想から生まれた作品なので、本作でも相変わらず箱から出る事は出来ません。そこへ次から次へと厄介事が発生し…果たして、箱入令嬢モカは無事に王子と結婚する事が出来るのでしょうか…ってのが内容です。
 前作は、「箱入り娘が、本当に箱の中で生活している~www」と言う面白さがあったので、その勢いだけでも読み進める事が出来ました。
 続編となる本作では、その勢いだけでは読み進めるには弱いです…が御安心。本作では、「主人公は箱の中から出られないから、外の世界に働きかけるには大きな制約がある」を覆し、箱入令嬢モカが大活躍する姿を楽しむ事が出来ます。つまり、箱入令嬢の活躍を「深掘り」した作品になっている訳です。
 実際、物語の展開される場所は、王宮と自宅と箱でほとんど終わらせていた前作。それが本作になると、街の中や貴族の館、森などでも物語が展開します。箱から出られない箱入令嬢モカが、どうやって活躍するのか…それが、前作から読んでいると分かる、実にスムーズな流れで展開していくのです。
 それと関連するのですが、本作では、一人称で語られている作品で感じる不満…と言うか、ストレス…と言うか、ちょっとした問題点を解消する事に成功しています。
 例えば、名作『本好きの下克上』も一人称です。そのため、主人公ローゼマインが見聞きできる範囲の事しか分かりません。様々な場所で展開している話(例えば、あちこちで行われている戦闘場面)を描くためには、様々な語り手に語らせるしかないため、短編を幾つも用意する必要があります。
 それが本作では、箱入令嬢モカの魔法の力により、語り手であるモカが不在の場所であっても、どんな出来事が展開しているかを読者は知る事が出来ます。もちろん、それは語り手であるモカが見たり聞いたりしているからなのですが、これにより読者は、あちこちの短編を読んで自分の頭で合成しなくても、物語の全体構造を理解しながら読み進める事が出来る訳です。
 内容自体は甘~い恋愛物語ですが、アクション場面も少しあり、楽しめる娯楽作となっています。コミカライズはシリーズ2冊分をまとめて展開しているので、そちらを読むのもオススメです。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

発想の広げ方が秀逸な『ひきこもり【箱入令嬢】の婚約』

2024-08-15 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り。今回は正に、「愛」の物語を紹介します。
 今回紹介するのは、北乃ゆうひ先生の『ひきこもり【箱入令嬢】の婚約』と言う作品です。
 この作品、ひきこもりの御令嬢が王子様の愛を勝ち取って、婚約者になるまでの物語…って、「そんなの普通の恋愛物語じゃん! どこがラノベなの?」って思いますよね。普通。
 ところがギッチョン、この御令嬢は只の「箱入令嬢」じゃない。
 本当に、物理的な意味で「箱入り」の御令嬢なのです。
 物語のオープニング、王子様のパーティ会場に木製と思われる木箱が置いてある場面から始まります。「何で、こんな場所に木箱が…」と皆が思い、やってきた王子様も思うのですが、その木箱が喋ったから、さあ大変! 箱魔法と言う、かなりヘンテコな魔法の力で、箱中ひきこもり生活をしている主人公モカと、王子様の恋愛物語が始まります。
 このラノベ、かなり真面目な恋愛物語なのです…が、主人公のモカが箱中ひきこもり生活をしていると言う設定のため、色々とシュールな情景が展開されます。
 例えば、王子とモカがバルコニーに出てくる場面。ひきこもり令嬢のモカは当然、箱の中から顔を出しません。その代わり、空中に浮かんだ箱の横から女性の腕が出てきて、その腕を引いて王子はバルコニーに出てくるのです。女性の腕の生えた、空中に浮かぶ木箱をエスコートする王子…大笑いとまではいきませんが、結構くすくす笑っちゃうと思いませんか。
 こんなシュールな情景が度々出てくるので、くすくす笑いながら読んでしまう作品でした。
 作者の北乃ゆうひ先生は、「箱入り娘が本当に箱に入っていたら…面白いんじゃね」と考えて作品にした様ですが、見事、大成功だと思います。その、ちょっとした思い付きから発想を広げ、これだけ面白いラノベにしてしまったのですから。
 この作品、コミカライズもされていて、コミックもラノベも同じくらい面白いです。

 ところで、令和6年8月9日のブログに「いいね」などをいただきました。気付くのが遅くなり申し訳ありません。そして、とても嬉しいです。どうも、ありがとうございました。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実はいちゃラブな『悪役令嬢レベル99 その2』

2024-08-08 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛の日。今回は、前回(R6.8.1)紹介した作品の続編を紹介します。
 今回紹介するのは、七夕さとり先生の『悪役令嬢レベル99 その2~私は裏ボスですが魔王ではありません~』です。
 前作で断罪を免れた主人公ユミエラ。学校を卒業したユミエラは、伯爵位を継いでドルクネス領に戻ります。あまり目立った産業がなく借金が多めの領地を再建し、平穏な生活を手に入れるため、気合いを入れて頑張るユミエラ…ですが、やっぱり天然でズレています。そのため、次々と騒動を発生させ…と言うのが概略です。
 う~ん…概略だけ読むと、何か、前作と違わないですね。
 でも、安心してください。前作よりパワーアップしている部分があります。それが、ラブコメ…いや、もしかすると「いちゃラブ」かな…の要素です。
 前作で恋人になった…と思われるパトリック・アッシュバトン。もちろん、ユミエラはパトリックの事が大好きなのですが、天然でズレている上、極度の恥ずかしがり屋なので、恋バナは一向に進みません。
 でも読んでいると、ズレているなりに、いちゃいちゃしている印象を受けます。何と言いますか、ラノベ世界で言う「痛い子」的な展開なのですが、いちゃいちゃしている感じも強いって言いますか…。
 前作は、かなりカチッとまとまった作品でした。伏線なども概ね回収され、あれ1作で終わっている感じの作品です。ですから、続編を書くとなると新しい要素を入れる必要があり、それがラブコメ(いちゃラブ)要素の増強なのでしょう。
 私は、これは概ね上手くいっていると思いました。ユミエラとパトリックの間で、まるで漫才みたいな会話がなされる時があるのですが、天然要素とラブコメ要素が混ざっているので、無理なく読み進める事が出来たからです。
 話のまとまりは前作の方が上だと思いますが、楽しく気軽に読めるライトノベルに仕上がっていると思います。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

笑いと泣きの塩梅が良い『悪役令嬢レベル99』

2024-08-01 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛の日。今回は、ラノベもコミックも面白い作品を紹介します。
 今回紹介するのは、七夕さとり先生の『悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~』です。
 前世は日本人女性だった主人公は、前世で好きだった乙女ゲームの悪役令嬢ユミエラ・ドルクネスに転生します。しかも、このユミエラ、ゲームでラスボスである魔王を倒すと登場する、裏ボス設定のあるキャラでした。
 普通のラノベですと主人公は断罪されないよう努力するのですが、ユミエラは前世と同じ黒髪に黒い目で生まれており、御丁寧に、この世界では「黒=悪」と言う差別が定着しています。そのため、生まれた時から周囲に「悪の存在」認定されて恐れられており、そもそも断罪されない事が難しい状況となっています。
 しかも、ユミエラに転生した主人公…ちょっと、いや、かなり天然で世間の価値判断からズレています。そのため、幼少の頃からレベル上げに力を入れてしまい、魔王よりも強い、レベル99にまで到達してしまうのです。さて、平穏な生活を望む主人公ユミエラは、果たして平穏を手に入れる事が出来るのか…。
 以上、概略を書けば予想出来る通り、この作品はコメディです。天然でズレているユミエラが、真面目に善良に頑張った結果、様々な事件を引き起こしてしまう…と言うのが基本的な流れです。
 漫画家の大和和紀先生が、「当人は真面目に頑張った事が、ちょっとズレていた時、笑いが生まれる」…と言う様な事を、何かの漫画の中で仰っていました(確か、『ハイヒールCOP』だった様な…)。正に、その通りの内容で、当然、とても面白いです。
 それが物語のクライマックスでは一転。びっくりする様なシリアス展開が…。
 全体の割合で言うと、コメディ、コメディ、コメディ、コメディ…コメディ、シリアス、コメディって展開です。最後はコメディで終わるのでホッと一安心ですが、クライマックスのシリアス展開によって、作品全体がぐぐっと引き締まる感じがします。松竹新喜劇などで多かった、「笑いと泣き」の塩梅が良い作品って感じでしょうか。
 この作品、コミカライズもされている他、令和6年にはアニメ化もされました。私はラノベとコミックしか読んでませんが、どちらも同じくらい面白かったです。ラノベは、すっきりしていて読みやすく、コミックは、細部が詳しくなっていて楽しく読めました。

 ところで、令和6年7月29・30日のブログに「いいね」などをいただきました。いつも、どうも、ありがとうございます。とても嬉しいです!
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コミックの方をオススメ『Sランクパーティから解雇された【呪具師】』

2024-07-25 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛を語る日。今回は、ラノベとコミックを比べ、コミックの方が面白いと感じた作品を紹介します。
 その作品は、『Sランクパーティから解雇された【呪具師】』。Sランクのパーティを解雇された主人公は実は凄腕で、解雇したパーティはどんどん駄目になっていき、主人公はどんどん幸せになっていく…と言う、ラノベでは多く見られる展開の作品です。
 では、この作品の特徴とは何か…ですが、主人公が凄腕なのは「呪具」、つまり「呪われた道具」を作る能力だと言う点です。
 「呪われた道具」は一般的に、呪われる事による負の効果がある分、他の道具とは比べられない程の驚異的な効果もあります。この作品の主人公ゲイルは、驚異的な呪具の製作能力により、呪われる効果を最小にしつつ、発揮できる効果を最大にする事が出来るのです。かなりのチート能力です。
 この作品は、主人公ゲイルが無茶苦茶な効果の呪具を作り出したり、作った呪具で無双したり…それらを楽しむ作品な訳です。
 ところで、この作品はコミカライズもされています。
 ラノベとコミックの両方を読みましたが、私個人としてはコミックの方が断然面白かったです。もちろん、これは私個人の意見なので、ラノベの方が面白いと言う方も多いと思います。この先の意見は、参考程度に考えて読んでください。
 理由の1つ目は、コミックの絵が私の好みだったと言う事です。作画を担当している小川錦さんは、とても可愛らしい絵柄なのに、アクション場面では迫力を感じさせます。作品の世界に、スッと入っていける感じがするのです。
 理由の2つ目は、コミックは無駄な要素が削られてスッキリしている…と言う事です。原作のラノベでは、しばしば漫才の様な会話が登場します。もちろん、ちょっと会話に入ってくる程度なら、物語のアクセントとして面白いです…が、いくら何でも長すぎます。2頁くらい漫才みたいな会話続く時もあり、読んでいて正直辛かった。それが、コミックではギリギリ必要な分に削られているため、物語の邪魔になりません。
 原作のラノベの骨格が良いからコミックが面白い…なのは分かりますが、私的には、どちらか片方だけならコミックがオススメです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり本が好き

2024-07-18 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り。今回は、令和6年7月4日の「図書館や本屋には魔力がある」の続きです。
 7月4日の記事では、『圕(トショカン) の大魔術師』と言うコミックと、ラノベの名作『本好きの下克上』を絡めて書いていました。
 この2つ、どちらも紹介文には「ビブリオ・ファンタジー」と書かれています。英語で書くと、biblio・fantasyでしょう…きっと。研究社の英和辞典で調べると、biblioは「本」や「聖書」、fantasyは「空想文学作品」ですから、「本に関わる空想文学作品」となるでしょうか。
 残念ながら私は、「ビブリオ・ファンタジー」と呼ばれるジャンルの作品としては、『圕(トショカン) の大魔術師』と『本好きの下克上』しか知りません。
 しかし、こうやってジャンル分けされるくらいですから、興味をもっている方は少なからず存在しているのでしょう。本に関わる空想文学と言うだけで、気になって仕方ない方々が…です。
 それは結局、私の様に「やっぱり本が好き」と言う人間が、世の中には少なからず存在するからでしょう。
 本を読む事はもちろん、本の見た目も、本の手触りも、本の香りも…本そのものが好き。だから、本に関する物語があると分かると、ついつい気になって仕方ない訳です。そして、最後は我慢できずに購入して読んでしまい、「沼」にハマッてしまうのです。
 7月4日の記事に書いた、「我々読書をする者にとって、図書館や本屋には魔力がある」の正体…もう分かりますね。そう、コレです。
 我々は「やっぱり本が好き」。だから、本が沢山存在する場所には、強烈な魔力(引力?)を感じてしまう…もう、本当に「宿業」と言ってもイイかもしれませんね、これは。 (^o^;)

 ところで、令和6年7月15・16日のブログに、また「いいね」などをいただきました。いつも、ありがとうございます。毎回、とっても励まされています。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

文学の香りを感じる『誰が勇者を殺したか』

2024-07-11 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛を語ります。今回は令和6年6月30日に読了し、どうしても語りたくて仕方ない作品を紹介します。
 その作品は、駄犬先生の『誰が勇者を殺したか』です。
 この作品、魔王と戦って勝った勇者が二度と戻らなかった…その謎を探る物語として始まります。もっとも中盤辺りで勇者の死の謎は分かるので、そこからは「勇者とは何か」を考えていく内容となります。一応、勇者が主人公っぽいのですが、謎解きをする人は別人ですし、様々な登場人物が絡んでくるので、群像劇っぽい感じもします。
 この作品を読みながら私は、あまんきみこ先生の名作絵本『きつねのおきゃくさま』を思い出してしまいました。
 主人公のキツネは、ヒヨコやアヒルやウサギを「太らせてから食べよう」と考え、家に招いて世話をします…が、彼らが「親切な」とか「神様みたいな」とか言ってるのを聞いて、徐々に気持ちが変化していきます。「親切な」キツネや「神様みたいな」キツネと言う「役割」を果たそう…と言う変化です。キツネは「役割」に囚われてしまった訳です。
 『誰が勇者を殺したか』の勇者も同じです。自分が選んだ「勇者」と言う「役割」を果たすため、彼は尋常ではない努力をします。それは、「役割」に囚われているキツネと極めて似た姿です。つまり、彼もまた「役割」に囚われているのです。
 そして、こう言った「役割」に囚われてしまうのは、人間の社会では往々にして見られる事ではないでしょうか。
 以前このブログで、『くまクマ熊ベアー』と言うラノベが、私にとって別格なのは何故か…と言う事を書きました。そこに登場する、ドブ泥な性格の下衆校長は、その典型的な例ではないかと思います。自分が選んだ「校長」と言う「役割」に囚われ、「校長は、こうあるべきだ」とか「教務主任は、こうあるべきだ」と言う「べき思考」に陥っているのですから。それを他人にも押しつけてくると、ブログに書いた様な悲劇(私にとっては。第三者から見たら「喜劇」かもしれません)が発生する訳です。
 もっとも、そう言っている私だって、自分の「役割」から完全に自由ではありません。「学年主任だから、ここは私が、解決のために動かなきゃならないんだろうなぁ」などと考え、積極的に、あるいは嫌々ながら動いた事もありましたから。
 こうやって考えてみると、『誰が勇者を殺したか』と言う作品は、「人間の生き方」を描いた作品だと言えます。ラノベ…特に、私が愛読している転生物や悪役令嬢物ラノベは、「出来事」や「事件」を描く事が中心ですから、これは相当に異色作だと言えるでしょう。「人間の生き方」を描いていると言う点では、むしろ文学作品に近いかもしれません。
 作者の駄犬先生は、(本作に限らない様ですが)本屋大賞を受賞したいと考えている様です。これだけ文学の香りを感じるラノベですから、本作が本屋大賞を受賞する事だって、十分に有り得る…いや、是非とも受賞してほしい…私の願いです。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

図書館や本屋には魔力がある

2024-07-04 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り。今回は、前回(R6.6.27)紹介した『圕(トショカン) の大魔術師』と言うコミックと、ラノベの名作『本好きの下克上』を絡めて書きます。
 この両作品、図書館が深く関わってきます。
 『圕の大魔術師』は、そのものズバリ圕(中央図書館)が舞台です。それだけでなく、物語の序盤では地方の図書館も舞台として登場します。物語と図書館は、切っても切れない関係と言えるでしょう。
 『本好きの下克上』でも主人公マインは、神殿図書室の管理をしたり、貴族学院の図書館の手伝いをしたりと、図書館に深く関わっています。そもそも『本好きの下克上』は、「図書館を作る」と言う野望に向け、周囲を巻き込みながらマインが邁進する話ですから、図書館との関わりが発生するのは当然です。
 そして、この図書館が舞台となっている事が、我々読者に影響しているのではないか…『圕の大魔術師』を読んだ時、そう私は感じました。
 何故なのか…考えた末の私なりの結論。
 我々読書をする者にとって、図書館や本屋には魔力がある…です。
 我々は、図書館や本屋が発する魔力に抗う事が難しい。だから、図書館が舞台となっていたり、図書館に関わる話が展開されると、ついつい読んでしまうのではないでしょうか。
 では、我々を魅了する図書館の魔力とは何か。
 これは、次回のブログで語りたいと思います…と思ったのですが、どうしても紹介したい本が出来ました。それで、次の次の回のブログで語らせていいただきます。
 いずれにしても、図書館に関わる話を展開している『圕の大魔術師』や『本好きの下克上』は、なかなか良いポイントを突いている作品ではないかと思います。何せ、図書館に関わる話というだけで、それなりの数の読者を魅了してしまうのですから。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラノベじゃないけど『圕(トショカン)の大魔術師』

2024-06-27 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り…ですが、この頃は色々と書いていますね。スミマセン。今回も、ラノベではなくコミック(漫画)です。
 今回紹介する作品は、泉光先生が絵を描いている『圕(トショカン)の大魔術師』です。元々は、ソフィ=シュイムと言う方が書いた『風のカフナ』と言う作品が原作(原案?)の様で、表紙には「画・泉光」と書かれています。
 因みに、「圕」と言う文字はありますが、「としょかん」と言う読み方は見つけられませんでした。もしかすると、このコミック独自に作った「読み方」かもしれません。実際、調べた2つの書店系サイトでは、「圕の大魔術師」ではなく、「図書館の大魔術師」と表示されていました。まぁ、その方が調べやすいからかもしれませんが…。
 この作品、なかなか壮大な物語です。
 舞台は、魔法が存在する架空の大陸。そこでは書物や文書が大きな力をもつため、「圕法」と言う法律により、全ての書物や文書が「中央圕」によって管理されています。そんな世界で主人公シオ=フミスは、とある出逢いをきっかけに「中央圕」の司書を目指す事となり、やがて…と言う感じで展開していきます。現在、8巻まで出ているのですが、まだまだ物語の序盤と言う印象で、この後の展開は全く読めません。
 ところで、このコミック、勝手な私のイメージですが、「とても『アフタヌーン』っぽい作品」と感じます。キャラの立った登場人物、印象的な台詞、既視感のある場面設定…面白いと感じさせる要素を詰め込み、読み手をぐいぐい引き込んでいくからです。
 例えば、「既視感のある場面設定」で言えば、第二次世界大戦中に発生した大量虐殺をイメージさせる事件があった…と、作品の中では設定されています。御丁寧に、そのきっかけとなった書物(史実では『我◆闘争』ですが…)も作品中に存在しており、歴史を知っている読み手であれば、これだけでググッと引き込まれるでしょう。
 そうかと思えば、「空から少女が降ってくる」場面もあります。これ、明らかに『天空の◆ラピ◆タ』でしょう。人類の暗い歴史と結び付けて緊張感を高めたかと思えば、マニアックなネタで面白がらせる…緩急が効いています。
 そして、重要な要素…図書館(圕)です。何せ、書籍案内の文にも「ビブリオファンタジー」と書かれています。この要素は外せません。
 ただ図書館の要素については、「ビブリオファンタジー」ラノベの傑作『本好きの下克上』とも関連します。ですから、また別な記事として書きたいと思います。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする