サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

中米の里山

2010年01月23日 | 講義・講演
写真:まだ硬い、梅のつぼみ


 名古屋にあるJICA中部で、中米(コスタリカ、エクアドル等)の行政官の方向けに、地域資源の定義や分類、活用事例に関する講義を行った。

 これまでは、東南アジアや中央アジアで同じ講義をしてきたが、今年から中米と南米のシリーズが始まった。

 中米では、エコツーリズムへの取組が進んでおり、環境保全と地域振興を一体として進めるという私の話は、受け入れてもらいやすいように感じた。

 面白かったのは、里山の話題をしたときの反応である。

 日本の里山及び里山を介した地域循環システムは、地域の食料や燃料を供給する、優れたシステムで、重化学工業化やエネルギー革命でその活用が放棄されてきたが、活用を見直し、再生すべきであると話をした。

 そうすると、中米の人たちは、次のような反応であった。

「そうした里山利用のシステムは自分たちの国にもあり、よいものだと思う。しかし、里山が過剰に利用され、禿山になったり、不法な利用がされる場合が多い。このため、活用というより、立ち入り規制や保護を行うようになっている。」

 私は、次のように説明した。

「日本でも、戦前の頃は、里山が過剰に利用され、禿山だらけになった時代があった。
森林と人との関わりは時代とともに変化するし、国の状況によっても異なるものだ。日本では、里山の適正な利用→過剰な利用→里山の放棄→里山の見直しという変遷を経てきている。現在の日本にとっては、未利用な里山は貴重な地域資源である。」

 その後、生物多様性の名古屋会議の話題などにもなった。日本と中米等の発展途上国では、里山や生物多様性に対峙する社会経済の状況が異なるため、同じ土俵での議論はしにくい。

 しかし、日本の変遷や経験をよく説明すれば、発展途上国の人も自分たちの未来を予見する貴重な情報であることを気づいてもらえるだろう。その可能性はないわけじゃないと感じた、今回の講義だった。


 


   
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