サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

森と街をつなぐ「森のコミュニティ・ビジネス」

2010年01月30日 | 環境と森林・林業
浜松で森林・林業・山村の活性化にかかる調査の仕事をしている。

28日には、調査の一環として実施するシンポジウム会場(天竜壬生ホール)を視察し、市の担当者と打ち合わせ。

29日は、委員会と現地視察。夜は高校の同級生の議員さんで、市民活動やコミュニティ科活動に熱心な鈴木さんの新年パーティに参加。

今日30日は、これからブラジル人の求職者を対象に、林業への就職ニーズに関するグループインタビューを実施する。


林業は、地球温暖化防止や水資源涵養など多面的な環境機能を持ち、それ自体が環境ビジネスとして期待されている。

しかし、地元の天竜林業高校は全国で最後に残るだろう林業の名のつく高校といわれながら、卒業生のほとんどは林業に就職していない。

原木市場の視察をしたが、扱い額は1時の三分の一という。国産材の価格は下がり続け、輸入材を下回る有様だ。

そんななか、補助金をうまく使い、林道を整備したり、高性能機械を導入したり、緊急雇用の制度を活用したりと、希望が持てそうな民間の事業者もある。


当社では、委員会で、「売る林業」ではなく、「売れる林業」という考え方を提案した。戦後に植林した木が伐採適期となったから、売ろうという供給プッシュでは売れない。市場ニーズに応え、「売れるもの」を提供していくことが大事だ。

つまり、市場ニーズにこたえ、しっかりと乾燥させ、質のよい安定した木材を供給するということが、「売れる林業」の方向性である。

ただ、気をつけなければならない。

今回の視察先である事業者は、山村整備から製材までを一環して行い、自然乾燥にこだわった生産を行っている優良な事業者であった。しかし、市場ニーズが乾燥の質を重視するため、人工乾燥が増えていくと考え、それへの対応を始めているという。

それでは、自然乾燥の価値を認める消費者と直結し、住宅という最終製品まで供給するサプライチェーンをつくったらいいのではないか。

ただ、一定の量を供給する工務店で連携する先がない。そのため、材木小売店にばらばらと材木を供給せざるをえなく、人工乾燥というマスの市場ニーズに応えざるを得なくなっている。

市場ニーズにこたえるとともに、市場につながり、市場を変えていくことが重要だ。




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