白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

おひいづるもの

2020-01-07 | 画廊の様子
今日は正月七日、七草粥を炊いて一年の無病息災を願う風習が今も大切に
守られています。
雪の下にはもう春を待ちかねて小さな命が目を覚ましふうっと息を吹き始めて
います。
七草のすずなは~鈴で神を呼び、すずしろのしろは清らかさを、はこべらは~
はびこる、栄えるで、田平子は~田が開く、せりは~競り、おぎょうは~御形、
ほとけのざは仏の座として縁起の良い七つの菜と数えました。
千年の昔から貴族たちでさえも袖を濡らして雪の野山へと分け入り春の兆しの
若菜を探しに行ったと云うことです。
   春日野は雪のみつむとみしかどもおひいづるものは若菜なりけり
                      和泉式部
          つむ~積む 
             摘む
今年一年、皆さまにそしてこの白珠の部屋にも良いことがたくさん訪れますように。s・y


モミの手紙

2019-12-24 | 画廊の様子
クリスマスを迎えるアドベントの日々、~モミの手紙~をひも解きます。
作者はロバート・フロスト(1874-1963)アメリカの詩人です。

金色に染まった木々の葉が風に舞う冬の初め、一人の農夫の家に街から
車に乗った男がやって来た。
欲しいのは木、クリスマスツリーにして売るから見せて欲しいと。
農夫は心の中で自分自身に問いかけた。
この山のモミの木は一本一本美しく香り良くて梢は尖っていてまるで教会の
ようではないか。大地にしっかりと根を張り、この山の生き物たちを育んできた
立派な木たちを切り倒して売ろうなんて考えたこともない。
いったい幾らで買いたいんだろう。
男は値踏みして値切った。
農夫はこの取引は間違いだ、そんなことをしたらモミの木たちがどんなにか
悲しむだろうと思った。
彼は美しく神々しいモミの木たちをいっそう大切に思って誰かに見てもらいたく
なった。
友達に書く手紙に添えてモミの木一本丸ごと絵に描いて送ろうと思った。
      メリークリスマス
   モミの木を一本、同封します。  ロバート・フロスト

私の大好きな詩人が書いた物語です。アドベントにはくりかえし読んで、
テーマにしたい一冊です。
私の今年のツリーです。オーナメント山ほど飾りました。笑    

今年もこの小さな部屋にお寄り下さいましてありがとうございました。
どうぞ来る新年が皆さまのお幸せな一年でありますようにお祈り申し上げます。
                          s・y


   紅玉がお店にありました。お祝いのお菓子に焼きました。


 

露とこたへて

2019-11-04 | 画廊の様子
 今日の一枚の絵  
                 
  「臼引き」 婦人相学拾品のうちの一枚 喜多川歌麿 1789-1801

収穫の感謝祭が各地で盛んに行われています。

今年の大きな台風で被害を受けた地方の多くの皆さまに心からお見舞い申し上げます。

一年を振り返り田の神さまに感謝のお供え物をそれぞれの風習に従って捧げる季節でも
あります。

    時代をちょっとさかのぼり江戸の町をのぞいてみましょうか。
お江戸の人々も祝い事にはこぞって腕をふるいました。
穀物の脱穀や精米、製粉には臼~うすを使いました。
米、大豆、そば、麦などをついたり、ひいたりして食卓をにぎやかにしました。
町には臼引きのプロのつき屋もいて繁盛しましたが家庭では主に女性の夜なべ仕事だった
ようです。

お月さまの中でうさぎが餅をついているのは誰でも知っているお話ですね。
昔からお祝い事には欠かせないのがお餅やお団子です。
お月さまにお捧げするのは芒とお団子。月光に照らされた美しい夜空を見上げながら
お盆に積み上げられた白くて丸くて小さなお団子をほおばったのは遠い昔。

その昔、もち米は虫をさけるために石臼で引いて粉にして保存をしました。
寒晒しの粉にした美しい白玉粉は真夏でも冷たくて真っ白なお団子にして楽しむことが
できたのです。

この秋、澄んだ夜空を見上げると銀色のお月さまがまぶしく輝いています。
小さくなった虫たちの声に息をひそめてじっとしている秋草に露がこぼれて、
その一粒一粒に月の光が宿っています。

白玉かなにぞと人の問いしとき露とこたへて消なましものを  伊勢物語 「鬼一口」の段
     
      白玉は真珠~あれはなあに真珠なのかしらと草の葉にきらきら光る玉を指さして
      姫君は彼女を夜を徹してさらってきた男にあどけなく尋ねました。

しらたま~真珠と白露そして白玉団子、この三つどれもだいすきです。   s・y 





 

祈りの花園

2019-07-08 | 画廊の様子
シスターから夏のお便りを頂きました。お優しいお言葉と美しい
映像が添えられていました。

それにはこう認めてありました。
~今、ルルドの花園にはお花がいっぱいに咲いています。
   マリア様の御像の両手にも辺り一面にもこぼれるほどです。
行ってごらんなさい。
   きっと、ようこそと迎えて下さいますよ。~

ルルドの園について~
   今から150年以上も前にフランス南部にある小さな村で起った奇跡と
   伝わっています。
   一人の貧しい少女が焚き木を拾いに小川に沿った道を上っていくと
   側の洞窟の入り口から声がしました。立ち止まって見ると美しい女性が
   両手を広げていました。少女はそのあまりの光に満ちたお姿に思わず十字を
   切りました。その女性も十字を切りました。
   これが14歳のベルナデッタが聖母マリアに招かれた最初の時でした。
   そうして、奇跡が何回も起って、聖母マリアは少女に神様に生涯を捧げ、
   貧しい人々への愛を注いだイエスキリストの教えを伝えるように説いたのです。

ベルナデッタは幼いころからシスターとなり生涯を神様に捧げようと心から願っていました。
貧困と病魔を人生の友としながら二十歳でキリストの花嫁シスターとなり34歳でその生涯を
終えるまで深い信仰を胸に短い人生を貫きました。
聖母と出会ったルルドの洞窟には絶えることのない泉が湧き出て、今も人々を癒す水と信じて
世界中の人々が訪れています。
このルルドの園を模して聖母マリアの御像と花たちそして泉が世界中に作られて人々は祈りを
捧げに訪れています。

私も早速、シスターのお便りにある街の教会の花園に参りました。少しの石段を上ると
白いベールと上衣を纏った微笑みの御像が緑の光の中に佇んでいて、深い薫が私を
包んでくれました。
優しさにあふれた静かなこの場所、小さな薔薇の花びらやしろつめくさ、ローズマリー、
数多の花が薫ります。私はマリヤ様のお足元に跪いて感謝の祈りを捧げることができました。
                                 s・y


シャロンの花
       シャロンのはな イエス君よ わがうちに ひらきたまえ
       よきかおり うるわしさを われにわかち あたえつつ
       シャロンのはなイエス君よ わが心に 咲きたまえ 
                               I/A/GUIREY



   
   
   

咲きにほえるは櫻花かも

2019-05-05 | 画廊の様子
  
   吹く風をなこその関と思へども道もせに散る山桜かな
                   八幡太郎義家

今日の一枚の絵  「勿来の関」 國の華絵巻 その十五                    
                   矢澤弦月 筆

~黄金花咲く陸奥の、勿来の関の春霞、征衣の袖に散りかかる
落花の舞いの妙じきに、鎮守府将軍源義家卿は、しばし駒をば
とどめつつ、やがて一首のやまと歌~

詠じ出でたる言の葉は、弓矢の神と仰がるる、八幡太郎の名に添えて、
今の世までもかぐはしし。 本文

  源義家 (1039~1106)
       平安時代後期の武将 鎌倉に生まれ育ち八幡太郎と呼ばれて
       兵の鑑と伝承された。

恵みの雨が降り注ぎ馥郁と花たちが綻び令和の誕生を祝福しています。
梅も桜も辛夷や桃やれんぎょう、むらさきつつじも、百花繚乱待ちきれなかった
ように一斉にその美しさを競い合う北国の春はそれはそれは華やかです。

梅は春告草とも呼ばれて百花にさきがけて花開く好文木、桜は夢見草と言って
うっとりするほど美しいと讃えられる日本の春を象徴する花です。

花の見ごろはほんのわずかの花七日、咲き誇る花の花吹雪、花の雲の花霞の中に
身を置いて過ぎしことまたこれからのことを静かに思う~   s・y

今日は端午の節句、江戸時代には男子の成長や武運を願って
鎧や太刀を贈ったり出世を祈って鯉のぼりをあげたり、武者人形を飾ったり
しました。それは今の世にも受け継がれています。八幡太郎のお人形も
金太郎人形とともに人気を集めて、そのりっぱな姿を理想の男子像として
座敷の床の間に飾られています。