白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

春青む

2010-04-14 | 画廊の様子
草色の手ぬぐいが染め上がってきました。
七宝文にかくれうさぎの文様です。

草色は若草色が葉緑素を増して濃くなった色であると色の手帖にありました。
春真っ盛りの色といえましょう。
これをしっとりと露を含んだ青い香りの草原に見立てて野点のおままごとを遊んで
みました。うさぎたちも楽しそうです。

七宝文は仏教の七宝に由来した有職文で、全体に円が描いており、
どの円も四分の一づつ重なりあって連続しているので七宝つなぎともいわれます。
染め方は板締といって生地を折りたたみ二枚の板ではさみ硬く締め付けて染料を注ぎます。
生地を広げると折り目を中に模様が対照に連なってあらわれる仕組みになっているそうです。

若草、若苗、若葉、鶯、苔、萌黄、草色等など数え切れないほど「みどり」がありますが、
どの名前の「みどり」にも厳しい冬に耐えやがてやって来る希望の春、命の動き始める春を
待ち望み讃え楽しむ心にあふれています。あなたのおすきな「みどり」の名は?

みどりいろは古くは「あお」といったそうです。青春の青ですね。
いつでも青春の一日のように明るく心晴れやかに美しくありたいものです。


   手につみていつしかも見む紫の根にかよひける野辺の若草
                       源氏・・・  若紫

                   s・y