白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

ただ、ひたすら過ぎゆくもの 春、夏、秋、冬。

2015-12-31 | 画廊の様子
今日の一枚の絵   「舞子」 橋本明治  木版
   凛とした舞い姿はモダンな色彩で一層その緊張感が
   美しく描き出されています。

今は冬至の時節、お陽さまの力はとても弱くなっています。

お友達の祐子さんからお庭の柚子の一枝が送られてきました。
金色の可愛らしい実をいっぱいにつけていて、枝を揺すると
緑の葉陰から小さな鈴の音が聴こえてくるような気がします。
柚子湯は香りはもちろんのこと、風邪やあかぎれなどに効く
お薬の役目してくれます。
そして輪切りにするとそこにはおひさまの模様がくっきりと
現れます。柚子の実は小さい、ちいさいおひさまの子供なのですね。
今日は大晦日、柚子湯に浸かって身を清めてお正月を迎えることに
いたします。

「過ぎに過ぐるもの、」と清少納言は語ります。
時の流れは止められない、でも季節はまた巡り巡ってきます。
先日、今年のお散歩納めに真駒内の公園に行きました。
落葉樹も常緑樹もその木々たちの静かな立ち姿に心が落ち着きます。

葉が茂っている季節にはその中に隠れていて見えないけれど
冬が近づいて落葉の枝のシルエットが空にくっきり浮かぶと
ふかふかにまるまった黄緑の毬があちらこちらの枝に姿を現します。
大きいのや小さいのやまん丸に膨らんでいます。
この宿り木はヨーロッパでは一陽来復の兆しを持った年越しの木と
されているそうです。
見上げるとぽちぽちした先のとがった葉っぱの中に玉子色の小さな実が
いっぱいくっついていて本当にかわいいのです。赤い実のもあります。

新生と再生のシンボルの宿り木、そして太陽の子の柚子の実に寄せて
皆さまが佳いお年をお迎え下さいますようお祈りいたします。
今年もこの拙い白珠の部屋をお訪ね下さり心からお礼を申しあげます。
                      s・y

樹齢360年のハルニレの樹に寄生した宿り木 ~真駒内公園にて 2015年 12月

次の丘には栗の木があちこちかがやくやどり木のまりをつけて立ってゐました。
そのまりはとんぼのはねのやうな小さな黄色の葉から出来てゐました。
その葉はみんな遠くの青いそらに飛んでいきたさうでした。
若い木霊はそっちに寄って叫びました。   「若い木霊」 賢治