福岡万葉散歩

街の様子や木々や草花を眺め乍ら、先人の俳句や和歌を織り込んで、今の季節を楽しみたい。たまには万葉散歩も楽しみたい。

2015.9.19(土) 白い花の曼珠沙華が咲く

2015-09-25 | 万葉紀行

白い花の曼珠沙華が咲いている。万葉集には「壹師(いちし)の花」を詠んだ歌が唯一首あるが、この「壹師(いちし)の花」は「曼珠沙華」であるという説が有力である。しかも「壹師(いちし)の花」は白い花を咲かせる白い曼珠沙華(彼岸花)であろうというのが最有力となってきたと思う。

白い花を咲かせる曼珠沙華  白彼岸花(シロヒガンバナ)

路(みち)の辺の壱師(いちし)の花のいちしろく
      人皆知りぬわが恋妻を
                     柿本人麻呂(万葉集巻11-2480)

大意:道のほとりのイチシの花のようにはっきりと、人は皆知って
    しまった。私の恋しい妻を。
  (日本古典文学大系6 岩波書店)

イチシ:諸説がある。羊蹄(ぎしぎし)(タデ科の草木。淡緑の穂
     状の花が四、五月ごろ咲く)、
     クサイチゴ(バラ科の宿根草。初夏に白い目立つ花が咲く)、
     エゴノキ(エゴノキ科の落葉喬木。純白の五弁の合弁花が
     初夏のころ咲く。長い柄があり、総状に垂れ、目につく花)
     など。
                 (日本古典文学大系6 岩波書店)

イチシ(壱師)の花は、この外にも「イタドリ」や「赤い
     ヒガンバナ」を当てることがあり、定説がない。

僕はこれを「白いヒガンバナ(白曼珠沙華)」に当てたい。
     素人考えであるが、「壱師(いちし)の花いちしろく」を
     そのまま読めばいいのではなかろうかとも思うのだ。

     曼珠沙華が日本に渡来した時期は不明だが有史以前の
     ようだ。
     この花を表す方言、異名數多く、「日本植物方言集」には
     400ほどの方言が記録されているという。