自分に酔うことが上手い。
琴線に触れる旋律が流れるだけで、昔日の甘酸っぱい記憶に遊ぶことが出来る。
そんなときは無性にウイスキーが飲みたくなる。
それもスコッチ。
よくハードボイルドを表現するのにバーボンが使われるが、あれは嘘だ。
バーボンはどちらかというと甘い酒。
スコッチこそがドライに接してくれる。
それがやがて、酔いの進行とともに心に染み入ってくる。
安いウイスキーでいい。
味わうためではない。
ただただ郷愁や後悔や無い物ねだりの心をなだめるための助けになってくれれば、
それでいい。
今更どうにもならないことをいくら思っても無駄なこと。
戻れないのに戻りたいと駄々をこねる子供と同じ。
あの頃のあいつも俺も今はもういない。
ならば、死んだのと同じこと。
でも、たまに思い出してやってもいいじゃないか。
だって、そうすることでしか、もうあいつには逢えないのだから。
時は流れる、否応なく。
やがてこの身は朽ち果て、闇に溶けていく。
この世はそれまでの、長いようで短い道草。
どうせ道草なら、明日明日と忙しなく過ごすことを鼻で笑う時があってもいい。
そんなときにつきあってくれる奴がいる。
それが、今はもう俺の心の中にしか存在しないとしても、それだけで実は幸せなことなんだと・・・
最近ようやく気づいた。
今宵もありがとう。
助かった・・・
じゃあ、そろそろ行くよ・・・
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