NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

『日本塗装時報』に松山代表理事の記事が掲載されました。その5

2014-04-14 07:18:10 | 女子部会

集改センターの松山代表理事のインタビュー記事の最後をお送りいたします。

 

松山 功 「集改塾」開講にあたって(5)

工期短縮への工夫を

 

 新築の場合だと、ゼネコンは常に工期の短縮を考えます。たとえば16か月の工期を14か月に短縮できれば、2か月分の経費がもうかります。

 ところが改修工事業者は4か月の工期があれば、4か月以上を使います。それを3・5か月に短縮するため段取りしようという気がありません。工程を縮めるには、当然工事の品質も良くないといけません。荒っぽい仕事をしていると、絶対に工程は縮まりません。

 4か月の工期を3か月に短縮すると、改修業者の経営者にしてみたら、「1か月現場代理人を遊ばせる」という意識です。その考え方は間違っています。工期を短縮できればすべての経費が削減できますから、工期短縮に成功した社員にはたっぷり有給休暇を与えてやれば良いのです。そうしたら社員の士気も上がります。

 どこの現場でも工期短縮が当たり前にできるようになると、社員の実働時間を減らすことができ、待遇を改善できます。すると、優秀な人材が集まり、必ずその会社は発展します。ところが、残念ながら今の改修業者にはそういう発想が全くありません。

 今の改修工事は、手戻りが多く、工期が延びても、しっかり利益は出ています。赤字になるケースはほとんどないでしょう。そういう現状だから、反省して個々の工事品質、段取りを見直し、工期を短縮しようという気がないのだと思います。

 大手ゼネコンが改修工事を請け負うと、新築と同じように工期を短縮してきます。どうかすると改修業者より安い値段で請けられるのは、そこに秘密があります。工期を短縮できれば、下請け業者も含めて十分採算が取れるのです。大手ゼネコンと同じことをしろとは言いませんが、もう少し知恵を出したら、改修工事業者は、協力業者を含めてもっと利益を上げられるという気がします。

 

*本稿は『日本塗装時報』1951号(2014年3月18日発行)に掲載された松山代表理事のインタビュー記事を元に、一部改題しています。


『日本塗装時報』に松山代表理事の記事が掲載されました。その4

2014-04-14 07:10:55 | 女子部会

集改センターの松山代表理事の記事を掲載いたします。

 

松山 功 「集改塾」開講にあたって(4)

現在の改修工事の課題 

 改修工事とは、簡単にいえば今ある建物を塗装して防水し直すという工事です。

 私は大手設計事務所から独立し、マンション改修業界に入ってから20年近くになります。その間ずっと工事監理をしてきました。5、6年ぐらい経ってから思ったのは「本来、新築工事に比べて易しい仕事であるにもかかわらず、あまり進歩していない」ということです。監理をして、いつも指摘することが同じです。

 それはなぜかと、ずっと考えていました。

 まず一つには、改修工事業者は元々が塗装屋さんや防水屋さんです。ゼネコンの下で指示されて動いていた体質が残っているのは否めません。建築工事を新築からしていないので、すべての工事工程を自身で考えるという習慣がありません。

 技術開発をして、自分たちのオリジナリティーを考えるという姿勢が見えません。失礼ながら、改修工事では大手の業者さんでも個々の現場はたいして変わりません。

 そうしたことを常々、業者さんには言ってきました。経営トップは理解してくれるのですが、現場代理人は毎日の仕事をこなすのが精いっぱいです。

 改修が新築と違うのは、人の生命・財産を守るものをつくる建築工事ではないという点です。そこで新築とは仕事の重みが違います。新築では否が応でも出てくる問題がありません。極論すると、塗装が悪ければ剥がれて怒られるだけ、防水に失敗しても雨漏りして怒られるだけです。つまり住民の命にかかわることはしていません。そういう面があるので、工事業者も勉強せず、なかなか進歩しないのかと思います。

 加えて、改修は現金払いの上、取引先が倒産する心配もなく、工事の遅延によるペナルティーもない、いわば「ぬるま湯」の世界です。そこにどっぷり浸っていると、危機感がないため、技術も伸びなかったのではないでしょうか。

 工事監理者にも問題があります。あちこちにテープを貼りまくって「しっかり厳しく見た」という人がいます。私から見ればこういう人は最悪の工事監理者です。

 良い工事監理者は施工業者がしっかり自主管理できるように指導し、監理に来た時には「何も問題がないですよ」と言ってやれる人だと思います。手戻りがないようにすれば、業者も一番もうかります。

 

*本稿は『日本塗装時報』1951号(2014年3月18日発行)に掲載された松山代表理事のインタビュー記事を元に、一部改題しています。