集改センターの第143回スキルアップセミナーの報告です。
開催日:2016年(平成28年)11月2日(水)
テーマ:「大規模修繕工事の失敗は成功への道しるべ」
講 師:上村允郎(NPO集改センター設計監理事業部長)
◎大規模修繕工事の必要性、工事内容、進め方について大まかに理解されていると思いますが、実際にやってみるとアレッ!と思うことが出てくるものです。多くの原因はトラブルに起因しています。経験豊富な講師の事例から管理組合・管理会社・施工会社それぞれの問題点とその解決・対処方法を学んでいきます。
<セミナー概要>
■大規模修繕委員会と理事会
大規模修繕工事を行う際は、修繕委員会を立ち上げた方が良いと考えますが、理事会との信頼関係が大事になってきます。修繕委員会は諮問機関であるということを忘れず。
一方理事会は提出された報告を尊重し判断を下すということが重要です。任期1年の理事会が多いと思われますので、新理事会への引継ぎ時にギクシャクすることがないよう、修繕委員会の会議には理事長の他できれば3役が出席し、議論の内容を把握し、確実に申し送りすることが大切となります。
■業者の選定
修繕委員会が立ち上がると次はどう進めていくのかという問題になります。調査・設計・監理の全てを管理会社に丸投げされる組合もありますが、基本的には設計事務所等のコンサルタントを導入された方が良いと思えます。中にはコンサルを依頼したにも関わらず、予算を教えないという組合もありましたが、それでは信頼関係を醸成することが難しくなります。予算によってはコンサルが考えている設計ではできないことがあり、代替案を考えないといけない場合もでてきます。また、施工会社を公募し見積書の提出を求める場合もあると思いますが、入札書類は密封し、管理会社宛ではなく必ず理事会若しくは修繕委員会宛に提出させて下さい。応募書類を同時に開封することも、透明性を確保するための必須条件です。
■施工会社と現場代理人
工事説明会が終り、仮設工事、足場組立などの工事が始まると、様々なトラブルが発生してきます。施工会社は進行状況等を知らせる工事ニュース等の掲示や個別配布により、区分所有者とのコミュニケーションに努めることが工事をスムーズに進める上で大事になってきます。現場代理人は居住者との事故・トラブルについては、隠さず会社に報告することが重要になってきます。現場の対応によって会社の評価が上下するのだと認識することが現場管理人には求められています。
■最後に
大規模修繕工事にはトラブル・事故はつきものです。管理組合・コンサル・施工会社それぞれが過去に経験した失敗を忘れず、それを糧にしていくことで大規模修繕工事においてウィンウィンの関係を築いていけるのだと思います。
~次回開催予告~
■第144回スキルアップセミナー 2016年12月7日(水)午後3時から
テーマ:「① 国交省「標準管理規約」H28年版とH22年検討案の比較及び問題点
② 各種マンション関連団体が作成した「モデル規約」を比較検証する」
講 師:木村長敏(本会正会員・マンション管理士)
概 要:国交省「標準管理規約」や各種団体の「モデル規約」について、比較検討し、
議論したいと思います。