NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

集改センターの第159回 スキルアップセミナー報告

2018-05-21 09:16:09 | スキルアップセミナー

集改センターの第159回 スキルアップセミナー報告です。

開催日:2018年(平成30年)5月9日(水)

テーマ:「設計サイドと現場サイドの2面から見た大規模の問題点」

講 師:倉内 康行(本会・正会員/1級建築士・設計監理事業部)

 

<セミナー概要>

■はじめに

 データが少し古いのですが、2012年末時点で全国のマンションのストック戸数は約590万戸、棟数でいうと約12万棟と言われています。今後、マンションのスラム化、老朽化に伴う改修、コンバージョン(用途変更)又は建替えが問題となってくる、と言われているのはご存じの通りです。本日は、こうした大きな問題は少し横に置き、実務サイドの現状を考えてみましょう。

■設計サイドと現場サイド

 建築物の改良工事には、発注者、コンサルタント、施工業者に材料メーカーなどの様々な立場の者が関係し、その役割を担っています。その中で本日は、設計サイド(コンサルタント)と現場サイド(施工業者)の2つの面から見た大規模改修工事の問題点を取り上げます。大規模改修工事における問題点として、コンサルタントサイドでは、プロとしての自覚と責任をもってやっているか、業者、メーカー任せにしてないか、業者への指導・サポートといったマネジメント力、ヒアリング力は十分にあるのか、予算を気にしてマンネリになりがちな内容となっていないか、中長期を見据えた現状診断とコンセプトを持った提案を行なえているか、といった面が思いうかびます。施工業者サイドの問題点は、営業的要素が先行しすぎて工事内容がおろそかになっているのではないか(この点に関しては発注者側の見識も問われます)、現場監督の技術・知識不足による職人への指導が十分に行えていないのではないか、今のところはまだ顕在化していませんが、若年層の業界離れや作業員の高齢化による人手不足がおきることを想定した企業内における研修などによる社員育成はできているのか、今後は施工業者もコンサルタント力を強化していく必要があるのではないか、といった部分が考えられます。

■まとめ

 大規模改修工事は最初に述べたように、多くの関係者が関わっている作業です。発注者に安心感・満足感を与えるには、それぞれの立場の者が、プロとしての自覚と責任の意識をもって、その能力を向上させ、経験値によって対応力を高め、効率を生み出す、それによって工事価格の引き下げが生まれる、という発注者が最も満足を得る結果を生み出すのだと思います。単に大規模改修という「作業」をするのではなく、ユーザーの想像を超えた「仕事」を生み出すために、設計サイド、現場サイドは共に本日取り上げた問題点を解消するように努めていきましょう。

 

~次回開催予告~

■第160回スキルアップセミナー 2018年6月6日(水)午後3時から

 テーマ:「シニア向けマンション」「定借マンション」の問題点

講 師:彌島 義尚(司法書士/司法書士法人なにわ合同)

<新規分譲マンションの登記に携わるなかで、上記の類型のマンションは問題をはらんでいるように思います。私の思う問題点についてお話します。>