カメラを片手に

恭仁(くに)京の桜を愛でて万葉集に思いを

最低気温は6.9℃、昨日と打って変わっての冷たーい雨の朝、
7時ごろには、春日奥山に水蒸気が上り見えており、
7時

若草山頂上から中腹の三笠温泉郷付近の山桜も見えてたのに。


9時頃から雨風が強くなり夕方まで降り続く寒ーい一日、
ガスストーブはまだ必要、最後の寒の戻りであってほしい。
散り始めた桜、花散らしの雨で殆ど散ってしまいそうだ。

先日信楽からの帰り、あまりにも暖かく居眠り運転の危険もあり
休憩のため停車したのは、今や珍しい現役の木造造り、なんと
築後112年、歴史ある恭仁小学校付近です。

その校舎と接するように北側に一段高く、恭仁京大極殿跡と石碑が


ここは740年に平城京から遷都された『恭仁(くに)京』跡で、正式には
「大養徳恭仁大宮」で、平城京から第一次大極殿を移設された。
だが都として完成せずに、紫香楽宮や744年には難波宮、さらに
745年には都は元の平城京に戻され、784年の長岡京遷都まで
平城京は続くことになるのですね。

万葉集で恭仁京の歌として昨年6月に阪口由佳先生の古典文学講座があり、
お話の中で、恭仁京へ遷都する前後を聖武天皇の行動と共に歌を記します。

Ⅰ.740年8月大宰府で藤原弘嗣の乱がおこり、京内への波及を恐れた天皇は
 勃発とともに東国へ退避した。11月鎮定後も平城京に帰らず、橘諸兄と
 関係の深い山背国相楽郡の恭仁京に12月15日に遷都した。
万葉集 巻17・3907三香の原の新都を讃むる歌一首 併せて短歌
 山背の 久迩の都は 春されば 花咲ををり 秋されば もみち葉にほひ
 帯ばせる 泉の川の 上つ瀬に 打橋渡し 淀瀬には 浮橋渡し
 あり通ひ 仕へ奉らむ 万代までに 


 3909 楯並めて 泉の川の 水脈絶えず 仕へ奉らむ 大宮所 
 ([たたなめて]泉の川の水脈のように絶えずお仕えしたい大宮所だ)
   ・・・   ・・・
大伴家持(内舎人大伴宿祢家持)は久迩の都を讃めて作れる歌一首も。
万葉集 巻6・1037 15年癸未(きび)743年8月16日
 『今造る 久迩の都は 山川の さやけき見れば うべ知らすらし』
(今造る久迩の都は山川が清々しいのを見ると、都を作られたのも当然らしい)

Ⅱ.ところが翌年、天平16年(744年)2月以降は聖武天皇は・・・
 2月16日に難波を皇都とする勅を発したが、百姓は恭仁・難波・平城の間を
 自由に往来してよいという漠然とした内容で、さらに留守を守る左大臣諸兄が
 代読したもので、天皇自身はその二日前に紫香楽宮に行幸している。
 2月24日、聖武天皇は難波京から恭仁宮を経ずに淀川沿いに紫香楽宮に入った。
 元正太政天皇や左大臣諸兄は難波京にとどまったまま、天皇とその周辺との間に
 疎隔が生じたもののようで、その後も天皇は難波と紫香楽宮との間を転々とした。

翌17年(745年)5月2日、太政官が諸司の官人にどこを都とすべきかを諮ると
全員が平城を推し、平城の四大寺(大安・薬師・元興・興福)の僧も同意見。
11日、天皇は平城京に還幸されたが、その前日には恭仁京の住民は平城に
大移動している。
万葉集 巻6・1059 田辺福麻呂
 三香原 久迩の都は 山高み 川の瀬清み 住み良しと 
        人は言えども  あり良しと 我は思へど
 古りにし 里にしあれば 国見れど 人も通わず 里見れば 家も荒れたり
 はしけやし かくもありけるか 三諸つく 鹿背山のまに 
        咲く花の 色めずらしく 百鳥の 声なつかしき 
 ありが欲し 住み良き里の 荒るらく惜しむ

反歌二首
 1060 三香原 久迩の都は 荒れにけり 大宮人の うつろひぬれば
 (三香原 久迩の都は荒れてしまった。 大宮人が移ってしまったので )
 1061 咲く花の 色は変はらず ももしきの 大宮人ぞ 立ち変わりける
 (咲く花の色は変わらない。[ももしきの]大宮人が移り変ってしまった)

ところで平城京から移設された第一次大極殿、その後は続日本紀によれば
天正十八年九月戊寅(二十九日)ノ條ニ「恭仁宮大極殿施入國分寺」と
つまり748年に山城国分寺の金堂として転用されたと。
地元史家によれば、平安末期までには金堂も火災により焼失したらしく
今は大極殿跡に山城国分寺跡として石標が残るのみ。
 

東側に広大な空き地があり、端に土壇が見られます。
この土壇には七重塔礎石(15個)が残り、山城国分寺跡の石標も


桜だけが昔を知っているのでしょうか?
いえいえこの頃、花といえば「梅の花」ですが・・・。

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