カメラを片手に

東大寺大仏殿の江戸期の再建で虹梁は

昨日は体に堪える蒸し暑さで、日付が変る頃ようやく熱帯夜が
解消され、「ぐっ(9)すり(3)」と寝入ることができた。
9月3日の今日は、語呂合わせで、ベッドの日とされる。
それなら「ぐみ」?「クエン酸」こんな語呂合わせの記念日が。

今朝から夏空で、9時半頃には真夏日の30℃を越え、昨日に続き
残暑が厳しく、まだまだクエン酸が手放せませんね。
10時

奈良きたまち佐保川を巡る歴史等についての講座の話の続きを。
平安末期、平重衡の兵火で東大寺大仏殿が焼失した折、鎌倉時代に
再建に尽力されたのは「重源上人」さまでしたが・・・
時代は巡り、永禄10年(1567年)の松永久秀の兵火で、大仏殿も焼け落ち、
首がない状態のままで120年以上も雨ざらし、露座になられた大仏様を嘆かれ、
大仏殿再興を1683年に発願されたのは『公慶上人』(1648-1705年)。
嘆願もあり5代将軍・徳川綱吉の寄進により、幕府主導で行われると、
1692年5月に大仏像が補修完了し開眼供養が行われた。1705年4月には
大仏殿上棟式までこじつけたが、1705年7月旅先の江戸で寂され、
お墓は「五劫院」に。1708年に大仏殿を含め中門、回廊なども同時に
落慶を迎えられた。

大仏殿再建には大屋根を支える横木『虹梁(こうりょう)』の用材の
確保が一番必要であったが、奈良地域には残っていなかった。


『もっと知りたい東大寺の歴史』
(筒井寛昭/著、梶谷亮治/著、坂東俊彦/著 東京美術 2010)によると
日本中探され、日向国‣白鳥神社の神木の赤松(高さ54m‣樹齢2000年)が
二本見つかった。切り出し用材の加工に要した金額は2000両
一本目は長さ23.0m、元口1.3m、末口1.0m、重量23.2t
二本目は長さ23.6m、元口1.2m、末口1.1m、重量20.4t
さてこれを霧島から奈良の東大寺まで運搬しなければなりません。
元禄16年(1703年)1月から、延べ10万人と牛4千頭を使われ、
まず白鳥神社から積出港の隼人港まで90Kmを115日かけ運ばれた。
そこで筏に組まれて鹿児島津港まで運び、船に積まれて日向細嶋港
から瀬戸内海を経て兵庫津、今の神戸港に6日間で7月12日に到着した。

兵庫津から4艘の船に引かれ、7月16日に大阪伝法川河口に、そして
ここからは船で虹梁材を挟み、延べ4625人が川岸から綱手船を引き
淀川と木津川をさかのぼり、8月10日に木津に到着。

8月19日、木津でそれぞれ二基の台車に載せられ、市阪と奈良坂を越える
陸路を人手で運搬されるのですが、奈良坂を下り、奈良町に入るには
佐保川を渡るのですが、従来の木の橋ではこの重量を支えきれません。
石橋 現在の様子

そこで橋脚は石製で造り、無事渡ることができ
その様子は奈良坊目拙解」(奈良県立図書情報館所蔵)に

橋を補強し、さらに橋の上に土砂を厚く敷いて通し、9月2日と
9月5日に東大寺の普請所まで330kmほどを約8か月かけ到着した。

「大仏殿再建記」ではこの木曳には、地元奈良町から延べ1万7963名、
周辺地区から木津村1400名を筆頭に延べ2601名が参加したとある。

その後東大寺は江戸時代の観光地になり、現在の観光雑誌になるのでしょうか
「大和名所図会」ではこのように描かれています。
 

さらに時代が・・・
江戸時代に再建された大仏殿、設計に狂いがあったようで歪みが目立ち、
虹梁に用いたアカマツの経年劣化により50㎝ほど歪みが発生しており、
明治時代には屋根がうねって見受けられるようになった。明治16年に
勧進が始まり、明治36年(1903年)から、大仏殿の解体大修理が行われ、
総工費72万円、11年の歳月がかかった。虹梁には補強の為、西洋技術の
英国から輸入した「SHELTONSTEEL社」製の鉄骨のトラスが組み入れられた。
文化保存では本来は木でするべきなのだが、用材がなかったのかもしれない。
*虹梁の真下、添わせて補強する形で鉄骨トラスが新たに据えられています。
*ブラタモリでも紹介されていたようです。


そして第二次世界大戦後の昭和に入り、昭和49年(1974年)から6年間、開山・
良弁僧正没後1200年の記念事業として、70年ぶりの大修理「昭和の大修理」、
明治の修理で屋根を軽くするため屋根瓦を減らしていたのが原因で雨漏りが。
新たに軽くした瓦に替え、江戸時代と同じ数の瓦を葺いています。

世界遺産になった東大寺大仏殿、今後も大修理が必要になりますが、
元の姿、鉄のトラスが外されるようになるのはいつのことでしょうか。

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