マイコン工作実験日記

Microcontroller を用いての工作、実験記録

TINETを載せてみた

2008-02-09 16:30:22 | W-SIM
とりあえずTINETを載せてみました。これまでは音声端末としての機能しか持っていませんでしたが、少しはデータ通信機能を使えるようにしてみようという試みのための下準備です。

そもそもW-SIMを使ってみようと思った大きな動機は、AT91SAM7SのもつSSC(シリアル同期通信)機能で音声PCMを接続できそうだと考えたからでした。それまでSSC機能を全く使ったことがなかったので、この機能を実験するにはW-SIMは非常におもしろい題材だと考えたのです。Rev.2ボードを使っての実験をとおして、その目的は達成できました。その後、音声端末を作ってみたい興味がわいたのでSSCの代わりにCODECを使う端末機能を作成することで、現在の姿にいたっています。データ通信については、DDとかデータ通信カードのままでもUSBホストとかPCMCIAとかをもったマイコンであれば、いくらでもシリアル経由で操作できます。W-SIMソケットさえあれば、USARTに直結できるので、どんなマイコンでも操作できることは自明です。

そんなわけで、当初からデータ通信よりも音声通話の方に興味があって実験を進めてきたわけですが、一応の通話機能も備わったので、そろそろデータ通信機能の実験も始めたくなりました。その一番の理由はRTCの時刻設定です。LPC2138なんかだと自前のRTC機能をバッテリでバックアップすることができたりするのですが、AT91SAM7のRTT機能は時計としては役立たずなことは、以前の記事でも書きました。そのためにRTCチップを載せたのですが、いまだにバックアップ機能はないので、電源を入れ直すと日付/時刻を手動で設定しています。電池を載せてバックアップしようかとも思ったのですが、データ通信機能を使えば、RTCのバックアップなんか不要だと思いいたりました。つまり、電源投入時にSNTPでネットワークから時刻をひろってきてRTCを設定すればいいわけです。

TINETはこれまでにも「秋月H8-3069F」、「DWMのオマケARM基板+CS8900」、「SAM7-EX256」を使って遊んできたのですが、これらはみんなethernet接続での利用だったので、PPPは今回初めて使うことになります。TINETはもともと、H8ベースで開発されているようなので、ARM7で使うには2, 3箇所のパッチが必要でしたが、とりあえず接続できるようになりました。

早速、DNSとSNTPのクライアント機能を追加です。これらの機能は3年程前にH8-3069Fで遊んだ時に作成したコードがあったので、それらを持ってきてくっつけただけです。デバック・コンソールからの操作で、PPP接続とSNTPを実行できるようになりました。


ブート時にはTINETの起動メッセージも表示されるようになり、賑やかになりました。
  • pppコマンドを入れると、W-SIMの動作モードがDTEモードからアダプタモードに切り替わり、データ通信を開始してPPPで接続します。
  • 「つなぎ放題」を契約したので、ダイアル時には##64を指定して、つなぎ放題でのパケット接続を指定しています。
  • ntpコマンドを入力すると、決められたNTPサーバにSNTPでアクセスして時刻を表示します。サーバ名はホスト名で登録してありますので、実際にはDNSを使ってアドレス解決してから、時刻の取得をしています。
  • ppp hangコマンドによりPPPでの接続が切断され、W-SIMの動作モードをDTEモードに戻しています。
  • SNTPで時刻を表示するとともに、RTCの設定も行っているので、液晶画面の表示にもそれが反映されます。

*TINETに興味のある方は、秋月H8-3069Fで始めてみることをお薦めします。導入手順につていは、この資料が、整理されていてわかりやすです。