四国のお遍路を終えた帰路、夜のフェリーの船上から冬の海に消えた父。事故か自殺か。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが・・・。死の間際、父の胸に去来したのは、20年間、愛し続けた女性のことか、それとも?車に残された日記ともつかぬ父の残したメモをたよりに四国巡礼の足跡を巡った次女の碧が見た冬の光とは・・・。父の回想、元全共闘の闘士同士だった彼女との出会いと別れとフランスでの偶然の再会、東日本大震災のボランティア活動・・・。
ミステリー風に娘が父の足跡をたどる四国巡礼の旅、団塊の世代・父親の家族と人生ドラマなど上手い構成で一気に読むことが出来た。
「人生とは重荷なのかもしれない・・・自分を生かしてきたのは、背骨がきしむほどの荷物だった。それが推進力となって自分を生かしてきた。」(P258)
2015年11月文藝春秋刊
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