11.美瑛の写真家
前田 真三 2014.06.21
前田真三 まえだしんぞう. 大正11年(1922)八王子市に生まれた前田真三は、17年間の商社勤務を経て、
昭和42年(1967)写真ライブラリー「丹渓(たんけい)」を設立して、写真作家活動に入った異色の写真家である。
「風景写真は出合いの瞬間が大切」を持論としている。風景を撮影する際に、
とかく一カ所に留まって天候や光線の状態が良くなる時を待ちながらシャッターチャンスをうかがうという消極的な姿勢になりがちなことに対し、
前田真三の場合は、風景に出合った瞬間に手際よく写してゆくという、積極的に風景を求めてゆく姿勢で取り組んでいる。
「風景はただ眺めていても、見えてはこない。積極的に風景に働きかけて、はじめて見えてくる」といい、
そのためには「とにかくよく見、よく撮ること」「見るうちに撮るうちに、次第に風景が自ずと見出せるようになるはずだ」と論じている。
作品を観た人からの「ずいぶん時間をかけて一枚の写真を撮るんでしょうね」との問いに対し、前田真三が「長い時間がかかっていますよ。
私の人生と同じだけの」と答えるようにしているのは、この作品にたどり着くまでに多くの写真を撮り込んで経験を重ねてきたことを表しているのである。
「風景は目で見た通りに撮る」ことも持論としている。
そのために原則として、「目線で撮る」「手前から遠景まで全てにピントを合わせる」の2点を基本にしている。
これは、人間が肉眼で日常見ている風景が、目線で見て、全部にピントが合っている風景であり、写真にしてもそれが一番自然に見えるからである。
前田 真三
索引 北海道の旅 2014.06.18~21
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます