第93回Goodシネマ 忘年会
「秋刀魚の味」 小津安二郎 2019.12.28
名匠・小津安二郎の遺作となった作品。
老いと孤独をテーマに、妻に先立たれた初老男性と結婚適齢期を迎えた娘の心情を、ユーモラスかつ細やかに描き出す。
サラリーマンの平山周平は妻に先立たれ、長女・路子に家事の一切を任せて暮らしている。
友人に路子の縁談を持ちかけられても、結婚はまだ早いと聞き流してしまう。
そんなある日、中学の同窓会に出席した平山は、酔い潰れた元恩師・佐久間を自宅に送り届ける。
そこで彼らを迎えたのは、父の世話に追われて婚期を逃した佐久間の娘・伴子だった。
それ以来、平山は路子の結婚を真剣に考えるようになり……。父を笠智衆、娘を岩下志麻が演じる。
小津安二郎映画音楽集 秋刀魚の味 斎藤高順作曲
Conversation. 小津安二郎は、最後の作品『秋刀魚の味』の中で、「でも、負けてよかったじゃないか」「そうかもしれないな。 馬鹿なやつらが威張らなくなっただけでもね」という珠玉の台詞を書いている。
小津が一貫して取り上げてきた、妻に先立たれた初老の父親と婚期を迎えた娘との関わりが、本作では娘を嫁がせた父親の「老い」と「孤独」というテーマとともに描かれている。
「なんでもないことは流行に従う、重大なことは道徳に従う、芸術のことは自分に従う。」
「ぼくは人間を上から見おろすのがきらいだからね。」 「贅沢と無駄使いは違う。」
「品行はなおせても、品性はなおらない。」
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