「北海道電は、原発を再稼働させて「二本柱」に戻そうと必死だった。有価証券報告書によると、一三~一七年度の五年間に、停止中の泊原発に千八百八十七億円を投じた。火力や水力を含めた発電所への投資総額は三千七百三十八億円。実に半分以上が、原発への投資だった。
投資は、再稼働に必要な新規制基準適合に向けた工事費が中心。しかし原子力規制委員会の審査は停滞し、再稼働は見通せない。
結果的に、他の発電所への投資が後手に回った。北海道電は大手電力十社の中で北陸電力とともに、出力の調整能力が高い液化天然ガス(LNG)の火力発電所を稼働させていない。緊急時に電力を地域間で融通する基盤も弱い。本州とつなぐ北本(きたほん)連系線の容量は六十万キロワット。四国-本州の約六分の一、九州-本州の約九分の一という小ささだ。
LNG火力を一九年二月から稼働させる。北本連系線も三十万キロワット増強を進めているが、いずれも実現しないうちに地震に襲われた。
電力需給を検証する委員会のメンバー、松村敏弘・東大教授は「経営陣は安定供給を犠牲にすることを承知の上で、原発への投資を判断したということを認識しておくべきだ」と話す。
「原発は即効性があり、打ち出の小づち」と橘川教授。原発は安価とされる電力。いずれも二原発四基を再稼働させた関西電力と九州電力は、財務体質を改善し、関電は料金値下げにも踏み切った。ただし、橘川教授はこう続ける。
「原発は順調に動いていると依存度を高めて、経営資源を集中させてしまい、他のことを考えなくなる。それが恐ろしさだ」
原発依存の落とし穴にはまった北海道電は、太陽光や風力など再生可能エネルギーの適地とされるのに出遅れた。一三~一七年度の再生エネへの設備投資額は全体の0・5%。エネルギー政策に詳しい高橋洋・都留文科大教授は指摘する。「世界的に再生エネが伸び、飛躍のチャンスがあるのに、北海道電は大手で一番遅れている」11/4付け東京新聞朝刊(電子版)「<原発のない国へ 全域停電に学ぶ> (1)北海道電安定供給を犠牲に」より
「原発は安価とされる電力」とは事実を反映していないコスト計算で安価とされていると言う意味だと想像しますが、それに依存する経営は「今だけ良ければ良いに賭ける」経営と言えるかも知れません。「世界的に再生エネが伸び、飛躍のチャンスがあるのに、北海道電は大手で一番遅れている」と言う指摘は重そうです。
HIT210(4.2kW)の発電データ
11月3日(土)晴れ
太陽光発電量 10.1kWh
エネファーム発電量(おまかせ) 5.8kWh
W発電量 15.9kWh
売電量 9.5kWh
買電量 1.8kWh
W発電自給率 196.3%
発電設備利用率 13.5%
日照時間 4.6h
連系以来 3369日(9年82日)