cafe de sou-ryu

ほっと一息
ちょっと休憩しませんか?

ピアスと斎服

2011年03月06日 02時43分19秒 | I think so …
こんばんは♪
本日は今週最後の出勤で、通常のお仕事でした^^
今日は朝のうちはかなり冷え込んでいたのですが、
お昼ごはんを食べた後くらいから気温も急上昇。
もう眠たくって眠たくって。。ノウリツサガリッパナシ!!
スペインのシエスタを、我が社にも導入!
…と、いう案件を真剣に会議にかけたい宗流です。


さてさて。
唐突ですが、みなさまは神式の葬儀や法事に出席された事は
おありでしょうか?
袈裟衣をつけたお坊さんが読経される仏式のものに臨席する機会は
よくあるかもしれませんが、もしかしたら神式のものには馴染みが薄い方も
多くおありかもしれませんね^^
今日のお話は、先週の宗流の実家での出来事です。


先週の日曜日、宗流の実家で伯父の法事が執り行われました。
実家が神社の宗流、もちろんお坊さんがやってきてお経を読む、
なんて事はありません。
神職に就く者が祝詞(のりと)をあげて、玉串(榊の枝)を捧げる…
というスタイルで行われます。
私は今まで身内の葬儀を幾つか見てきたので、
もう何ら珍しい事もないはずなのですが、今回は特別な儀式。
今回の二十日祭(神式では「祭」といいます)で
神職の役目を務めたのは、宗流の二つ下の弟でした。


白い袍(ほう)に白袴、頭には烏帽子。
でも痩せた身体は恰幅が足りなくて、どうもあまり似合わない(笑)
あーだこーだと二人でぎゃーぎゃー言いつつも、
それでも何とか斎服を身にまとい、二十日際が始まりました。

ちなみに、イメージを膨らませてもらうとすると…
弟は宗流と全く似てなくて、見た目はロンブーの淳くんに似ています。
また全くの余談情報として、宗流はカリメロの彼女(黄色いひよこ)に
似ているらしいです。二人で歩いている所を知人に目撃された時も
弟と信じて貰えず、新しい彼氏だと随分長い間思いこまれてましたね。。
それでは、想像してみて下さい。その淳くんが白い装束に身を包み
神妙な面持ちで祝詞をあげているところを…まぁだいたいそんな感じです。


ところが。

掛けまくも畏き(かけまくもかしこき)…
私はその声を聞いていると、何だか不思議な感覚にとらわれました。
祓詞(はらえことば)をそらんじ、祝詞をあげる弟。
それは、普段私がよく知る弟とは違う姿のように目に映りました。
働き始めてすぐに実家を出た私は、度々顔は合わすものの
弟の事は何となくその当時からずっとあまり変わらないものだと
思い込んでいたのかもしれません。
パンク・ロック少年で、洋服や靴の収集に夢中だった弟。
飄々と冗談を言って、私を笑い転げさせていた弟。
ですが、目の前でうやうやしく祭壇に頭を垂れて祈る姿は、
我が弟でありながら、見知らぬ人物のようでした。


伯父の葬祭の中でしたが、私は父の葬儀を思い出していました。
私の実家は神社ではあるのですが、少しややこしい事情があって、
父の時は仏式のお葬式でした。
父が亡くなった時、弟はまだ学生でしたが、母の負担を気遣ってか
葬儀の喪主を務め、その時の挨拶で嗚咽で声にならない声で
参列いただいた方々に感謝の意を述べていた姿がふと浮かび、
そして、あの頃からゆうに十年以上経ったんだ…と改めて思いました。

何となく、私の中でまだ弟はずっとヘナチョコの子供のままだったのに、
ものすごい勢いで時計の針が現在の時間に合わされたような感覚で
短い一瞬の間に、何年もの時間を過ごしたような気分になりましたね。
弟も、あの頃はまだまだ頼りなさ過ぎて、自分の将来の絵すら描けず
彼はこれからどんな大人になるんだろうと、少し心配になりましたが
遅まきながら今は目標のために、数年前から医療関係の国家資格を
取得するべく学校へ通い直してます。
当時、葬儀で涙する弟を陰から見たであろう父親も、
今の弟の姿を空から見てたら、少しくらいは安心するかしら?
私は祝詞の声を聞きながら、そんな事を考えていました。


滞りなく祭事も無事終わり、あっという間に後片付けを終え、
お茶をする頃には弟も装束を着替え、普段のジーンズ姿。
私が話をする横で、弟はコーヒーを飲みながらポケットからピアスを取り出し、
左の耳に開けた5つのピアスホールに一つずつ丁寧に付け始めます。

…弟には言わなかったけど、私、ずっと妙な感じがしてたっけ。
彼の被る烏帽子の耳許。いつもあるはずのリングピアスがないと
何だか弟の耳じゃないみたい。
よく見ないと解らない、小さなホールが幾つも開いた耳には
やっぱそれがないと、どこか間が抜けてるかも。
案外、烏帽子にピアスも似合うかもよ…なんてね。


最後のピアスがあるべき場所に収まった時。
それは何かの合図のように、長かった一日が終わり、
何の変哲もない日常が再び時を刻み始めた瞬間に思えた宗流でした。



宗流