こんばんは。
本日の京都は朝から一日しとしとの雨模様のお天気でした。
雨降りという事も大きいのかもしれませんが、
今夜は夜帰宅する時、あまり人通りの多くない道を通ると
車の音も、人の話し声もほとんど聞こえず
とても静かな夜を感じました。
雨の音は、しとしととさやかな音を置いて行く代わりに
街の喧騒を連れ去っていくものかしら…。
さて。
そんな静かな夜を過ごしている宗流ですが、
今日のお昼はとても賑やかな来客がありました。
みなさんは全く見も知らぬ方に、思いがけなく自分と共通した点などが
あったりして驚いた経験などありませんか?
今夜のお話は、宗流のそんな一瞬のお話です。
宗流の会社は和装小物の中でも刺繍の半衿を主体に製造していて、
和装品の販売業者さん、レンタル・写真館の業者さん、
着物関係のスタイリストさんなど様々な方が、
和装小物をお求めにいらっしゃいます。
今日はそんなお客様の一環で、
とても大きな貸衣装関係の会社の社長さんが来社されました。
お名前は出せませんが、もしかしたら宗流のお話を読んで
頂いている方の中にも、そちらの会社でお世話になられた方が
いらっしゃるかもしれません^^
今日は初めてのご来店という事で、うちの社長がお相手を務め
宗流は傍で(…というより仕事部屋が一緒なだけですが)
そのお話を聞きながら、普段通りお仕事をしていました。
何だかちょっとワイルドな雰囲気のその社長さん…
宗流は勝手にスーツ姿の紳士を想像していたので
少し意外な感じがしましたが、何気なくお話を伺っていると
とても独特の審美眼をお持ちのよう。
そしてバイタリティ溢れるそのお話に、耳が引き寄せられます。
そしてある程度商談が終わりに近づいた時、
その社長さんが宗流に、ふと「それ、よく切れそうですね」
と話しかけられました。
宗流はその時、生地を切るのに大きな裁ちばさみを使っていたのですが
あまりに唐突なその語り口調に、おかしさを感じてしまいました。
「はい。よく切れますよ」
「僕は料理が好きで、包丁なんかは切れ味にうるさくて」
「私もうるさいかもしれません。この仕事の前には特にそうでした」
…という話から、宗流が元は調理師という話になったのですが
その中で、思いがけない人の名前が出てきました。
それは、宗流が以前働いていたホテルのキッチンで
お世話になった元上司のお名前でした。
その上司は今、この社長さんの関係する会社で、勤務されているとの事。
宗流はこの方とそのお兄さん(彼も同じ職場の調理師でした)
にとてもよく可愛がって頂き、
今も何かにつけてその時教わった事を思い出しています。
特にそのお兄さんは直属の上司で、公私ともに助言や相談のお世話になり
今も宗流の心の中で、尊敬する上司の第一人者として
大きな存在であり続けています。
私はそのお話を聞いて、当時の思い出が暖かく胸に広がるのを
心地よく感じていました。
その社長さんは宗流の元上司のご兄弟をとてもよくご存知で
思わず仕事の話が脱線し、当時の思い出話や料理の話に花を咲かせていました。
とはいえ、その場にいらした相手方の営業の方も、うちの社長も
何のことかさっぱり解らず、「???」という雰囲気でしたが^^:
商談も無事終わり、賑やかに帰られる後ろ姿を見送ってからも
私は何となく、浮き立つ気分とも騒がしい気持ちとも違う
何とも言えない不思議な感覚がなかなか消えませんでした。
それまで全く見ず知らずだった人と、誰かの存在を介して
消えそうに細い糸でつながっている事。
そして、それは普段目にする機会はなかなかなくとも
ふとした事で手繰り寄せられ、共通の話題が生まれる…
それはきっと誰の身の上にもある、普遍的なものかもしれません。
でも偶然その糸の端を見つけ、その先に忘れられない出会いの時間を見た事
それが私には静かで大きな心のうねりとして感じられた気がします。
蜘蛛の糸のように細い細いもので、誰かと誰かをつなぐ糸。
それはきっと目に見えないだけで、網の目のように無数の人々を
つないでいるものなのかもしれませんね。
そして時にそれは思いがけない何かを絡め取っているのかも。
新たな人の出会い、興味、新しい環境、古い記憶などなど
たくさんの何かを内包して、私たちをつなぐ糸。
その中で何かを拾い上げる時、人はその細い糸の存在に
色んな感情を抱くのかな、私はそんな風に感じます。
もしかしたら…
このPCの前のあなたと宗流も、どこかでつながっているのかも。
なんちゃって^^
宗流
和装小物 宗流
http://www.sou-ryu.jp