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原点回帰(?) 絹について3

2009年02月26日 18時20分59秒 | my works
こんばんは。
今日は少し遅い投稿になってしまいました。
今夜(2/25)のうちにアップできるかな…?


さて、今夜は絹についてのお話第三回目です。
今日はいよいよ繭から糸になるお話です。

一回目・二回目で、絹の原料となるのが蚕の作る繭だと
いうお話でしたが、この繭から糸をとるのに、
あの丸いかたまりをどうするかご存知でしょうか?

実は…私は以前、あの繭は中の蛹が羽化したものを
集めて糸にするものだと思い込んでいました。
と、いうより、この和装関係の仕事に就くまで
考えたこともなかったのが正直なところです。


さて、何回かの脱皮を繰り返し、
いよいよ幼虫から蛹になる時期がきた蚕は
「まぶし」と呼ばれる容器の中で、糸を吐いて身をくるみます。
そして、丸い楕円形の繭が出来上がると
その繭は蛹が入ったままの状態でお湯でゆでられるのです。(!)

…少し残酷なお話ですが、それは今回は少し置いておくとして
先に進みましょう。


繭の糸は、前回のお話でも触れたように
セリシンという物質とフィブロインという物質から成り立っています。
セリシンは膠状の物質で、通常の空気中では固まり
繭の丸い形を保っているのですが、
お湯の中に入れると軟らかくほぐれてしまいます。
そのセリシンが柔らかくなった状態の中から糸をとるのです。

そこで前出のお話に戻りますが、もしかしたら
以前の私と同じように、蛹が羽化してからでもいいのでは…
という方がいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、そうはいかない事情があるんです。

それは、あの繭をつくる蚕の糸は、一本の糸だからです。
そして、羽化するのを待てない理由が
蚕が羽化の時に吐くタンパク質成分が、
繭を溶かしてしまうという点です。
もし蛹の羽化を待ってしまうと、蛹のタンパク質成分で
繭には穴が開いてしまうのです。
そうすると糸は途中で途切れてしまい、
糸がとれなくなってしまうのです。
蚕にとっては可哀そうな話ですが
糸はこうしてとられるのです。


ちなみに、ちょっと余談にはなりますが
この糸をとった蛹は、捨ててしまうわけではないそうです。
全てがそうなのかはわかりませんが
飼料や肥料・そして釣り用のエサなどになるそうです。
つくづく最後まで蚕は人のために役立つ虫です…。
さすが「お蚕さま」と呼ばれるだけのことはあります。


さて、繭から糸がとれ、
ここからいよいよ絹糸(生糸)へのお話になります。
ですが、今回はこのへんで。
この続きはまた後ほどに…。



宗流


和装小物 宗流
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