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原点回帰(?) 絹について4

2009年02月26日 18時22分01秒 | my works
こんにちは。
本日の京都は久々にいいお天気でとても暖かな一日でした。
梅・桃・桜が一時に咲きそうな日というのは
今日みたいな日を指すのかもしれませんね…。


さて、本日は「絹について」の第四回目です。
昨日までは蚕の繭から糸を取り出すところまで
お話しましたので、今日はそれをもう少し詳しく
お伝えしたいと思います。

蚕を育てる仕事を養蚕といいますが、
その蚕の繭から糸をとって生糸として出荷するまでの
工程全般を「製糸」と呼んでいます。
そしてその「製糸」の作業の中で、
繭糸を何本か合わせて一本の生糸を作る工程を
「繰糸」といいます。
今日は主にこの「繰糸」の作業についてのお話です。


まず最初に、この「繰糸」作業は機械を使って行われる方法と
人の手によって行われるものがあります。
どちらも繭をお湯の中で煮て柔らかくし、繭の糸口から糸を引き出し
数本を合わせて一本の糸状にする作業なのですが、
機械と人の手、どちらにもそれ特有の特徴が出た糸ができます。


まず機械工程のものは、自動繰糸機と呼ばれる機械を使って行われるため、
糸が切れたり繭糸の本数を合わせたりの作業を
人が全て監視しなくともある程度自動で行われます。
また作業の労力を大幅に減らす上、なおかつ品質が安定しています。
そして時間も短縮されるため、作業効率も高いのが特徴です。

それに対して人の手を使って行われる繰糸作業を「座ぐり繰糸」といい、
座った状態で煮た繭から糸を引き出していきます。
この手作業の座ぐり繰糸でできた糸は、自然発生する節(糸の凸凹)や
太さ(繊度)が不均一なのが特徴で、それが製品として不適格かというよりは
かえってその特有の風合いが好まれる場合も多々あります。
また機械で糸を引き出す力に比べ、人が糸を引き出す場合は
絹糸張力が低く、糸本体へのダメージが少ないのですが
作業効率は機械工程のものに対して極端に悪く
その上、良い糸を取るためには熟練した手が求められるため
人材の育成にも時間がかかるのが難点です。

どちらにも利点・欠点はあるものです…。
そして、やはりどの産業や業種にもいえることですが
人の手を使った味わいや風合いに富んだものは
高い技術を要するため、その技術を伝承するという
本来の作業以外の面で大きな問題を抱えているような気がします。


ところで、この絹糸なのですが、
この繰糸機などを使って糸を作る上記のもの、
それ以外にもあと二つの種類があります。
一つは「紬糸」・もう一つは「絹紡糸」とよばれるものですが
こちらはまた次回の機会にお話したいと思います。

今日はこのへんで。


宗流



和装小物 宗流
http://www.sou-ryu.jp

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