記憶の継承
朝日新聞デジタル2月17日付の「特派員メモ」に、同紙ロンドン支局長藤原学思さんの書かれた記事が載っていた。
藤原さんは昨年ノルウェーのオスロで行われた日本被団協のノーベル平和賞受賞式の取材をされている。そして、この受賞に込められた意義を「記憶の継承」と受け止められている。
わたしはこの文章を読んで、授賞式の夜オスロ市民によるトーチパレードに参加していた少女が、「私たちの世代までつないでくれてありがとう」と言っていた言葉を思い出した。
藤原さんは、オスロ市民にとって忘れてはならない日として、2011年7月22日があることを紹介している。
この日、一人のテロリストによって車の爆発で6人が、さらに銃撃によって69人が犠牲となった。「7.22」はオスロ市民にとって記憶すべき日となっている。
事件の現場近くには「7月22日センター」という施設があり、当日の事件経過が生々しく展示され、事件3日後に当時のストルテンベルグ首相が語った言葉も刻まれている。
《2011年7月22日の後に、ノルウェーが歩む道をいま描こう。すべての武器の中で最も強力なもの、言論の自由と民主主義をもって》
この施設の創設に深く関わったのが被団協を平和賞に選んだノーベル委員会のトップ、ヨルゲン・ワトネ・フリドネス氏だった。藤原さんは、彼が取材に語った「記憶やストーリーを継いでいくことで、私たちは学び、変化することができる」という言葉を引用している。
人類は言葉を持ち、異なる世代が重なり合って存在している。「記憶の継承」は人類の特権である。この特権によって人類は文明を発展させてきた。
その歴史の中には、あってはならないことが含まれている。それを記憶し、後代に継承することが、あってはならないことを2度と繰り返さないための、大きな原動力になるはずである。
藤原さんは「記憶の継承」が、記者、そしてメディアの大切な使命だと信ずると語っている。
「記憶の継承」はメディアを通してだけではなく、われわれが離し、書くことによっても行われる。
わたしの書いているブログが、ほんのわずかででもいいから、「記憶の継承」に役立ってくれればいいなあ、と思っている。
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