楽園のカンヴァスを読み終えました。
なかなか興味深い本でした。
私は、小説の興味よりアンリルソーについて興味がありましたので、美術に携わる人間として、この種の小説は有り難いと思いました。
実は、私は生徒に教えながら、少し下手な生徒には、「アンリルソーのようだね」と言ったことがあります。
美術史上では、下手の代表のような画家ですから。
しかし、今回この本を読んでみて、改めてルソーを見直したのですが、待てよ、今まで良く見なかったけれど、決して素人の出鱈目ではないぞと思いました。次に紹介する作品だけを見てください。


どれも構図がとても良いのです。
バランスもリズムも良い。見せ場である主役がしっかりしている。
私の構図のセオリーと同じなのです。
細部をクローズアップしてみると、まるで素人が描いたかのような下手さが感じられますが、
構成力はプロ級です。
小説の中でもありましたが、確信犯なのではないか?
そう思ってみると、そうかもしれないと思えてきました。
確信犯ということは、わざと下手そうに見せているということですよね。
ーーー
小説としての面白さは、単なる何でもない美術館の監視役が実は飛んでもないすごいルソーの研究家であったというお話しで、
それが17年前の出来事として語られます。
二人のルソー研究家に、一つの作品の真贋を判定させるというお話でした。
普通、作品の真贋については、作品を検討することで行われると思いますが、ここでは、ルソーについてのエピソードが書いてある本を読むことで、
判断するという設定になっています。これは、意外なことです。そのため、読む私たちは、ルソーの生涯を知らされることになるのですが、私はその方がうれしく感じました。
アンリルソーは、パリではなくラバルというところに住んでいて、ピカソと直接の付き合いはなかったのではないかと思っていました。
ピカソがルソーを認めたということは聞いていましたが、ルソーを認める晩餐会の時くらいしか会ってないのかと。
小説ですから、事実とは違うかもしれないと思って、詳しいことは専門書を読んで確認したいところです。
しかし、この小説を通じて、そのようなことを調べてみようと思えたのも収穫でした。
最後にエピローグのように17年後の現在に戻りますが、それがクールダウンに丁度良い感じがしました。
過去の出来事で盛り上がり、最高潮に達した時、現在に戻ってほっとするような感じがありました。
小説としての組み立ても上手いなあと思いました。
因みに、ピカソの青の時代の絵を「ブルーピカソ」というのですか?
このことが、もう一つの興味として出てきますので、面白いですよ。
なかなか興味深い本でした。
私は、小説の興味よりアンリルソーについて興味がありましたので、美術に携わる人間として、この種の小説は有り難いと思いました。
実は、私は生徒に教えながら、少し下手な生徒には、「アンリルソーのようだね」と言ったことがあります。
美術史上では、下手の代表のような画家ですから。
しかし、今回この本を読んでみて、改めてルソーを見直したのですが、待てよ、今まで良く見なかったけれど、決して素人の出鱈目ではないぞと思いました。次に紹介する作品だけを見てください。




どれも構図がとても良いのです。
バランスもリズムも良い。見せ場である主役がしっかりしている。
私の構図のセオリーと同じなのです。
細部をクローズアップしてみると、まるで素人が描いたかのような下手さが感じられますが、
構成力はプロ級です。
小説の中でもありましたが、確信犯なのではないか?
そう思ってみると、そうかもしれないと思えてきました。
確信犯ということは、わざと下手そうに見せているということですよね。
ーーー
小説としての面白さは、単なる何でもない美術館の監視役が実は飛んでもないすごいルソーの研究家であったというお話しで、
それが17年前の出来事として語られます。
二人のルソー研究家に、一つの作品の真贋を判定させるというお話でした。
普通、作品の真贋については、作品を検討することで行われると思いますが、ここでは、ルソーについてのエピソードが書いてある本を読むことで、
判断するという設定になっています。これは、意外なことです。そのため、読む私たちは、ルソーの生涯を知らされることになるのですが、私はその方がうれしく感じました。
アンリルソーは、パリではなくラバルというところに住んでいて、ピカソと直接の付き合いはなかったのではないかと思っていました。
ピカソがルソーを認めたということは聞いていましたが、ルソーを認める晩餐会の時くらいしか会ってないのかと。
小説ですから、事実とは違うかもしれないと思って、詳しいことは専門書を読んで確認したいところです。
しかし、この小説を通じて、そのようなことを調べてみようと思えたのも収穫でした。
最後にエピローグのように17年後の現在に戻りますが、それがクールダウンに丁度良い感じがしました。
過去の出来事で盛り上がり、最高潮に達した時、現在に戻ってほっとするような感じがありました。
小説としての組み立ても上手いなあと思いました。
因みに、ピカソの青の時代の絵を「ブルーピカソ」というのですか?
このことが、もう一つの興味として出てきますので、面白いですよ。